ソフトウェア面は、いままでのau向け東芝製端末の使い勝手をほぼそのまま継承する。
不在着信や新着メールがあった時に、ディスプレイを開いた瞬間にバイブで知らせる「カチャブル」や、メール送信が失敗した場合に通知してくれる機能など、東芝端末ならではの機能を備える。日本語入力システムは特徴的なフレーズ予測と次文節予測も備える「モバイルRupo」。アドレス帳は待受画面からダイヤルキーの長押しで「あ行」「か行」「さ行」などの一覧を表示してくれる。

日本語入力システムは東芝製端末でおなじみの「モバイルRupo」。例えば、“こわ”と入力すると「こわ」〜「こん」と、最後に入力した母音を拡張してフレーズ予測する特徴的な機能を備える。英数変換時は「月日」や「時刻」への変換も行え、英字変換も学習する(左)

フォントサイズの設定範囲は現在のau端末における共通仕様。5つの機能グループ別にサイズを最大5サイズから選択できる(左、中)。ダウンロードフォントもサポートする。東芝の携帯情報サイト“TUCS”から無料でダウンロードできる。ダウンロードデータにはこのような「明朝」フォントもあるW55Tはビジネスユーザーをかなり意識した端末。そのためか、「ボイスメモ」機能をクローズアップするのも特徴の1つだ。
ボイスメモ機能はメニューの1階層目に存在し、端末を閉じたままでも裏面の[Rec]キーを長押しすることで録音できるようになっている。録音中であることは通知LEDが赤く点滅することで確認できる。
ただ、録音までは非常に気軽に使えるが、録音データの圧縮コーデックは音質がいまひとつのQCELPのままであり、録音の停止は端末を開いて操作する必要がある。“ICレコーダー”代わりとして徹底活用するには少し中途半端な印象を受けるのは否めないところではあるものの、これを機に使ってみようか、という気持ちにはさせてくれる。常時持ち歩く携帯電話だけに、会議などの録音のほかに、備忘録用「音声メモ」などとして気軽に利用できるかもしれない。


メニューインタフェースは、各種設定を行う“機能”以外はほぼ単階層で分かりやすく構成。ボイスメモ機能を含めて、PIMを中心にダイレクトに機能を呼び出せる仕様だ。メニューから直接呼び出せない機能は、待受時に下キーで表示される“デスクトップメニュー”から呼び出せる(左)本機の魅力は、やはり最薄9.9ミリの極薄ボディと端正なデザインにある。
実際に触れてみると分かると思うが、このくらいスリムになると胸のポケットに入れてもほぼ違和感を感じないし、上着やズボンに入れる場合もポケットを選ばずにすむ。今の季節は収納場所がいろいろあるが、上着を脱ぐ機会が多くなる夏になると、より顕著に本機のメリットを実感できるのではないだろうか。
一方、FeliCaに対応しない点はやはり残念である。
交通から買い物まで、FeliCaが生活に浸透しているのはまだ都市部中心であるが、例えば、航空会社のように全国区のサービスもあり、コンビニエンスストアなども含めて、今後続々拡大するのは間違いない。W55Tは特にビジネスユーザーを意識した端末として展開するので、サイズを少し厚くしてしてでもFeliCaは搭載してほしかった。
プリセットのFlash壁紙。ICクレジットカードを意識したデザインで、番号部分が日付や時刻からバッテリー残量、アンテナレベルまで表示してくれる。ここまでプリインストールデータにこだわったのに、FeliCaがないのがかなり残念KDDIが11月16日に開始した「au買い方セレクト」の導入で、(ヘビーユーザーへの優遇措置があるとはいえ)この2007年秋冬モデルから、いわゆる“縛り期間”にともなって同じ機種をやや長めに使う状況になる側面がある。今すぐ必要でないという場合も、1〜2年後を想定するとこの点で割り切れない人は意外に多いかもしれない。おそらく開発側は、本体サイズとコスト面で泣く泣く割り切る決断をしたのだろう。
W55Tは、最近の携帯に望む機能の上位に来る、ワンセグとFeliCaを搭載しない。そのかわり、極薄ボディと上質なデザインが際だっている。そしてデザインは“プレミアム”だが、販売価格はプレミアムではない点も評価できるポイントだ。薄さはもちろん、ディスプレイを開け閉めした時のフィーリングなども含めて、やはり実機に触れてみると分かる魅力も多い。
そういう意味で、携帯の機能をある程度割り切れる、あるいは携帯に多くの機能を望まないかわりに、デザインや質感にこだわりたい“オトナ”なユーザーに向くといえるだろう。
動画で見る「W55T」
厚さ9.9ミリ、クレジットカードサイズの極薄ケータイ――「W55T」
厚さ9.9ミリのカードサイズケータイ「W55T」、12月7日から順次発売
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