IIJ(インターネットイニシアティブ)が8月7日、2025年度第1四半期の決算を発表した。売り上げは768.2億円で前年同期比6.7%増、営業利益は60.3億円で前年同期比34.6%増となった。
ネットワークのリプレース需要が増し、メガバンク向けのグローバルネットワークの再構築を含む3件の大型案件を獲得したこともあり、高い増益となった。渡井昭久CFOは、「ネットワーク、モバイル、システムインテグレーションそれぞれが増収し、想定通りに1Qをスタートできている」と手応えを話す。
4月に法人向けメールセキュリティサービス「IIJセキュアMXサービス」でユーザー情報が漏えいした件について、代表取締役 社長執行役員(Co-CEO&COO)の谷脇康彦氏が、再発防止に向けた対策を説明した。振る舞い検知の強化は6月26日に、Webアプリケーションファイアウォールの多層化は7月23日に実装が完了している。
6月にはセキュリティ強化を目的とした社長直轄プロジェクトを発足させ、さらに必要な対策を検討。2025年度中に追加対策の計画を策定し、速やかに順次対策を講じる。それ以外の対策についても、2026年度に実行する見込みだとした。
IIJは情報漏えいについて7月18日に、総務省から行政指導を受けた(関連リンク)。指導について谷脇氏は「中身を踏まえ、今回の事案について可能な範囲で他の事業者にも情報を共有するなど、日本全体のセキュリティ対策にも貢献していきたい」と話した。
また、セキュリティ対策については法人サービスにとどまらず、個人向けやモバイルなども含めた全てのサービスを対象にするとのこと。
モバイル・IoTサービスは130.1億円の売り上げで前年同期比4.1%増、総回線数は577.2万に達して前年から74.8万回線の増加となった。MVNOのトップシェアを維持していることに加え、MVNEの引き合いも増えている。MVNE顧客数は2024年度第1四半期の195社から、今期は202社に増えている。
2025年4月に開始した「JALモバイル」は、MVNEではなく、IIJmioのサービスをJALブランドで提供しているものだが、このJALモバイルも含めて、IIJmioは対前年から6.1万回線の純増となった。IIJmioの回線数は135万に上り、2024年度第4四半期の131.2万からも3.8万回線増加している。
IIJmio好調の要因について谷脇氏は、2025年3月のプラン改定を挙げる。IIJmioのギガプランでは2025年3月から5GBと10GBを値下げし、20GB〜50GBは5GBずつ増量している。3カ月間限定ではあるが、5GBや10GBをさらに値下げし、10GB以上のプランはデータ容量を10GBプラスするなど、大攻勢といえるキャンペーンも仕掛けている。
特に5GBの値下げが効いたようで、2025年6月末時点で、ギガプランユーザーで最多となる44%が5GBを選んでいる。谷脇氏は「従来よりも大容量化が進んでいる」と手応えを話す。「解約率も最近は低下しており、いろいろなサービス改善、お客さまのサポート、長期利用特典など、顧客満足度を重視した施策が功を奏している」(同氏)
JALモバイルについては「マイレージの特典を付ける点が受けている」と谷脇氏。なお、JALモバイル単体の契約数は公表していない。
MVNEについては「訪日外国人向けサービスは引き続き好調。全く違う業態の方から相談をいただくケースも増えている。(MVNOとMVNEの)両方から、市場の開拓を進めていきたい」(谷脇氏)とした。
ここ最近、大手キャリアがスポーツやエンタメなどのコンテンツを料金プランにバンドルする動きが進んでいる。ドコモはDAZNやNBAコンテンツ、楽天モバイルはU-NEXTをセットにしたプランを発表した。MVNOでもオプションとしてエンタメサービスを提供しているところはあるが、IIJmioでもコンテンツをバンドルする可能性はあるのか。
谷脇氏は「サービスやお客さまのニーズが多様化しているので、そこに対応していくことはとても重要だ。モバイルサービスで競争していくことは大前提となるが、お客さまのニーズをくみ取りながら、他サービスとの連携も否定することなく、検討の対象範囲に含めていきたい」と答えた。ギガプランでも、単なる料金改定やデータ増量だけでなく、コンテンツ連携を含めた拡充が、今後あるかもしれない。
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