「NHK受信料の値上げは検討していない」――会長が明言 スクランブル化を求める声絶えず

» 2026年08月07日 06時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 NHK(日本放送協会)は7月29日に定例記者会見を開催した。NHKの井上樹彦会長は最高意思決定機関のトップである古賀経営委員長が6月に「本当は受信料の値上げの時期だと思う」という個人的見解を示したことについて記者から受け止めを問われた。これに対し井上氏は「現行の経営計画は2023年10月に1割値下げした受信料を堅持することを前提にしていて現時点で受信料の値上げは検討していない」と明言。値上げの可能性を真っ向から否定した。

 さらに会見では経営委員会トップである古賀委員長と執行部トップである井上氏との間で受信料値上げという経営の根幹に関わる問題について意見交換がされていないということも明らかになった。記者から古賀委員長の発言についてやりとりをして確認したのかと問われた井上氏は「これについて委員長と会長が意見を交わしたり話したりしたことはない」と釈明した。

NHK 受信料値上げ否定 NHK

 井上氏は値上げに踏み切らない理由について「まずNHK自らが経営努力をしていくことが基本であって引き続き事業構造改革の推進あるいは業務効率化などによる経費の削減に取り組んでいく」と説明した。物価高の動向などを注視しながら経営の合理化や受信料外収入の確保など身内の努力を徹底する姿勢をアピールした。しかしNHKがどれだけ「値上げはしない」と強調しても現在の受信料制度そのものに対する視聴者の不満や不信感は一向に収まる気配がない。

 地上契約で2カ月2200円衛星契約で2カ月3900円という負担に対しSNS上では「物価高で日々の生活費や子どもの費用を捻出するのが大変な中見ていないものにまで一律で負担を強いるのはおかしい」といった悲痛な叫びが多く上がっている。特にNHKが2025年10月から開始した新インターネットサービス「NHK ONE」などのデジタル展開を進める一方で視聴実態を無視した強制的な徴収制度を維持し続けていることへの反発は根強い。

NHK 受信料値上げ否定 NHKの料金(受信料の金額)

 SNS上や本誌記事へのコメントでよく見られるのが「見たい人だけが契約してお金を支払うスクランブル化を導入すべきだ」という意見だ。さらにNHKが「自らの経営努力」を掲げることに対しても冷ややかな視線が注がれている。

NHK 視聴者の不満 強制徴収制度の維持や高額な職員給与ネットフリックスへの番組提供などに対し視聴者からはスクランブル化や身を切る改革を求める声が根強く上がっている(出典:NHKの質問集 民放は無料なのに、なぜNHKには受信料を支払わなければいけないのか)

 「国民に負担を強いる前にまずは職員の給与水準を民間並みに引き下げて徹底的なコストカットを図るべきだ」といった組織の体質改善を求める厳しい声もある。

 テレビ離れの進行によって従来のビジネスモデルが崩壊しつつある中NHKは「値上げをしない」という現状維持の姿勢をとるだけで国民の信頼を取り戻せるのだろうか。視聴者が本当に納得して支払える公共放送の在り方に関する議論は依然として求められている。

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