転々「私、昨日、廃業しました」Mobile&Movie 第290回

» 2008年01月18日 16時44分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名転々
監督三木聡
制作年・製作国2007年日本作品


 今回ご紹介する作品は、昨年末突然の結婚発表で世間を驚かせたオダギリジョー主演(お相手は香椎由宇)の『転々』。借金に苦しむ大学生が、借金取りの提案により、東京の町を散歩することになります。

 以下、内容に触れますので、これから見る予定の人は注意して下さい。

 文哉(オダギリジョー)は、古びた四畳半のアパートに住む大学8年生。目下の悩みは学業のことよりも借金問題。産みの親には捨てられ、育ての親は逮捕され、天涯孤独の文哉は借金を返せるメドが立ちません。返済の期限があと3日と迫ったところで、文哉のアパートに借金取りの福原(三浦友和)が現われます。

 文哉の借金の総額は、利息も合わせて84万円。慌てふためく文哉は何とかして、1円でも返せないものかと悪あがきしますが、福原は冷静に文哉に返済する能力がないことを見抜きます。そして文哉に100万円の札束をチラつかせ、福原は提案します。

 「100万円ある。オレに付き合え」

 状況を理解できない文哉は驚くばかり。福原は続けます。

 「散歩するだけで100万円やる」

 文哉は何か裏があるに違いないと勘ぐりますが、借金を返すためには手段を選べず、福原の提案を受け入れることにします。こうして文哉は福原と“東京散歩”をすることになりました。期間は福原が満足するまでで、それが終われば100万円が文哉のもとに。

 最初に福原が向かったのは吉祥寺。福原と文哉は2人で井の頭公園を歩き、焼き鳥屋(いせや)にも足を運びます。福原が思い出を語りながら歩いていると、携帯電話の呼び出し音が。

 「はい、ええ、ご用件はわかりました」

 淡々と話す福原。

 「私、昨日、廃業しました」

 そっけなく電話を切った福原に文哉は慌てて尋ねます。

 「廃業って、借金取りやめたんですか?」

 「もっと大事なものをやめたんだ」

 福原が借金取りをやめたと聞いても、100万円のためには“東京散歩”を続けるしかない文哉。福原は文哉の思い出の地にも行きたいと言い出し、文哉はかつて家族と住んでいた街(中央線沿線)まで案内します。2人で散歩をし始めて数日後、やっと福原は“散歩の理由”を文哉に明かしますが、それは信じられないものでした。ウソか本当か判断つかないまま、福原の妻との思い出をめぐる散歩をひたすら続けます。

 やがて辿り着いた東向島では、福原の知り合いの麻起子(小泉今日子)の家を訪れ、文哉と麻起子の姪のふふみ(吉高由里子)と4人で、家族団欒のようなひとときを過ごします。文哉はすっかり忘れていた、家庭の温かさを思い出して悲しくなってしまいます。そして福原との絆が少しずつ深まりかけた頃、“東京散歩”は終着点へ。ラストシーンは、福原が携帯電話を投げ捨てて……。

 どこか懐かしい“昭和”の香り漂う景色に惹かれ、見終わった後“東京散歩”したくなる作品です。公式サイトでは、GPS携帯で足あとを実況中継しながらロケ地をめぐる“東京お散歩ラリーが実施されています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月27日 更新
  1. 「海外からの迷惑電話が解消した」との声も NTTタウンページの「詐欺対策」アプリ、累計100万ダウンロード突破 (2026年06月25日)
  2. 年会費9万9000円の価値はある? 最上位クレカ「Olive Infinite」と「Visa Infinite」の違いと持つべき人 (2026年06月25日)
  3. 「モラルが欠如している」──LINE安否確認で“悪ふざけ”、SNSで批判の的に (2026年06月26日)
  4. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  5. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」どちらが買いか? 2機種を使い込んで分かった“スペック表にない違い” (2026年04月29日)
  6. スマホの短期解約、最長1年の「継続利用」容認で抑制へ 「お試し割」は統合 総務省が取りまとめ (2026年06月25日)
  7. 「日本は6G周波数の議論すら始まっていない」 クアルコムが抱く危機感と、AI時代の次世代通信 (2026年06月26日)
  8. ソニーaiboからの「撤退は勘弁して」──オーナーが不安視 同社「今後のお話」YouTubeで発信へ (2026年06月27日)
  9. iPhoneそっくりなだけじゃない、コラボモデルもある「HONOR 600 Pro」 (2026年06月26日)
  10. ソニー「aibo」の国内販売終了 なぜ、人に愛される存在になったのか (2026年06月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー