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» 2007年10月23日 11時24分 公開

多くの人に「使いやすく、楽しいUI」を──多様性を重視するドコモのUI戦略神尾寿のMobile+Views(1/2 ページ)

商品力やサービス活性化につながるカギとして、携帯電話のユーザーインタフェース(UI)が大きな注目を集めている。そんな中で、ドコモは携帯のUIをどう見ているのか。NTTドコモ執行役員プロダクト&サービス本部プロダクト部長の永田清人氏に聞いた。

[神尾寿,ITmedia]

 振り返ると、1999年のiモード登場以降の5年あまりは、携帯電話の「新機能」や「新サービス」「デバイス」の進化が、多くの人々を惹きつけてきた。iモードやiアプリ、最近では着うた/着うたフルなど新サービスへの対応や、カラー液晶に携帯カメラ、ワンセグなど搭載デバイスの性能が、“携帯電話の魅力”につながっていたのだ。

 その一方で、急速に進んだ多機能化・高性能化は、携帯電話の機能やサービスを「使いこなせない人たち」を増やしてしまった。また、価格レンジの高低を問わずに、十分に多機能・高性能な端末が増えた結果、ユーザーのケータイ選びが、やや白けたムードになっているのも事実だ。携帯電話の進化は、今後の方向性を見直す踊り場にある。

 そのような中で注目されているのが、携帯電話のユーザーインタフェース(UI)だ。豊富な機能やサービスを“分かりやすく”し、さらにユーザーの“利用意欲を促進”する。携帯電話のUIは、単なる操作手段から、商品力の向上やサービス活性化につながる鍵になりつつある。「iPhone」を見れば分かるとおり、優れたUIは、既存の技術や機能、デバイスを「革新的な商品」に生まれ変わらせるのだ。内外を問わず、携帯電話ビジネスの世界でUIの洗練が重要なテーマになるのは間違いない。

 そこで今回のMobile+Viewsでは、NTTドコモ執行役員プロダクト&サービス本部プロダクト部長の永田清人氏にインタビュー。国内最大手キャリアであるドコモのUI分野への取り組みと、今後の方向性について聞いた。

Photo NTTドコモ執行役員プロダクト&サービス本部プロダクト部長の永田清人氏

普通のビジネスパーソンが使えるスマートフォンを

 ドコモは今年に入ってから、たびたび携帯電話のUIを重視する発言をしており、直近では8月に発表されたHTC製の「HT1100」と富士通製の「F1100」において、Windows Mobile機のUI改良による“使いやすさ”を強調している。特にHT1100は独自のタッチパネルUI「TouchFLO」技術を組み合わせていたこともあり、人々の注目を集めた。

 「HT1100やF1100でUIの部分にフォーカスした狙いは、より多くの人にWindows Mobile端末を使ってもらうというところにあります。1100シリーズは主にビジネス用途向けですが、企業の中にいる人がすべてITリテラシーが高いわけではない。また一般ユーザーの中にも、PCとの親和性が高いWindows Mobile機に興味がある人もいるでしょう。そのような人たちに使いやすいモデルを提供したかった。

 他のキャリアも(標準UIを使う)Windows Mobile端末を発売していますが、我々は普通のビジネスパーソンが使える(Windows Mobile)端末を出したかったのです」(永田氏)

 Windows Mobileを使ったスマートフォンは日本でも次第に増えてきており、ソフトバンクモバイルやイー・モバイルのラインアップでは存在感も増してきている。しかし、その利用層が一部のPCリテラシーの高い層に限られており、本来のターゲットであるビジネスユーザーに浸透していないのも事実だろう。ドコモがスマートフォンで狙うのは“普通のビジネスユーザー”であり、その市場を開拓するためには、使いにくいWindows MobileのUIを“使いやすく補完”する必要があったのだ。

タッチパネルは「機が熟した」か?

Photo 「『タッチパネルが今後主流のUIになるか』は少し疑っている部分もあります」(永田氏)

 ここ最近の携帯電話UIでいうと、注目はやはり「タッチパネル」だろう。この分野でのチャレンジは日本でも古くから行われてきたが、今年6月にアップルがiPhoneという革新的なモデルを投入したことで世界的に再評価されている。

 一方、ドコモに目を向けてみると、同社もタッチパネルUIへの取り組みは以前から行っている。古くは1997年に発売した「ピーターパン」がそうであるし、FOMAになってからも「SH2101V」や「M1000」などPDAタイプの端末でタッチパネルが採用されていた。だが、それらは多くのユーザーに「(ドコモの)期待ほど受け入れてもらえず、ビジネス的にも満足のいく結果につながらなかった」(永田氏)のが実情である。

 なぜ、いち早くタッチパネルUIに取り組んだモデルは“うまくいかなかった”のか。永田氏は3つの理由をあげる。

 「1つには端末サイズがあるでしょう。当時の技術ではタッチパネルUI端末の小型化が難しかったのです。

 2つめの理由として考えられるのは、機能やサービスの量がタッチパネルを必要としていなかった、ということです。今ほど携帯電話の多機能化が進んでおらず、操作も複雑ではなかったので、カーソルキーによるメニュー選択で十分だったとも考えられます。

 3つめの理由は利用スタイルやタイミングですね。初期のタッチパネルはPDAのようにスタイラスペンで操作するものでしたから、使用時に両手を使います。これがiモード全盛期には受け入れられなかった。全体的にタイミングが早すぎたのでしょう」(永田氏)

 その後、携帯電話関連のデバイス技術が進歩したこともあり、タッチパネルUI搭載機でも小型化が可能になった。また、iPhoneではモーションセンサーや各種入力サポート機能の存在により、指だけで十分に複雑な操作ができるようになっている。

 「正直にいえば、『タッチパネルが今後主流のUIになるか』は少し疑っている部分もあります。日本のユーザーは特に画面の汚れを気にしますから。しかし、国内外でiPhoneをはじめタッチパネルUIの端末は次々と出てくるでしょうから、お客様も次第に『触って操作する』ことに馴染んでくるのかもしれません。

 またタッチパネルUIは、ユーザーのスキルに応じて適切な操作ガイダンスを出すことができます。これは将来的な“完全マニュアルレス”の携帯電話開発に貢献する。そのほかにも、操作感をデザイン的に優れたものにすることで、商品力の向上にも貢献するでしょう。潜在的な可能性は大きい。タッチパネルは、ドコモも取り組んでいかなければならないUIの1つだと考えています」(永田氏)

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