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» 2007年11月07日 10時32分 公開

ケータイを“インターネットマシン”へと進化させる──ソフトバンク 孫正義社長 (2/3)

[園部修,ITmedia]

端末の割賦代金を加えた“月々の支払総額”は増加傾向

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 2007年第2四半期のARPU(1ユーザーあたりの平均収入)は、4800円と第1四半期の5000円からさらに200円下がった。月額980円のホワイトプランの加入者が増え続けていることもあり、音声ARPUは急激に下がっている。ただし、これはソフトバンクモバイルが毎月の通信料金から、端末代金分を値引きしていることも原因の1つで、ユーザーが支払っている端末の割賦代金を加えれば、支払額は増加傾向に転じているという。

 孫氏は「従来、販売奨励金の回収分はARPUに含まれていた。しかし新スーパーボーナスの導入により端末価格を分離して計算しなくてはならなくなったため、従来とは異なる物差しでの比較になってしまっている。割賦請求分の価格を含めたユーザーの支払総額は増加している」と話し、ARPUの低下には歯止めがかかっており、それほど悪くなってはいないとした。

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 特に音声ARPUが減少しているのに対し、データARPUは延びていることから、「2Gから3Gへの移行が進み、データARPUは上がっている。そしてこれから数年後には4Gの時代がやってくる。携帯電話は音声中心の時代からデータ通信が中心の時代になると確信している」(孫氏)と、今後もデータARPUは増え続けると予想する。

 ちなみに3G契約者の「パケットし放題」加入比率は約56%。3Gの定額ユーザーに限ると、データARPUは2000円前後だったという。全体のデータARPUは1400円前後なので、3Gユーザーはより多くのデータ通信を行う傾向が強く、3Gユーザーが増え、さらにARPUが高くなると予想する。

 「インターネットに強いソフトバンクグループの携帯電話は、音声マシン(通話のためのマシン)からインターネットマシンに変わる」(孫氏)

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 ちなみにGoogleが11月6日に発表したOpen Handset Allianceにソフトバンクが参加していない理由を問われた孫氏は、「数カ月前からGoogleの話は認識していたが、我々はまだ取り組むかどうかは決めていない。これから検討する。ただ、オペレーターとして業務提携しないと利用できないというものではないかと思う。OSは端末メーカーが決めること。一般の消費者は端末にどのOSがはいっているのかなんて意識していない。大事なのはその上に乗るアプリケーションやコンテンツだ。その点ソフトバンクは、Googleの倍のトラフィックがあるYahoo! Japanを擁している。Yahoo!メールのユーザーの方がGmailのユーザーよりはるかに多い。ソフトバンクグループとしては、携帯への取り組みを強化して、どういうOSのもとであれ、その上に乗せるサービス、コンテンツとして我々の存在感をしっかり出していきたい」と話した。

ソフトバンクはアジアナンバーワンのインターネットカンパニー

 孫氏が説明会の冒頭でも触れたとおり、この日は中国のAlibaba.comが香港証券取引所に上場を果たした。同社のIPO(株式公開)は、「インターネット企業としては2007年最大」とも言われており、公募価格13.5香港ドル(約199円)に対して、30.20香港ドル(約446円)の初値がつき、39.5香港ドル(約582円)で取引を終えた。

 Yahoo! Japanとalibaba.comを傘下に擁するソフトバンクグループは、今や「アジア最大のインターネットカンパニーだ」と孫氏は話す。同氏は「数年前は米国で成功したビジネスモデルを日本に持ち込み成功させてきた。Yahoo!やEtradeがその例だ。今度はB2Bの世界でもっとも進んだビジネスモデルを成功させたalibaba.comを日本に持ち込む」と意気込んだ。すでにalibaba.comとのジョイントベンチャーを設立し、“アリババ ジャパン”を準備中だという。

 ちなみにソフトバンク持ち株会社は、一時期事業会社ではなく投資ファンドではないかといわれたこともあったという。しかし孫氏は「ソフトバンクは投資ファンドとは違う」と説明。投資ファンドは2〜3%の投資を行い、直接経営に関わらないパッシブな投資がほとんどだが、ソフトバンクの場合は30%以上、日本国内では過半数の株を持ち、戦略的な事業パートナーシップを結んで投資してきたことを力説した。どの案件も、投資をしたころはまったく事業活動が理解されないという状況が何年も続いたが、Yahoo! Japanやalibaba.comはどれも1兆円単位の含み益をもたらした。「米国、日本、中国と、時代の流れをみながらそのタイミングに合わせて1歩1歩前に進んできている」(孫氏)

 alibaba.comは、現在Yahoo!オークションに相当するC2Cの商取引の場であるtaobao.comや、電子決済システム「alipay」、Yahoo!中国など、さまざまなインターネット企業をグループに内包しており、これからも大きな成長が期待されている。

 「ソフトバンクは単なる国内ナンバー3の携帯電話事業者ではない。アジア最大のインターネットカンパニーが、最近携帯電話事業を始めた、というのが実態だ。日本の経済の中で、傘下の企業が数十社も上場したというケースは、ほかに例がないのではないかと思う。事業会社が戦略的に投資して、数十パーセントの事業パートナーとしてのポジションを取り、上場後も戦略的連携を継続しているグループというのは、おそらく世界に一社もないのではないか。

 しかも、すべての企業がインターネットに関連する会社であることもほかに例がないだろう。1つの事業分野における戦略的投資だけに集中し、しかも続々とこれが主要な国で上場した。この“戦略的インターネット企業集団”こそがソフトバンクのビジネスモデルだ」(孫氏)

 そのソフトバンクがなぜ携帯電話事業に取り組んだのか。それは、孫氏が「携帯電話はこれまで、通話のための“ボイスマシン”だった。しかしこれからケータイは“インターネットマシン”に進化する。いわば携帯電話の第2ステージ」だと考えているからだ。

 「ソフトバンクは競合する携帯電話事業者の後追いをしている会社ではなく、アジア最大のインターネットカンパニーが、インターネットのノウハウ、技術、土地勘を使って携帯に参入している」(孫氏)

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