メモリ高騰で各社が苦しむ中、日本で販売するスマートフォンは為替の問題も無視できない。スマートフォンのコア部品であるメモリやSoCはドル建てで取引されるため、円安が進むほど円換算コストは直撃を受ける構図だ。
2021年頃は1ドル=110円前後で推移していたが、その後の急激な円安局面を経て、2026年に入っても160円前後の高止まりが続いている。実質的に「輸入品」であるスマートフォンの価格高騰が続くのは、こうした背景があるからだ。
また、中国の人民元に対しても円安が進んでいる。中国工場で製造している国内メーカーも、製造コスト増加による値上げを余儀なくされる可能性が高い。2026年3月時点の人民元/円レートは1元=約23円で推移し、トランプ政権の相互関税発表以降、人民元/円はおよそ19.5円付近から23円付近へ急上昇している。
この為替変動により、米ドルでは価格が据え置かれたとしても、日本円では5年前と比較して単純に約1.5倍値上がりしている計算になる。加えて、人民元比でも円安が進行しているため、コストパフォーマンスに優れる中国勢も値上げに踏み切らざるを得ない状況だ。「中国メーカーのスマホは安い」という傾向は過去のものになりつつある。
このような背景から、日本にも値上げの波は確実に押し寄せている。特に3月以降に販売された機種は過去機種と比較して値上げとなった例が多い。
実例としては、「Galaxy S26」シリーズが全体的に1〜2万円前後の値上げとなり、Xiaomiはフラグシップの「Xiaomi 17 Ultra」が約2万円、ミッドレンジの「POCO X8 Pro」は約1万円、「POCO X8 Pro Max」は約2万5000円(POCO F7比)の値上げとなっている。
「Google Pixel 10a」は本体価格こそ「Pixel 9a」から据え置きの7万9900円だったが、発売記念のGoogleストアクレジットは従来モデルの1万5000円から1万円へと減額されている。
この他、4月15日発売の折りたたみスマホ「OPPO Find N6」は31万8000円という設定で、30万円の大台を突破してきた。初回特典でOPPO AI Pen Kit(1万9800円)を無料提供して、実質価格で30万円を下回るように対応するなど、消費者にも納得できる選択肢を模索している。
筆者もサムスン、Xiaomi、OPPOの担当者に直近の機種の価格設定について聞き取りをしたが、共通してメモリ高騰と為替による影響が大きいとしていた。実際、「OPPO A5 5G」は4000円の値上げ、Xiaomiの「REDMI 15 5G」は5000円の値上げを行っている。
今後登場する機種も、多くが従来モデルと比較して高価になる傾向が続きそうだ。
一方で例外的な動きもある。この円安の中、AppleのiPhone 17eはアメリカで599ドルのところ、日本向けは税込9万9800円という設定になっている。為替とメモリ高騰という背景を考えれば、かなり良心的な価格設定といえる。日本市場を「戦略的」と捉えるメーカーは、一部機種でこのような設定をとってくると思われる。
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