振り返れば、“ブラックとオレンジ”の端末が気になった1年ITmediaスタッフが選ぶ、2007年の“注目ケータイ”(編集部平賀編)

» 2008年01月07日 22時52分 公開
[平賀洋一,ITmedia]

 2007年を振り返って気が付いたのは、新端末の発表から発売までの期間が延びていることだ。開発の遅れなどで発売日が伸びることはあったが、2007年は発表時点でかなり先の発売日を設定するケースが目立った。

 例えば、NTTドコモのソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製ワンセグ端末「S0903iTV」は、2007年1月の発表時点で半年後の6月に発売するとアナウンスされた。また8月には、Windows Mobile搭載の富士通製スマートフォン「F1100」と、HTC製スマートフォンの「HT1100」が発表されたが、発売時期は2008年の1月〜3月だと言う。また、705iシリーズが例年より2カ月早く発表されたのも記憶に新しい。同時に発表された905iシリーズと比べた結果、“705i待ち”という人も多いのではないだろうか。

 もちろん、ソフトバンクモバイルの東芝製スマートフォン「X01T」や、auのKCP+端末「W56T」「W54SA」「W54S」のように開発が遅れて発売時期が延びる端末もあった。

 新製品発表から発売までの期間が長すぎると買い控え起き、現行機種が売れなくなるという。しかし法人需要を狙う端末の場合、企業が導入するまでに時間がかかるため早めに発表する必要があるという。また、2006年のKDDIは、番号ポータビリティが開始される2カ月前に大量の端末を発表し、MNPスタートダッシュを決めている。端末の発表から発売までの適切な日数というのは、果たしてどれくらいなのだろうか。

 もしかすると、季節ごとにまとまったモデルを発表することに無理が生じているのかもしれない。2007年は携帯電話の買い方が大きく変わった1年だった。2008年は端末の発表の仕方や販売時期の設定など、その売り方が変わる1年になるのだろうか。

トップニュースはイー・モバイルの新規参入

 さて、2007年の携帯市場で最も大きなニュースといえば、イー・モバイルが新規開業したことだろう。エリアが限られていることや音声通話サービスがまだ行われていないことから、“1人前”のキャリアとして認識していない人も多いかもしれない。

 イー・モバイルの代表取締役会長兼CEOである千本倖生氏は同社の開業イベントで、「イー・モバイルは通信業界の海に進む艦隊。スマートフォンの『EM・ONE』は旗艦で、データ通信カードがそれを守る駆逐艦。武器は定額制だ」と話している。2008年はイー・モバイルの音声サービスも始まり、イー・モバイル艦隊の影響は日増しに強くなるだろう。

 ということで、スマートフォン・データ通信カード・定額制という観点から2007年の注目端末を選出した。ソフトバンクモバイルのHTC製スマートフォン「X02HT」と、auのデータ通信カード「W05K」、そしてデータ通信も通話も定額制を武器とするウィルコムの東芝製端末「WX320T」だ。ちなみに、新規参入で影響を与えたほうのイー・モバイル端末は“別格”ということで選外としている。また、3機種ともメインカラーが“ブラックにオレンジ”というのも(多分)偶然だ。

スマートフォンとデータ通信カード、そしてPHSで振り返る2007年

 日本におけるスマートフォンの火付け役といえばウィルコムの「W-ZERO3」だ。2007年には、これまでの不満点を改善したシリーズ最新作の「Advanced/W-ZERO3[es]」が発売された。しかし、前モデルの正常進化版であり、スマートフォンだが普通のケータイらしさも必要だったためか、やや“迷い”のある端末に見える。

photo X02HT
photo W05K

 その点、スマートフォンながら普通のケータイとして使えるのがX02HTだ。多種多様なスマートフォンを海外で展開しているHTCだけに、国内にないタイプの1台をすんなりと出してきた。まず、スライド式のQWERTYキーボードではなく、ストレートタイプのQWERTYキーボードである点が嬉しい。似た形状のスマートフォンとして、SIMロックフリーのノキアの「E61」やNTTドコモの法人向け端末「BlackBerry 8707h」などがあるが、特殊なモデルのため個人では所有しくにい。

 X02HTは片手で使うことが多い携帯端末として、タッチパネルではなくキーのみで完結する操作性も良い。また、搭載するバージョンが違うとはいえ、ほかのWindows Mobile搭載機より軽快に動作する点も評価したい。

 多くのモバイルユーザーは、“スマートフォンって帯に短したすきに長しだよね”と気づき始めている。帯(PC)か、たすき(普通のケータイ)か。X02HTはディスプレイも小さく、制限も多いが、スッパリと機能を切り詰めて“たすき”を目指した、(日本では)新しいタイプのスマートフォンだ。

 前述の通り、イー・モバイルの新規参入で活性化したのが、データ通信カード市場だ。中でもKDDIのW05Kは、Rev.A対応で下り最大3.1Mbps/上り最大1.8Mbpsという速度で通信できる。対応の定額制プラン「WINシングル定額」による月額6930円という料金はイー・モバイルよりも高めだが、上り速度が速く、対応エリアもCDMA 1X WIN/CDMA 1Xエリアを含めれば日本全国と広い。かなり画期的な製品と言えるだろう。しかし、2007年末で最も魅力的なRev.A端末がデータ通信カードというのも、一抹の寂しさを覚える。

photo WX320T

 6年ぶりに東芝がPHS端末を供給することで話題になったのが、ウィルコムのWX320T。内蔵アンテナや赤外線通信機能など、PHSとしては新しい試みが盛り込まれた1台だ。元祖・定額制、24時間の話し放題を武器とするウィルコムにとって、通話メインのユーザーが選ぶ“普通のケータイらしい”数少ない端末でもある。セールスも順調のようで、発売後にカラーバリエーションが2色も追加された。

 しかし、音声通話メインのシンプルなモデルとはいえ最新機種がこれでいいのか。という疑問がないわけではない。サイズやフォルムは一昔前のケータイのそれであり、ディスプレイサイズも2.4インチとどこか懐かしい大きさだ。カメラは130万画素とまぁまぁな画素数だが、“シャッター音が鳴り終わってから撮影が始まる”という仕様ではまともに撮影ができない。日本語入力環境も携帯電話と比べてしまうとかなり貧弱だ。キャリアマターとはいえ、音声端末では対応コンテンツの拡充やGPS/FeliCaの搭載が今だ実現していない。

 ぜひともウィルコムには、2008年中に携帯電話との差を縮めた音声端末と新サービスを発表してほしい。2.5GHz帯の免許を取得し次世代PHSへの期待が高まるウィルコムだが、第1弾のデータ通信カードが登場するのは2009年だという。本年中に競争力のある音声端末を発売して、2009年に弾みを付けて欲しいと思う。

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