テクノシステムリサーチによると、2007年に出荷された携帯電話のうち、ワンセグを搭載してたのは約36.9%の1880万台だったという。それが2008年には約3220万台に増え、ワンセグ搭載率は約67%にまで向上すると予想されている。その後もワンセグ搭載率は徐々に高まり、シャープでは「いずれはカメラのように、さりげなく携帯に載っているものになっていくと考えている」(宮本氏)。
そのような状況の中、シャープのワンセグチューナーモジュールの累計生産台数は2007年12月に1000万個を突破した。2006年2月から約2年弱での達成ということになる。宮本氏は、ワンセグ携帯の出荷台数が2007年末までの累計で2000万台程度であることから「モジュールの出荷から、実際の製品として発売されるまでには時間差があるため単純には計算できないが、シェアは4割から5割はあるのではないか」と自信を見せた。
携帯電話のような小型のデバイスで、いつでもどこでもテレビを楽しむという考え方は、実は日本だけでなく欧米でも注目を集めている。
日本がワンセグ(ISDB-T)という規格を採用しているのはすでにご存じのとおりだが、ブラジルも類似の方式(SBTVD-T)で2008年以降にサービス開始を予定している。一方欧州ではDVB-Hという方式が主流で、フィンランド、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、インドなど、さまざまな国で普及が進んでいる。またお隣の韓国では、T-DMBという方式でサービスを行っており、すでに携帯電話やPND、デジタルカメラなどに搭載されている。中国では、現在2008年の北京オリンピック開催へ向け、放送サービスの拡充が図られており、DTMBという独自方式の放送サービスが提供される予定だ。
このように、世界中でモバイルTVは注目を集めているが、1つ問題となっているのが、地域によって方式が異なる点だ。ISDB-T(ワンセグ)、DVB-H、T-DMB、DTMBといった方式は、それぞれ周波数や映像フォーマット、符号化方式などに違いがある。ワンセグを搭載していても、海外で現地のモバイルTVを見ることはできないのだ。
そこでシャープでは、ワンセグチューナーモジュールに加えて、DVB-H/T-DMB対応の「VA3B5EZ915」や、DTMB(GB20600-2006)対応の「VA3C5CZ920」なども開発し、世界各地のモバイルTV放送をサポートできるラインアップをそろえている。VA3C5CZ920については、消費電力が大きいため携帯電話への搭載は現状では難しそうだが、現在のラインアップでほぼ世界中のモバイルTV放送の受信をサポートできる。
今後はチップのさらなる薄型化、小型化を図るほか、ISDB-TやDVB-H、T-DMB、DTMBのすべての方式を1チップでやっていく方向性で考えているという。
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