Appleが「端末残価」でAndroid陣営を異例の批判、「ホッピング対策」で新たな縛りも? ルール見直しの焦点:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2026年05月02日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

 総務省で開催中の「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」で、端末購入プログラムやキャッシュバックの規制を見直す議論が進んでいる。電気通信事業法第27条3で定められたユーザーへの利益提供の在り方を現状に合わせていくためだ。

 規制開始当初は契約にひも付く端末への大幅な割引が規制された格好だが、その後、端末単体の割引や端末購入プログラムの残価にも制約がつき、ガイドラインは複雑化している。これをシンプルにしつつ、キャリアを悩ませているホッピング行為を抑制するのが見直しの主な焦点になりつつある。

ホッピング 利益提供や割引の制度を検討する専門委員会が、総務省で開催されている。4月20日の第6回が終了したところで、一部制度の方向性が見えきた

 一方、専門委員会では委員から、諸外国と大きく乖離(かいり)した端末割引規制を抜本的に見直すべきとの意見も出ている。キャリアやMVNO側からはその必要性を否定されているものの、今後の規制の在り方に影響を与える可能性もある。ここまでの議論を踏まえ、各社の主張をまとめていきたい。

ホッピング対策や端末購入プログラムの残価がテーマに

 専門委員会で焦点になっているのは、電気通信事業法第27条3で定められたユーザーへの利益提供の在り方だ。現状では、8万円(税別、以下同)以上の端末で最大4万円までの割引が可能になっており、これとは別に、SIMカード単体での契約にも2万円までの利益提供が可能になっている。各社がSIMのみ契約にキャッシュバックやポイントを付けているのは、そのためだ。

ホッピング SIMの単体契約にも、キャッシュバックやポイント還元が付くことが常態化している。画像はY!mobileのキャンペーン

 “残クレ”とも呼ばれる残価を端末の下取りで帳消しにする端末購入プログラムも、この規制の範囲にある。下取りした端末の対価を払うだけで、当初は割引と見なされていなかったが、キャリアによって残価の設定方法や参照先がまちまちだったこともあり、現在では、中古スマホ業者の業界団体であるリユースモバイル・ジャパン(RMJ)が出す月ごとの平均価格を採用することが義務付けられている。

 残価の設定がこれを超えた場合、キャリアがユーザーに支払う割引と見なされる。例えば、本来、中古業者が2年後に8万円で買い取るような端末の残価を10万円に設定した場合、差額の2万円が割引扱いになる。契約時や端末購入時に受けられるその他の割引と合算して、その上限は4万円になる。

ホッピング 現状の端末購入プログラムでは、残価に端末の中古市場での価値を反映することが求められている。これを超えた分は、割引と見なされる。資料は第1回の総務省が提出したまとめ

 ただ、前者のSIMカード契約に対する割引は、キャリアを一定期間ごとに転々と移る「ホッピング」行為が問題視されるようになった。2万円の割引をキャリアが回収できる前に再び他社に移られてしまうと、その分が損失になってしまうからだ。まわりまわって、この損失はキャリアを使い続けるユーザーが負担していることになる。

ホッピング SIM単体契約のキャッシュバックやポイント還元を狙ったホッパーが増え、問題視されている。資料は第2回にKDDIが提出したもの

 キャッシュバックやポイントを支払った場合に期間拘束をすればいいのでは……と思われるかもしれないが、現行の法令では、キャリア間の競争を促進する観点で、これも厳しく規制されている。各キャリアとも、既にほとんどの料金プランで例外的な短期契約を除いた違約金を撤廃している他、キャッシュバックやポイントを長期にわたって分割で提供し、解約後にそれを打ち切ることもできない。

 後者の端末購入プログラムに対する規制は、制度が複雑になりすぎているのが課題として残る。参照する過去の端末は機種、ストレージ容量ごとに分けられており、RMJやキャリア各社が出すリストは膨大だ。さらに、共通項が多い複数の機種をグループ化することが許容されているため、キャリアごとに同一機種でも残価が異なるという事態も起こっている。

ホッピング 端末購入プログラムの残価を設定する手順が複雑化しており、これに不満を表明するキャリアも出てきた。資料はソフトバンクが第2回の委員会に提出したもの
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