スマホ“最大規模の値上げ”はいつまで続く? 「1円スマホ」が存続危機、一方で影響を免れる中国メーカーも(1/3 ページ)

» 2026年05月14日 06時00分 公開
[佐藤颯,ITmedia]

 スマートフォンの値上がりが続いている。その主因はメモリ価格の異常な高騰だが、日本市場ではそこに円安という追い打ちも加わる。中国や韓国では2026年春に業界全体に波及する値上げが相次いで実施され、その波は既に日本にも押し寄せている。この値上げはいつまで続くのか、そしてスマホの買い時はいつなのかを考えていく。

スマートフォン値上げ 国内でも値上げの波は押し寄せている。画像はXiaomiの「REDMI 15 5G」で、直販サイトでは発売時から5000円の値上げとなった

スマートフォンが値上がりしている理由 DRAMやNANDの異常な高騰

 スマートフォン値上げの背景に常につきまとうのが「メモリの高騰」だ。その主因は、ChatGPTに代表される大規模言語モデルをはじめとするAI産業がメモリ需要を独占してしまったことにある。

 現状でSamsung Semiconductor、SK Hynix、Micronの3社が業界のシェア約9割を占めるという寡占状態にある半導体メモリ業界において、このAIによる需要爆発はメモリ価格を際限なく押し上げている。

 Counterpoint Researchの調査によると、2026年第1四半期のメモリ価格は前年同期比で約2倍も上昇しており、過去に例のない最高水準の急騰となっている。ストレージに用いられるNANDフラッシュも同様に、前年同期比で2倍という並行した上昇が続いている。スマホのコアパーツであるこれらの部品の仕入れ原価が2倍に膨らむとなれば、本体価格の値上げは必然といえる。

 加えて、このメモリ高騰は長期化が見込まれている。現在、メモリの製造元は利益率の高いAI向けの高帯域幅メモリ(HBM)の生産にリソースを集中させており、一般スマートフォン向けのメモリやNANDストレージへの割り当てが絞られている状況だ。

 これらの需要増加に応えるため、各社は新規製造ラインの立ち上げを進めているが、これらが稼働して供給正常化の見込みが立つのは、早くても2027年以降と予測されている。このため、2026年中のメモリ高騰は確実視されているのだ。

スマートフォン値上げ メモリの高騰はスマートフォンに限らず、タブレット端末やPCにも影響してくる

中国や韓国メーカーを中心に「スマホの値上げ」が到来

 メモリ高騰でスマホは「そのうち値上がりするかもしれない」という話は、既に現実になっている。2026年3月から4月にかけて、中国では主要メーカーが一斉に価格改定を断行した。近年では最大規模となる値上げの波が押し寄せている。

 値上げの口火を切ったのはOPPOで、3月16日からAシリーズを300〜500元(約7000〜1万1500円)引き上げ、コストパフォーマンスに優れるKシリーズやフラグシップのFindシリーズ、OnePlusブランドも同幅で値上げした。

 中国国内大手のvivoも3月18日から値上げに追随している。上位のvivo X300シリーズが300〜500元(約7000〜1万1500円)の値上げとなり、iQOOシリーズや普及価格帯のS、Yシリーズも同様に値上げに踏み切った。HONORもほぼ同じタイミングで一部機種を対象に最大500元の値上げを行っている。

 Xiaomiは長らく最後のとりでとして踏みとどまっていたが、4月3日についに価格改定に踏み切った。4月11日からREDMI K90 Pro Maxを200元(約4600円)引き上げ、他機種もこれに追従している。他ブランドが日本円換算で1万円近い値上げをする中では、最も抑制的な対応といえる。

スマートフォン値上げ vivoの売れ筋機種であるiQOO 15は最小構成が4199元から400元(約9200円)値上がりした

 値上げに踏み切ったのは中国勢だけではない。韓国サムスンも既存モデルへの値上げを実施している。韓国ではGalaxy Z Fold7、Z Flip7、S25 Edgeに対して4月1日から価格が改定され、512GBモデルで約10万ウォン(約1万円)、1TBモデルでは約20万ウォン(約2万円)に引き上げた。この値上げは北米向けにも行われており、世界的な値上げ傾向として波及するのではないかとみられている。

 また、4月16日付けで日本向けも価格が調整され、直販モデルのGalaxy Z Fold7、Z Flip7の512GB以上の大容量モデルにて1万円以上の値上げが行われている。

 通常、スマートフォンは発売後に価格が下がるものだ。しかし今は中国勢・韓国勢ともに、発売後に価格が上がるという前代未聞の事態が起きている。大容量モデルほど値上げ幅が大きくなるパターンはGalaxyも例外ではなく、512GBと1TBの価格差がウォンベースで倍開いていることはその典型といえる。

スマートフォン値上げ Galaxy Z Fold7の大容量モデルなどをはじめ、各社値上げに踏み切っている
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