インタビュー
» 2007年07月09日 19時15分 公開

開発者に聞く「W52CA」:カシオのBoniteは、なぜ魚だったのか

カシオ計算機の2007年夏モデル「W52CA」と「W53CA」に搭載された魚キャラ“Bonite”は、ペンギンに変わるシュールな新キャラクターとして生まれた。しかしなぜ魚だったのだろうか。デザイン担当者に話を聞いた。

[園部修,ITmedia]

 カシオ端末というと、端末の機能や性能もさることながら、個性的なキャラクターコンテンツがプリインストールされていることでも人気を博している。最近は他社の端末でもさまざまなキャラクターが取り入れられているが、カシオがアデリーペンギンの次に生み出した新キャラクターは、なんとカツオの“Bonite”(ボニット)だった。

 なぜカツオなのかは、先日の記事でも紹介したとおりだが、魚を選んだ理由はどんなところにあるのか、カシオ計算機 開発本部デザインセンター 第四デザイン室 室長の井戸透記氏と、同じく第四デザイン室の辻村泰一郎氏に聞いた。

PhotoPhoto カシオ計算機 開発本部デザインセンター 第四デザイン室 室長の井戸透記氏(左)と第四デザイン室の辻村泰一郎氏(右)

魚なのは、辛口の大人めキャラを狙ったから

 魚をキャラクターに選んだ理由を辻村氏は「デザインテーマとして“エキセントリックキャラクター”を掲げ、甘いキャラではなく、やや辛口の大人めキャラを狙ったからです。普通にかわいいと思ってもらえる犬や猫ではなく、少し意表を突いたところで選びました」と話してくれた。

 魚を使ったキャラクターのアイデアは、かなり初期からあったという。「魚はふわふわ浮いている状態で、普通に水の中にいると認識してもらえます。表現の自由度が上がるので、いろいろなことをさせやすいんです。陸上動物だと、浮いている姿は変ですよね。でも魚だと抵抗なく受け入れられると思いました」(辻村氏)

 魚は食材でもあり、ブラックなユーモアを織り交ぜるのにも適しているという判断があったようだ。例えばW52CAの電源を入れると、缶詰からカツオが出てきたりする。待受画面でも、はしでつままれたり、フォークやナイフに追いかけられたりと、ユーザーが見ていてハラハラするようなシーンもある。

 「シュールな世界観で行こうと考えていたので、結構“あり得ない”シーンも出てきます」(辻村氏)

 時間に合わせて内容が変わったり、季節に応じて変化する待受画像を用意するなど、細かなこだわりも健在だ。例えば充電時にディスプレイを外側にして折りたたむと、横位置の待受画像が表示される。またカツオの画面のどこかにペンギンが隠れていたりもする。

 容量の関係があり、1つの待受Flashに入れられる要素には限りがあるが、隠し要素もしっかり用意している。あまりに隠し要素が少ないとすぐに全種類が見られてしまうし、逆に隠し要素を多くしすぎると通常見られるものが少なくなってしまうという問題もあるため、ほどよいバランスを取っていろいろ仕込んでいるそうだ。メニューにも隠し要素が含まれているとのことなので、待受画面の壁紙同様に楽しんでほしいという。「アデリーペンギンとはまたちょっとちがう世界観が広がっているので、ぜひ楽しんでください」(辻村氏)

PhotoPhotoPhoto ハンモックに寝て本を読んだり、テレビの(魚が鍋で煮られている)料理でよだれを垂らしたり、ダイビングする自分の姿を想像したり……

何が起こっても、打たれ強いBoniteは復活する

 魚をカツオにしようと決めたのは、「シャレ」からだという(6月29日の記事参照)。「魚を使おうという考えはありましたが、カツオに決めたのはやはり“カシオ”だからです(笑)」(辻村氏)。とはいえ、ともすれば野暮ったい、生臭いものになりがちな“魚キャラ”なので、フランスの本やキャラクター、Webにでてくる魚などを参考に、洗練されたデザインを目指した。

 井戸氏は「ペンギンは単純にかわいいという理由でウケたと思いますが、カツオはちょっとブラックな部分も含んでいます。いろいろいじめられたりして、悲しい、痛そうなシーンなどもありますが、その辺は食材なのでいいかな、という思いがありました。ペンギンが2つに切られたりしたらかなり残酷なイメージですが、魚ならかつお節になって削られたりしても許されるかなと思いまして」と、魚だからこそブラックユーモアが実現できたと話す。

 「ペンギンの派生キャラと誤解されるかもしれませんが、大人めのキャラということで、部品や、同時に登場するキャラクターなどはすべてBonite用に書き起こしています。Boniteには数々の災いが降りかかりますが、喜怒哀楽劇として楽しんでいただければ。何が起こってもBoniteは必ず復活します(笑)。打たれ強いので、温かい目で楽しんでください」(辻村氏)

PhotoPhotoPhotoPhoto ナイフとフォークにおいかけられたり、はしにつままれたり、缶詰になってしまった仲間に涙したりもする。一方でエビに笑顔で挨拶したりもする。待受画面とメニュー画面で、なんとも不思議な世界が展開される

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