モバイルテレビの課題は、番組編成とコンテンツ保護:欧州モバイルテレビ事情(2)

» 2007年02月07日 21時51分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 欧州のモバイルテレビ事情を探る本連載の第2回では、コンテンツとその保護技術について見ていこう。

 モバイルテレビでは、テレビ番組がコンテンツになる。テレビ番組とひと言でいっても、そこにはスポーツや音楽を含むエンタテインメント、ニュース、ドキュメンタリー、ドラマなど多種多様なコンテンツが存在する。これらの中からどんなラインアップを揃えるかが、事業を左右する重要な決断になる。

モバイルテレビに適した番組編成は

 英国で初めてブロードキャストベースのモバイルテレビを開始した英Virgin Mobileは、派手なローンチキャンペーンを打ってサービスを開始してから2〜3カ月が経過したが、それほどのユーザーを集めていないと報じられている(Virgin Mobileでは数字を公開していないが、7000人といわれている)。その原因は“チャンネル数にある”というのが大筋の見方だ。Virgin Mobileは、BBC One、ITV1、Channel 4、E4の4チャンネルでスタートしている。Ovumのゾラー氏もVirgin Mobileのモバイルテレビサービスについて、「チャンネル数が少なく、チャンネルがVirginのターゲットユーザーにマッチしていない」と分析する。

 一方、3Gベースでモバイルテレビを提供するOrangeは、開始時から約60チャンネルを揃えた。また、ユーザーが豊富なチャンネルから好みのチャンネルを探すためのナビゲーションも、スムーズに行えるよう工夫されているという。しかし、多くのチャンネルを揃えることはオペレータにとってリスクにもなる。ゾラー氏は「チャンネル数は25ぐらいが妥当だと思う」とコメントしている。

 Virgin Mobileをはじめ、多くのモバイルテレビが既存のテレビコンテンツを配信しているが、モバイルテレビの可能性はこれにとどまらない。既存のテレビコンテンツはユーザーが慣れ親しんだものであることからユーザーにとって分かりやすいが、それでも絞り込みの余地はある。モバイルテレビは画面が小さく、移動時に利用できるのが特徴となるため、長いテレビ番組は向かないだろう。

 3 Italyはモバイルテレビ専用チャンネルを作成し、オリジナリティを出している。また、YouTubeに代表されるWebの世界のユーザー生成コンテンツは、モバイルでも高いニーズが期待できる。

 Zoller氏が指摘するナビゲーションも重要だ。テレビガイドをどのように配信するかでも、ユーザーのモバイルテレビ利用は大きく変わりそうだ。

コンテンツ保護をどうするか

 コンテンツと同じぐらい重要なテーマが、コンテンツ保護だ。主として著作権の保護となるが、モバイルテレビ向けにコンテンツ保護市場も立ち上がりつつあるようで、カンファレンスでも数社がプレゼンを行っていた。例えば仏France Telecomの子会社でコンテンツ保護ソリューションを主な事業とする仏Viaccessは、DRM(デジタル著作権管理)とCAS(Conditional Access System)の2つのアプローチを「有効な手段」として紹介した。

 PCの世界でおなじみのDRMは、録音されたコンテンツを配信するときに適した保護技術で、欠点は暗号鍵が固定していること。つまり、ハッカーが破ろうと思えば破ることができる。こうした事情から、ViaccessのモバイルTV・DRMソリューション担当セールスマネージャのピエール・ノワザ氏は、「正直な人を正直にするのがDRM」と形容した。また米Microsoft、米Apple、米Real Networksらが独自のDRM技術を利用している点も懸念される。このような背景からノワザ氏は、モバイルの標準化団体Open Mobile Alliance(OMA)の「DRM 2.0」を推奨した。

 DRMが録画コンテンツに適しているのに対し、CASは、ニュースやスポーツ中継などのライブコンテンツに最適な保護技術といえる。もともとCATVや衛星放送向けに発展した技術で、暗号鍵は5〜10秒ごとに変更される。アーキテクチャもDRMとは異なるものだ。

 Viaccessでは、携帯電話に搭載されるSIMカードを認証に活用し、コンテンツに合わせてDRMとCASを組み合わせたソリューションを提供している。例えばFrance Telecomは2006年初夏のテニストーナメント、「全仏オープン」でキャンペーンを展開。携帯電話やIPテレビ向けにライブ/録画コンテンツを配信する際に、同社のCASとDRMソリューションを利用したという。

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