IIJ谷脇新社長、IIJmioの春商戦に「手応えを感じている」 既存キャリアが提供できないサービスにも注力

» 2025年05月13日 20時41分 公開
[田中聡,ITmedia]

 IIJ(インターネットイニシアティブ)が5月13日、2024年度の決算を発表した。

 売り上げは前年同期比14.8%増の3168億円、営業利益は前年同期比3.7%増の301億円で、増収増益となった。好調な業績の背景として、同社は大型ネットワーク構築の案件が増加したことを挙げる。

IIJ 増収増益となった2024年度のIIJ

 なお、今回は谷脇康彦氏が2025年4月1日に代表取締役社長執行役員 Co-CEO & COOに就任してから初の決算会見となる。谷脇氏は「これまでの基本的な経営方針は維持するが、ただし、そこにとどまっていたら成長が見込めないので、新しい領域のビジネスを作っていきたい」と話す。2025年度は、大型ネットワーク構築案件への注力を継続しながら、データ連携ビジネスやイノベーティブな人的資本の拡充、サイバーセキュリティに優れたサービス展開などを進めていく。

IIJ
IIJ 社長就任後に初めて登壇した谷脇康彦氏

 モバイル事業については、2025年3月末時点で法人モバイルが317.6万回線、個人向けIIJmioが131.2万回線、MVNE向けが125.2万回線に達し、いずれも堅調に伸びている。2024年度の売り上げは、法人向けが前年同期比9.5%増の489.9億円、IIJmioが前年同期比6.1%増の268.3億円となった。

 法人に含まれるMVNEでは、2025年4月にサービスインした「JALモバイル」をはじめ、堅調に成長しているという。「MVNOとして、モバイルビジネスを担うプレイヤーの数がそろうことで、いろいろなユーザーメリットが出てくる。JALモバイルもそうだが、それ以外の事業領域も、一緒にMVNOをやりたいという声を従来よりもいただくようになってきた」(谷脇氏)

IIJ ネットワークサービスの売り上げ
IIJ モバイル事業は法人と個人、いずれも堅調に伸びている

 モバイル事業について渡井昭久CFOは、「明らかに法人モバイルの回線数、IoT関連の案件がコンスタントに積み上がり、順調に伸び続けている」と手応えを話す。MVNEやIIJmioについては、「タイトな環境だが、MVNOの中では存在感を発揮し、契約数が少しずつ増加している」とした。

 IIJmioでは、3月1日に「ギガプラン」の料金を改定し、一部の容量で値下げとデータ増量を実施した。キャンペーンも積極的に展開し、月額900円(税込み)で半年間、20GBのデータ通信を利用できる。こうした施策が功を奏し、2024年度第3四半期の128.4万契約から、第4四半期は131.1万契約に純増した。

 谷脇氏はIIJmioの現況について「春商戦は手応えを感じている」と話す。ギガプランでは「5GBが全体の半分程度を占めている」一方で、「10GBから30GBまでの中容量帯も、かなり支持をいただいている」とのこと。4月から5月にかけてNTTドコモとKDDIが発表した新料金プランには値上げも含まれているが、そこを特段意識することはなく、「3月1日のプラン改定を基礎に、引き続き販売を続けていきたい」とした。

 谷脇氏が総務省に在籍していた当時は、MVNO事業を促進する役割を担っていた。そんな同氏がMVNO(IIJ)の社長になり、中の人として、MVNO事業をどう展開していこうと考えているのか。同氏は以下の通り答える。

 「MNOだけでは電波の資源にも限りがあり十分な競争が生まれない中、MVNOの存在がサービスの多様化や料金の低廉化につながると理解している。IIJとしても、こうしたサービスの多様化にも力を入れていきたいが、必ずしもIIJ1社でできるものではない。そういった意味でMVNEとしての役割があり、いろいろな人がこの業態に参入して多様なサービスを提供していく。IoTも本格化していく。法人ニーズも具体化に見えてきているので、そういうことをけん引していく役割が、これまで以上に重要になる」

 MVNOならではのサービスの一例として、2024年から法人向けに提供している「公共安全モバイルサービス」を谷脇氏は挙げる。このサービスは災害時の使用を想定しており、ドコモ回線とKDDI回線を併用することで冗長性を確保している。谷脇氏は「MVNOだからこそできるサービスだと思っており、MVNOらしいサービスを今後追求したい」と述べた。

「IIJセキュアMXサービス」不正アクセスの対策も発表

 決算会見に先立ち、谷脇氏は、IIJの法人向けメールセキュリティサービス「IIJセキュアMXサービス」への不正アクセスについての状況を説明した。

 情報漏えいが確認されたユーザー数は586契約、メールアカウントで31万1288件数であることが判明した。影響のあったユーザーには説明を続けており、関係する行政機関にも報告をしているとのこと。

 今後の対策として、振る舞い検知を強化する。今回、ゼロデイ攻撃によって、既存のツールを用いて個人情報が漏えいしたため、極めて検知が難しかったという。そこで、未知の攻撃や、内部不正による異常な操作などを検知する振る舞い検知を6月末までに強化する。また、Webアプリケーションファイアウォールの多層も検討し、5月末までに実装の可能性について判断するとのこと。

IIJ IIJセキュアMXサービスの個人情報漏えいの状況と、今後の対策について説明した

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