NTTドコモと三菱電機は、ドコモの三菱電機製端末「D902i」などで使用しているバッテリーパック「D06」に不具合が見つかり、回収・交換を行うことになったいきさつを説明する会見を行った(12月7日の記事参照)。
会見の冒頭、NTTドコモの石川國雄代表取締役副社長は「D902i対応のバッテリーパック『D06』に製造上の問題から、充電時に異常に発熱したり破裂の恐れがあるという重大な事象が起こった。ユーザーの方々をはじめ、ご迷惑をおかけした方々にお詫び申し上げます」と謝罪した。
今回、不具合が起こったバッテリーは、三洋ジーエスソフトエナジーが三菱端末向けに製造したOEM製品。2005年11月から2006年5月にかけて製造されたバッテリーのうち130万個に発熱や破裂に至る可能性があることが判明した。
原因は製造工程の不良と外部からの衝撃の2つだと三菱電機の伊藤氏は説明。三洋ジーエスソフトエナジーの極板と絶縁シートを巻く装置に不具合があったことから、電池パックの製造工程で負極板が変形し、これにより絶縁シートが破損したバッテリーが製造されたという。そして絶縁シートが破損したバッテリーに衝撃が加わると、さらに破損が拡大し、これが充電時の膨張による短絡を引き起こして異常発熱や破裂に至るとした。
NTTドコモと三菱電機は、バッテリーが熱くなるという問い合わせを受けて2006年4月に対策を実施。製造工程に電極板の変形を防ぐ対策を施すとともに、電池自体にも電池ケースと電池端部の間に絶縁用のサイド保護テープを巻くことで二重に絶縁する仕様に変更した。
なお、三洋ジーエスソフトエナジー製のバッテリーは富士通やソニー・エリクソン・モバイル、パナソニック モバイル、モトローラ、NECの端末にも採用されているが、他メーカー用のバッテリーについては問題がないことを確認しているという。
4月以前には異常発熱や破裂の予兆ともいえる事象が起こっており、またその対策を行ってから7カ月後に回収に至る不具合が起こったことから、早期に綿密な調査と対策を行うことで、今回の事態を防ぐことができた可能性もある。
こうした指摘について三菱電機の伊藤氏は「今、思えば、その時点で予想していたら早期の対策ができたが、当時メーカーからの報告を受けた限りでは、短絡によって破裂するレベルには到達しないと判断した」と説明した。
なお、回収・交換にかかる費用についてNTTドコモの石川氏は「まだ集計していないが、電池パック1つが1000円ちょっとでそれが130万個。それに伴う配送費用やDMの発送、コールセンターの受付費用などが発生する」と見積もっている。三菱電機との費用の分担については、今後の協議の中で決めるといい「まずは回収に全力を尽くす」とした。
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