ソフトバンクモバイルのCF型HSDPA対応データ通信カード「C01SI」の実力(2/3 ページ)

» 2007年07月25日 09時49分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

導入は簡単──付属ユーティリティの使い勝手も良好

 本機はVC701SI同様、別途ISPの契約をすることなく、追加料金もなしでパケット通信でのインターネットへの接続が可能だ。ソフトバンクモバイル自身が「アクセスインターネット」というISPサービスを提供しており、パケット通信料に料金が含まれていると解釈してもいいだろう。ドコモでも最大384KbpsのW-CDMAであれば「mopera」を無料で利用できるが、HSDPA接続ではmoperaに加えて300円/月の契約が必要になる。@niftyなどの大手ISPでもHSDPA接続はサポートしており、ブロードバンド接続会員は実質HSDPAでの接続料金はかからないことも多いが、C01SIの方が手軽なのは事実だろう。

 ユーティリティの出来もVC701SIと同様になかなか優秀だ。付属CDからドライバをインストールして本機をカードスロットに装着し、ユーティリティソフトをインストールするだけで「アクセスインターネット」をISPとしたインターネット接続の準備が完了する。ユーティリティは通信中に送受信データ量、通信料金を確認する事も可能で、電波状態もリアルタイムで確認できる。電力消費を抑えるためにC01SIのLEDを消した状態でも、ユーティリティで電波状態は確認できるわけだ。

PhotoPhotoPhoto 左が接続前、中央が接続中のユーティティのメイン画面。接続中でも電波状態は確認でき、下部に接続時間、データ送受信量、通信料金がほぼリアルタイムで表示される。右はよりコンパクトに表示した場合で、この状態で接続/切断が行え、接続時間とデータ送受信量も確認できる

 ユーティリティソフトで本機の電源をオフにすることも可能で、非通信が一定時間続くと自動で電源を切ることもできる。電源オフの状態からでもインターネット接続が必要になったらすぐに接続を開始するので、積極的に自動電源オフ機能を利用しても不自由はない。

 切断時にダイアログを表示して、パケット通信料に応じた通信料金や残りの無料通信料金を表示する機能や、その履歴を確認する機能もVC701SIから継承。接続時や切断時のダイアログ表示はオンにもオフにもできるなど、ユーザーの使い方に合わせたカスタマイズにもきちんと配慮している。

Photo オプション設定の画面。接続/切断時のダイアログを無効にすることもできる。親切だが余計なお世話、と感じることもある機能を無効にできる点は結構重要だ
PhotoPhotoPhoto 契約している料金プランに合わせてパケット単価、無料通信料などを設定しておくと、切断時に無料通信料の残額の目安も表示される。定額制ではないのでこの機能はとても重要だ
Photo 任意の範囲で接続時間、通信量、使用料金などを集計して確認することも可能。“ここ1週間でどのくらい使ったか”といったことも簡単に確認できる

 もちろんPCのスタンバイや休止にもそつなく対応。インターネット接続中にいきなりディスプレイを閉じても、ユーティリティが自動で切断を実行し、C01SIの電源をオフにしてからスタンバイや休止状態に移行する。ユーティリティの出来はおおむね不満のないものと言えるだろう。

HSDPAのエリアは? 通信速度は?──音声端末とイー・モバイルも交えてチェック

 冒頭でも触れているとおり、ソフトバンクモバイルはHSDPA対応エリアを明確には公表しておらず、実際にどのエリアであればHSDPAで通信できるのか、通信速度はどの程度なのかは気になるところだ。また、料金や対応エリアの違いから、直接のライバルとまでは言えないが、同じくHSDPA対応のCFデータ通信カードであるイー・モバイルのD01NX、さらにC01SIの送受信能力を確認するために、一部ではHSDPA対応音声端末である「911T」をUSBケーブル接続でモデムとして使用し、その通信速度のチェックを行ってみた。

 まずは山手線の内側にある、筆者の行動範囲内でチェックしてみた。時間は正午頃と夕方から夜にかけてだ。なお移動中に時間を確保しての計測であり、定点観測ではない点に注意してほしい。基本的には屋内だが、できるだけ窓際に席を確保して計測を行っている。

 計5カ所で計測を行った結果、受信速度は2Mbpsを越える場合も多くまずまずの性能。イー・モバイルのD01NXでも並行して計測を行っているが、C01SIは音声通話と帯域をシェアしているにも関わらず受信速度では上回ることもあった。1カ所、平均が0.18Mbpsと振るわない場所があったが、もともとここは電波状態があまりよくなかった。

 逆に気になったのは送信速度だ。1カ所では平均335.7Kbpsと、HSDPAならではのデータ転送速度を記録したが、ほかの場所では30Kbps前後と、受信に対して送信が極端に遅いパターンが多かった。それでもWebアクセスなどでは特にストレスは感じなかったのだが、添付ファイルの大きなメールを送信する時などに不満を覚えた。

Graph 山手線の内側での計測結果
GraphGraph 左が受信(下り)のテスト結果、右が送信(上り)のテスト結果。いずれも薄い色がC01SI

 次は23区内でも都心部から離れた場所で実験してみた。大田区と世田谷区で、電波状態は問題ないであろう場所を選んでいる。こちらも時間帯は正午頃と夕方から夜間だ。屋内という点は山手線内側でのチェックと同じで、窓際などに席を確保して計測を行っている。

 こちらは計4カ所で計測を行った。結果はD01NXがかなり良い勝負という印象で、受信速度では2カ所で明らかに上回り、1ヵ所でほぼ拮抗。勝ち負けで言うなら2勝1敗1引き分けというところだろうか。送信速度は1カ所で平均60Kbpsに留まったが、残りは軒並み平均で300Kbpsを越えている。

 4カ所のうち、3カ所では911TをUSB接続でモデムとして利用したテストも行った。911Tとの比較では、3カ所中2カ所で受信速度で大きく上回っている。今時は音声端末もアンテナが内蔵されていることもあって、CFタイプより送受信能力が上とは限らないと思うのだが、CFタイプかつ外付けアンテナなしでこの結果は立派と言えるのではないだろうか。

Graph 23区内の任意の場所でのテスト結果

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年