IIJmioは15GBを値下げして“中容量帯”へシフト ドコモ3G停波の影響は「音声SIMにはなし」

» 2026年02月06日 17時33分 公開
[田中聡ITmedia]

 IIJ(インターネットイニシアティブ)が2月6日、2025年度第3四半期の決算について発表した。売り上げは2493.3億円で前年同期比8.7%増、営業利益は244.1億円で前年同期比17.9%増の増収増益を達成した。

 売り上げの内訳を見ると、一時売り上げが3.5%減となったが、これは2024年に実施した、1件約50億円の個別大型案件の反動減によるもの。ストック売り上げは12%増と好調を維持している。

 営業利益については、コストが増加基調にある中、谷脇康彦代表取締役社長は「サービス価格は、各サービスで柔軟に改定していく方針」と話す。また、MVNOがキャリアに支払っている接続料については、2020年から導入している将来原価方式の算定精度が向上。今期は予測通りの金額だったため、従来のような払い戻しが発生しなかったことも明かされた。

IIJ決算 IIJの第3四半期決算総括。ネットワーク構築の大型案件も順調に獲得できているという
IIJ決算 2025年度第3四半期の業績と2025年度の業績見通し
IIJ決算 谷脇康彦社長

IIJmioのギガプランは15GBを値下げして中容量シフトを狙う

 モバイルサービスの回線数は個人と法人の合計で410.4万に達した。このうち法人サービスは350万回線になり、渡井昭久CFOは「IoT機器の接続、監視カメラなどがコンスタントに積み上がっている」と話す。個人向け「IIJmio」は139.5万回線に達し、IIJmioのサービスを横展開している「JALモバイル」も好調を維持している。「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」がeSIMのみになったことも影響してか、eSIMの回線も好調で20万超に達した。

IIJ決算 セキュリティ事業とモバイル事業の概況

 なお、IIJmioの「ギガプラン」では、2026年3月1日から料金を改定する。15GBプランの月額料金を200円値下げし、音声SIMは月額1600円になる(データeSIMは110円の値下げ)。

 この狙いについて谷脇氏は「ギガプランで主に使われている5GBは4割強を占めるが、15GBは2025年12月末で3.7%にすぎない。2025年3月の料金改定では5GB〜10GBを値下げし、25GB以上の容量は5GB増やした。この時点で15GB帯は改定しなかったが、5GBから中容量にシフトし始めている」と話す。「スマートフォンが高機能化し、サービスのリッチ化も進んでいる。お客さまの動きを見ながら、15GB帯の値下げをすることになった」と同氏。

IIJ決算 IIJmioのギガプランでは、3月から15GBの料金を値下げする

 IIJmioでは同時にキャンペーンも実施しており、15GBの音声SIMが6カ月間、月額700円で利用できる。1年を通じて通信サービスの契約が特に増えるこの春商戦で、15GBをてこ入れすることで5GBユーザーの中容量シフトを促し、ARPU(1回線あたりの売り上げ)を上げていくという狙いが見える。

ドコモ3G停波の影響があるのは「フルMVNO」のみ

 2026年3月末にドコモが3Gサービスを終了することに伴い、IIJmioの一部回線で一部のiPhoneがLTEで通信しにくくなるという事象が発生している。この事象について、谷脇氏は改めて説明する。

 「ドコモの3G停波によって、フルMVNOのデータeSIMを中心に、一部のSIMで影響が出ている。3月1日以降は、電源を入れた後にLTEに接続するまで1〜2分の時間がかかる。ただ、多くの人がご利用されている音声対応SIMでは影響がない」

 個人向けにフルMVNOとして提供しているのはデータeSIMのみなので、ギガプランで音声SIMを利用しているユーザーには影響が出ない。

IIJ決算 ドコモの3G停波による影響。IIJmioの音声SIMには影響は及んでいない

異業種のMVNOが増えることでモバイル市場や経済が活性化する

 フルMVNOに関連して、オプテージがau回線を用いた音声対応のフルMVNO事業の参入を発表し、2027年度下期から提供する予定だ。

 この件について谷脇氏は「フルMVNOのプレーヤーが増えることで、競争が促される。市場が活性化する点では、いいことだと思っている」との受け止めを話す。IIJのフルMVNOサービスはデータ通信専用で音声には対応していないが、音声の対応について谷脇氏は「フルMVNO事業は、さらにエンハンスすることは可能性として考えないといけない。今後も検討して実現に向けて頑張っていきたい」と述べた。

 オプテージは、MVNOサービスの参入を支援するパッケージサービス「MVNO Operation Kit」を2026年度下期に提供予定としており、ミークモバイルも同様のサービス「MVNO as a Service」を提供している。このように、異業種のMVNO参入を支援する事業者は、IIJにとってはライバルになる。

 谷脇氏は「MVNOがどんどん増えていくことで、モバイル市場全体が活性化する。JALモバイルのように、経済圏を持っていて、新たにモバイルをツールとして使うとなると、マーケット全体の活性化につながる。プレーヤーが増えていくことはいいことだと考えている」と歓迎の意向を示した。「IIJも他業種から引き合いの声を多数いただいているので、さらに力を入れていきたい」(同氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月09日 更新
  1. NHK受信料パトカー・消防車から徴収問題、猛反発を受け「検討を進めていく」と会長 (2026年08月07日)
  2. 楽天モバイルのローミングは「予定通り9月末に終了」 ただし「ルーラル限定で継続」の可能性も (2026年08月07日)
  3. KDDIが値上げしても解約率が低下した理由 au、UQ mobile、povoを循環させ「脱・販促費競争」へ (2026年08月07日)
  4. ミストが出るハンディファンって涼しいの? 家電量販店でも買える「Aecooly Cold Air/Cold Air Pro」を試す (2026年08月08日)
  5. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  6. まだ「つながりにくい」声ある“ドコモ通信品質問題”の現在地 前田社長が明かす「道半ば」の詳細解説 (2026年08月06日)
  7. ahamoの「40GB化」は値上げの布石か? 通信品質改善と料金設定で揺れるドコモの戦略 (2026年08月08日)
  8. なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法 (2025年04月15日)
  9. ドコモが念願の増収増益に好転 「ドコモMAX」好調も後押し、今後は“ロイヤルユーザー”を重視 (2026年08月06日)
  10. 「NHK受信料の値上げは検討していない」――会長が明言 スクランブル化を求める声絶えず (2026年08月07日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー