IIJが5月14日、2025年度通期の決算を発表した。売上は3454億円で前年比9%増、営業利益は348.4億円で前年比15.7%増の増収増益となった。
2026年度は売上3850億円、営業利益385億円を見込み、サイバーセキュリティ対応ビジネスの強化や情報システム部門アウトソース需要対応などを拡張させる。
AIを活用した事業も加速させる。システムインテグレーションでは顧客のSI需要や付加価値の提供、ネットワーク機器の構築や運用などにAIを活用する。ネットワークサービスではインフラの運用高度化やサービス開発にAIを活用。2029年度までに全社業務の約30%をAI化することを目標とする。AI活用の全体的な方針として、セキュリティサービスの高度化にAIを使うなど、「AIモデルをスクラッチで開発することには加わらず、そのバックボーンでポジションを確立していきたい」と谷脇康彦社長は話す。
モバイルサービスの回線数は、2025年度末時点で639.7万に達した。内訳は、法人モバイルが357.3万、IIJmioが143万、MVNEが136.6万となる。IIJmioは、2026年3月に「ギガプラン」の15GBを値下げしたことや、JALモバイルの好調もあり、回線数が継続的に増加しているとする。
メモリ価格や原材料高騰などの影響を受け、一部の大手キャリアや端末メーカーは値上げに動いている。
こうした現状について谷脇氏は「半導体やメモリ、供給が不安定な状況が続いているが、業績に与える重大な影響が出ているわけではない」と述べる。
「SIだと、仕入れ価格にマージンを加えて売価を設定している。ネットワークサービスについても、利用している機器の償却期間が4年ほどなので、一気に機器の価格高騰の影響が出るわけではない。ただ、品薄になっている状況もあるので、在庫を持っている事業者との連携など、タイトなオペレーションを続けていく必要はあると思っている」(同氏)
IIJmioの値上げについては「現時点で、料金を改定する計画はない」と述べ、現在の料金プランを維持することを改めて示した。
MVNOのネットワーク品質について、ドコモ回線の品質悪化問題が、MVNOにも影響が出ているようだ。イオンモバイルが発表した2025年の実効速度は、平日の日中に1Mbps前後しか速度が出ていないことが示された。ドコモも4G周波数の5G転用や5G基地局の増設など、急ピッチで対策を進めているが、まだ改善の途上だ。
ネットワーク品質について谷脇氏は「いろいろな記事がネット上に掲載されているのは私も読んでいる。ドコモ回線の品質問題について、いろいろなご意見がお客さまから寄せられているのも事実。他方で、ドコモさんに起因する品質の問題と、私どもが帯域を仕入れている部分の影響を完全に切り分けるのは難しい。個別の話に立ち入ることは差し控えたいが、MVNOとして、サービス品質は最も重要なものの1つ。キャリアさんとは、品質の問題を含めて真摯(しんし)に話し合いを続けていきたい」と述べる。
IIJが全社的に取り組んでいるAIを、MVNOの帯域増強や回線品質向上に役立てることも有効といえる。谷脇氏は「AIを活用して帯域が混み合っているときにリソースを融通するような仕組みも可能になってきている。AIを本格的に実装していくプロセスの中で、ネットワーク品質の改善にAIを使っていくことも、当然視野に入ってくる」と前向きに述べた。
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