モバイルコンテンツ関連市場は1兆円規模に──モバイル・コンテンツ・フォーラム 岸原孝昌氏ワイヤレスジャパン2007 キーパーソンインタビュー(2/2 ページ)

» 2007年07月17日 19時34分 公開
[石川温,ITmedia]
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検索エンジンの普及により変わるユーザーのコンテンツ利用

ITmedia 検索エンジンの利用が一般的になってきましたが、それによって、コンテンツビジネスにも影響は出てきましたか。

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岸原 キャリアの公式メニューに表示される順位とは違うロジックが出てきています。今まで以上にプロモーションが重要になってきたと言えるでしょう。着うたフルのようなパッケージメディアは、アーティスト名を検索窓にダイレクトに入力すればそのまま購入できるようになっています。今までは、キャリアのポータルサイトに表示されるメニューの順位ですべてが決まってしまう部分がありましたが、キーワード検索によって、メニューの順位が下位でもいきなり人気サイトになることが可能になっています。

 最近人気の「顔チェキ」などは好例です。ユーザーは、そのまま「顔チェキ」というキーワードを検索して、アクセスしています。これまでは、URLなどをプロモーションを通して告知する必要がありましたが、検索エンジンを利用してすぐにたどり着けるようになりました。

 コンテンツプロバイダとしては、キーワードを流行らせることが、新しいプロモーション手法として広まってくるでしょう。

ITmedia 2006年は、ソフトバンクがボーダフォンを買収したのに伴い、ボーダフォンライブ!が「Yahoo!ケータイ」に生まれ変わりました。これによって、既存のコンテンツプロバイダに影響はあったのでしょうか。

岸原 ソフトバンクモバイルに変わってからのコンテンツプロバイダの売り上げは、ボーダフォン時代と比べて落ちておらず、市場自体の伸び率もほかと変わりません。

 ソフトバンクモバイルは、Yahoo!モバイルをコンテンツのプロモーションサイトとして位置づけているようですね。今同社では、電子書籍を1話だけ無料で試読してもらい、2話目以降を買ってもらう「タダコミ」や、音楽番組形式で最新情報を配信する「タダ歌ばん」のようなしくみを採用しています。今後Yahoo!モバイルがプロモーションメディアとして成長すれば、むしろコンテンツの購入動機につながりやすくなると思います。

サブスクリプションモデルはまだ発展途上

ITmedia 一部で、着うたフルの定額制が始まりましたが、モバイルコンテンツのサブスクリプションモデルというのは広がっていくでしょうか。

岸原 これまで着うたなどは1曲いくらという課金スタイルだったので、ユーザーは自分の興味のあるものしか購入しませんでした。しかし月額数千円で聞き放題というのであれば、ほかの曲もちょっと聴いてみようか、という気になってくると思います。

 そうなるとサブスクリプションモデルは、コンテンツの販売モデルとしてだけでなく、サイトのメディアとしての価値が問われるようになってくるでしょう。“今月のお勧め”の楽曲が、料金を気にせず10曲ダウンロードできたりすれば、それらを試しにダウンロードしてみるユーザーが増え、新しいコンテンツに触れる機会も増えます。

 理想的なのは、毎朝新曲が端末に届くようなスタイルなのではないでしょうか。プッシュ型のモデルがもっと活性化してくると、ユーザーの広がりは大きくなってきます。

ITmedia ただ、現状はまだ魅力的なコンテンツがあまりありませんね。そのあたりはどうお考えでしょうか。

岸原 確かにその通りです。メディアとして大きくなる前段階でまだつまづいています。

 特に着うたフルは、現在市場が伸びているところなので、コンテンツホルダーに定額でのサブスクリプション制に(楽曲を)出してくださいとお願いしても、それは難しいと思っています。

 今売上がゼロであれば、サブスクリプション制のサイトに出してみようという気にもなるかもしれませんが、都度課金でも利用が増えている以上、新しい仕組みにコンテンツを提供するのは不安が出てきてしまいます。それがうまく回っていくしくみ作りが大切だと思います。

 また、権利関係の処理も今後大きな課題になるでしょう。ストリーミングやサブスクリプションなど、配信のしくみが増えると、権利関係の膨大な処理が必要になってきます。もっと簡便なしくみが必要です。今はそのあたりもまったく現状に追いついていない状態といえます。

 テレビやラジオが普及したのは、権利を強制許諾できるのが大きかったと言えるでしょう。放送する事業者も免許制で明確でしたし、コピーなどをされる心配もありませんでした。しかしインターネットの場合、誰がコンテンツを作って、誰がそれを使う分かりません。配信事業者、配信チャンネル、DRMなども複数存在しています。ただ、メディアとしてコンテンツを配信するのか、プロモーションとしてやるのかなど、コンテンツの目的、ルートなどを特定してやれば、実現できると思います。

 サブスクリプションモデルがちゃんとした形になるには、権利関連のしくみ作りをきっちりやって、モバイル向けのコンテンツ提供が安全であることを証明する必要があると考えています。

フィルタリング機能の整備もコンテンツの発展には不可欠

ITmedia 今後、コンテンツ業界が発展していく上で、直面している課題などはあるのでしょうか。

岸原 1つ問題になっているのがキャリアのフィルタリング機能です。現状のフィルタリングサービスは、キャリアの公式サイトしか接続できないというものか、第3者のフィルタリング会社が提供しするフィルタリング機能を利用するもので、特定のカテゴリーのサイトに接続できないようになっています。

 特定のカテゴリーを設定している場合、掲示板などがフィルタリングの対象となっている場合が多く、SNSやブログなどがフィルタリングされてしまってアクセスできません。モバゲータウンやWeb2.0系のコンテンツを扱うサイトは、20歳以下のユーザーは使えなくなってしまっているのです。

 ですのでキャリアには公式サイトだけを認めるという極端なものではなく、きっちりとしたフィルタリングを採用してほしいとお願いしています。今の状況では、例えば学校が用意する掲示板サイトも使えません。もっと親子で話し合いをしてもらい、自分で設定できるような機能にしてほしいと願っています。

 フィルタリング機能をきちんと整備してもらうことが、コンテンツの発展には不可欠だと考えています。

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