なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法(1/2 ページ)

» 2025年04月15日 10時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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 家にチューナー内蔵テレビがなくても、カーナビ付きの車を所有していると「NHKに受信料を支払わなければならない」――。目的地までの案内に役立つカーナビだが、そこになぜNHK受信料が絡んでくるのか、疑問に思う人はいるはずだ。そこで、この記事ではカーナビとNHK受信料の関係性を整理し、どのような場合にNHK受信料の徴収対象になるのかを解説する。

CarNavi カーナビ NHK 受信料 NHK受信料を国民から徴収している日本放送協会(NHK)

NHK受信料はなぜ支払わなければならない?

 そもそも、NHK受信料はなぜ支払わなければならないのか? まずはこの点から見ていこう。日本の放送局は、日本放送協会(NHK)と民放の大きく2種類に分かれる。民放の主な財源は広告収入であるのに対し、NHKは運営資金を視聴者からの受信料で賄っている。そのため、民放と違ってNHKの番組には、自社番組の宣伝映像などを除いて広告が流れない。

 NHK受信料が必要となる理由は、上記の事情だけでなく、放送法第64条第1項で「NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」と定めているためだ。つまり、NHKの放送を受信できる設備がある限り、その設備を通じてNHKの放送を視聴する可能性があり、NHK番組の視聴の有無に関係なく、NHK受信料を支払う責任が生じる、という考え方なのだ。

CarNavi カーナビ NHK 受信料 受信料については、総務省のWebサイトでも確認できるが、こと難しく記載されているため、次のNHKページを参照するといい。画像は「放送法」というページより引用
CarNavi カーナビ NHK 受信料 NHKのサイトには、放送法第64条第1項について記載されている。画像は「受信料の支払いは義務なのか」というページより引用

カーナビとNHK受信料の関係性は?

 では、なぜカーナビとNHK受信料が関係してくるのだろうか。それは、カーナビが「NHKの放送を受信することのできる受信設備」に該当するためだ。カーナビには、地図の表示やナビゲーションの機能の他に、テレビ番組を視聴できる機能、いわゆるワンセグ/フルセグの機能が備わる製品が存在している。

CarNavi カーナビ NHK 受信料 運転席と助手席から操作できるカーナビのイメージ。画像はパイオニアのサイトより引用

 ワンセグとは、地上波テレビ放送のデジタル化に伴い、2006年に始まった携帯電話・カーナビ向けの放送サービス。1チャンネル6MHzの帯域幅を13個のセグメントに分割するデジタル放送に対し、そのうちの1セグメントを用いて放送するのがワンセグだ。カーナビや携帯電話の小型アンテナでも320×240ピクセル(QVGA)の低解像度を安定的に受信できるように設計されている。やがて視聴機器の進化に伴い、テレビ放送と同じ解像度で視聴できるようにしたのがフルセグだ。

CarNavi カーナビ NHK 受信料 スマートフォンやフィーチャーフォンの一部機種にもワンセグ/フルセグの機能が備わる

 つまり、ワンセグ/フルセグ機能が備わるカーナビを所有している人が、仮にナビゲーションの機能しか使わない場合でも、所有している時点でNHK受信料を支払う責任が生じる、ということだ。ただし、既にNHKと受信契約をしている世帯であれば、その契約は世帯単位と見なされ、ワンセグ/フルセグ機能が備わるカーナビについて、NHKと個別に契約する必要はない。

 さらに、以下のような条件に該当する場合は、カーナビがあってもNHKとの契約義務は免除される。具体的には、B-CASカードが未挿入の場合、ワンセグ用アンテナが未接続の場合、地デジチューナーが非搭載の場合だ。つまり、カーナビが放送法第64条に基づく「NHK放送を受信することのできる受信設備」に該当しない状態であれば、NHKと受信契約を結ぶ必要はない。

CarNavi カーナビ NHK 受信料 チューナー内蔵テレビなどに付属するB-CASカード。買い替えや処分などの際に見たことのある人は多いのではないだろうか。画像はビーエス・コンディショナルアクセスシステムズのサイトより引用
CarNavi カーナビ NHK 受信料 カーナビなどの小型機器で、ワンセグ/フルセグ機能を搭載する製品には、小型(Plug-inSIM形状)のB-CASカードが採用されている

 スマートフォンのアプリケーションを、より大きなディスプレイで操作したり、オーディオ再生やGoogleマップを表示したりできる「ディスプレイオーディオ」についても、ワンセグ/フルセグ機能(チューナー)がなければNHK受信料の支払い義務は生じない。

 逆に、NHK受信料の支払いになってしまう例として、外付け用のチューナーを別途設置した場合が挙げられる。言うまでもないことだが、購入時にチューナーレスのディスプレイオーディオ、カーナビであったとしても、テレビ番組の視聴を理由に後付けしたら、NHKの放送を受信できる状態になるため、その時点で契約義務が生じる。

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