議論が収束しつつあるホッピング対策だが、端末購入プログラムの残価率算出ルールは、検討が継続している。主な論点になっているのは、複雑さやキャリアごとに恣意(しい)的な運用を排除するところにある。その案として、1月に開催された第2回の専門委員会では、ドコモが算定に用いる機種を裁量で選択できないようにすることや、残価率算出方法を統一化することを提案している。
残価率の算出方法を統一して、シンプル化することはソフトバンクも課題としており、各社とも、複雑怪奇になった仕組みに手を焼いていることがうかがえる。ドコモは、統一の一例として、内閣府の消費動向調査から携帯電話の平均使用年数である4.3年を用いて1年ごとに23%ずつ、残価率が低減するモデルを提案している。
これは、メーカー側も同様だ。第4回の専門委員会に出席したGoogleは、定率で残価が減少するシンプルなモデルを提案。スマホが所得税法で「電子計算機器」や「通信機器」に含まれることから、その減価償却期間である4年から6年で残価が減少していくモデルを提示している。ドコモ案とはベースになる年数が異なるため、Google案は6年の場合、1年ごとに17%ずつ残価が提言していく形だ。サムスン電子も、数値は出していないが一律化を求めている。
これに猛烈な反対意見を寄せたのがAppleだ。同社は、定率法を「不適切な新たな手法」と断言。「日本国内における端末間競争を弱め、市場を歪めようとしている」と厳しく批判した。さらに「競合する企業の多くは、製造の品質が劣り、陳腐化が早い製品を生産している」として、Android陣営のメーカーを一刀両断にした。
資料の文面からもAppleの怒りが伝わってくるが、背景には、iPhoneの高いリセールバリューがあるとみられる。定率法を採用することで、iPhoneがこれまでよりも安く引き取られることになれば、結果として端末購入プログラムでの実質価格が下げられない。逆に、もともと買い取り価格が低かったメーカーが定率法で残価が上がることになれば、Appleは競争上不利な立場になる。シンプル化を取るか、端末そのものの価値を取るかで、判断が真っ二つに分かれた格好だ。
そもそも、専門委員会では端末割引規制自体を抜本的に見直すべきでは……との意見も出ていた。構成員を務める野村総合研究所のシニアパートナー、北俊一氏は、欧米の制度を比較しつつ、諸外国では料金プランに応じた割引が一般的と指摘。高額な料金プランでは、ハイエンドモデルも無料になる事例を挙げつつ、日本の規制が“ガラパゴス化”しているとした。
いわば、これまでの規制をリセットする大胆な提案だが、専門委員会では、時期尚早との見方も強く、規制の目的をどの程度達成しているかの指標作りに優先順位が置かれている状況だ。とはいえ、現行の規制は上位プランのユーザーが下位プランのユーザーの割引を負担している形になり、公平性に疑問が生じるという北氏の指摘は一理ある。北氏の提案は2026年夏以降に先送りされた格好だが、現状の仕組みは問題も多い。今後の積極的な検討を期待したい。
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