スマホから「FMラジオ機能」が消えつつある理由 メーカーで温度差、トレンドにそぐわない実情も(1/4 ページ)

» 2025年04月13日 10時00分 公開
[石井徹ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 かつて、携帯電話にFMラジオ受信機能が搭載されていた時代があった。有線イヤフォンをアンテナとして、FM波を直接受信してラジオ放送を無料で聴取できる機能だ。通信料金も電池の消費も少なく便利な機能だが、スマートフォンの普及とともに、この機能を持つ端末は徐々に減少していった。

スマホとラジオ スマホのFMラジオチューナー機能は絶滅危惧種になりつつある

 特にiPhoneをはじめ、多くのメーカーやキャリアがFMチューナーを搭載しない方針をとり、Androidスマートフォンでもハードウェア的には受信機能を備えつつソフトウェアで無効化されている場合が少なくない。

 そんな中、スマートフォン上でラジオを聴く手段として急速に台頭したのが、インターネットラジオの「radiko(ラジコ)」だ。radikoは番組表の確認や聴き逃し番組をさかのぼって聴けるタイムフリー機能、居住地以外の放送局を聴けるエリアフリー機能などを持ち、国内のほとんどのラジオ放送局をカバーするようになった。多くのユーザーはスマートフォンでラジオを聴く際にradikoアプリを利用する習慣を確立したのだ。

ネット配信とFMラジオを切り替えて利用できる「ラジスマ」の登場

 このような状況の中、日本民間放送連盟(民放連)は、FMラジオ受信機能の強みとインターネットラジオの利便性を一体化する試みとして「ラジスマ(radiko+FM)」を推進した。これはスマートフォンに内蔵されたFMチューナーとradikoアプリを連携させ、ネット配信とFM放送をワンタッチで切り替えられるようにすることで、場所や電波状況に応じて最適な方法を選択できるようにした取り組みだ。

スマホとラジオ 2019年にはradiko+FMを搭載した「ラジスマ」が登場した

 ラジスマの優れた点は、FM電波の直接受信とインターネットラジオの両方のメリットを生かせる点にある。通信が可能なときはradikoでタイムフリーやエリアフリーを楽しみ、ネット接続が難しい場所ではFM放送を聴取し、災害時には放送波を頼りに重要な情報を得る。このようにFMの弱点をネットが補い、ネットの弱点をFMが補う形で、ユーザーにとって利便性の高いラジオ体験を提供しようとする考え方だ。

 2019年にNTTドコモの「らくらくスマートフォンme F-01L」とauの「URBANO V04」の2機種に「radiko+FM」アプリがプリインストールされ、ラジスマ対応スマートフォンが市場に登場した。民放連はメーカーやキャリアに幅広い対応機種を増やすよう呼びかけていた。

伸び悩むラジスマ対応端末

 しかし、2025年現在においてはFMチューナーを積極的に搭載している機種は限られている。ラジスマ対応端末としては、シャープやFCNTのモデルを中心に販売された。2023年には「AQUOS R8」「AQUOS R8 pro」「AQUOS wish3」などが登場。2024年には京セラの「DuraForce EX」や富士通の「arrows We2」「arrows We2 Plus」「らくらくスマートフォン F-53E」などがラジスマ対応機種となっている。

スマホとラジオ 「arrows We2」は数少ない現行のラジスマ対応機だ

 これらの対応端末は主に中・低価格帯の機種や高齢者向け端末が中心となっている。主要メーカーのフラグシップモデルではラジオ受信機能自体に非対応というのが一般的だ。対応機種はNTTドコモやau、ソフトバンク、楽天モバイルといったキャリア各社から販売されているが、その数は限られ、むしろ減少傾向にある。

スマホメーカーのFMチューナー搭載状況

 スマホメーカーのFMチューナー搭載状況を見てみると、メーカーによって対応方針が大きく異なることが分かる。

 Appleは、iPhoneではこれまで一度もFMラジオ受信機能を公式には搭載していない。米国でハリケーン被害が相次いだ2017年には全米放送事業者協会(NAB)が「iPhoneのFMラジオ機能を意図的に無効化している」とAppleを批判し、有効化を要請する声明を出したほどだ。9to5MacによるとAppleは「(当時最新の)iPhone 7とiPhone 8には信号をサポートするためのチップとアンテナがないため、ラジオとして技術的に機能しない」と回答し、今後もFM受信に対応する計画は示していない。

 サムスン電子は比較的FMチューナーを搭載する傾向が強いメーカーだ。特にミドルレンジ〜ローエンドのGalaxyスマホではFMラジオ機能が有効化されている例が多く、実際日本向けの「Galaxy A20」「A41」などはラジスマ対応端末として発売された。ただしハイエンド機では近年FM非対応が主流で、地域やモデルによって対応状況はまちまちだ。

 ソニーのXperiaは、かつて2017年頃まで多くの機種がFMラジオ受信アプリを搭載していたが、その後いったん廃止された。2023年発売のXperia 10 VでFMチューナーが復活したものの、2024年モデルでは再びFM非対応となり、FM機能の扱いが機種や年次で変化している。

 GoogleのPixelシリーズは初代から一貫してFMラジオ受信に非対応だ。ハイエンドAndroid機種全般でFMラジオは姿を消しつつある状況である。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月24日 更新
  1. ソフトバンク史上初の「10万件純減」――KDDIと共に「数より質」の経営にシフト (2026年02月22日)
  2. 米Orbic、日本市場から事実上の撤退か オービックとの商標訴訟に敗訴、日本法人から情報発信なし【更新】 (2026年02月22日)
  3. 5.3型の小型スマホ「Mode 1 Pocket」を試す 唯一無二のサイズ感、サブ機での運用が最適か (2026年02月23日)
  4. ガストで人を介さず「テーブル決済」、食い逃げ対策はあるのか? すかいらーくに聞いた安心の仕組み (2026年02月21日)
  5. Apple初の「折りたたみiPhone」は2026年9月に登場か 約30万円でTouch ID復活とのうわさも (2026年02月24日)
  6. 【ワークマン】1280円の「アーバンマルチストレージサコッシュ」 ミニポーチになる取り外し可能な収納ポケット付き (2026年02月23日)
  7. ガストの「テーブル決済」をPayPayで試してみた 便利だけど思わぬワナも (2024年04月14日)
  8. 「Pixel 10a」は何が進化した? 「Pixel 9a」「Pixel 10」とスペックを比較 “aシリーズ初”の機能も (2026年02月19日)
  9. 「Nothing Phone (4a)」の背面画像を公開 早くも「かっこいい」「好き」の声SNSに (2026年02月24日)
  10. 【ワークマン】1500円の「Wジョイントスクエアサコッシュ」 独立した2気室構造&前面メッシュポケットで収納 (2026年02月19日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年