中国スマホの“iPhone化”が進む理由 模倣を超えた「最適解」、乗り換え促進の「エコシステム戦略」に迫る(1/3 ページ)

» 2026年04月30日 11時47分 公開
[佐藤颯ITmedia]

 近年、中国メーカーのスマートフォンを使っていると、以前よりも「どこかiPhoneに近い」と感じることが増えてきた。操作体系やUIだけでなく、端末のラインアップ構成や名称に至るまで、AppleのiPhoneを強く意識しているように見える。今回はそんな中国スマホの「iPhone化」現象について掘り下げていこう。

Dynamic Island風「アイランド機能」を中国メーカーがこぞって搭載

 中国スマホの「iPhone化」現象の中でも近年特に印象的なものが、Dynamic Island(ダイナミックアイランド)に準ずる「アイランド機能」だ。iPhoneではパンチホール式のインカメラを採用するにあたり、顔認証用センサーとの兼ね合いで穴が2つになり、デザイン面でマイナスとなってしまった。

 そんな弱点を、スマートフォンの状態を示す「通知の常時表示」によってカバーしたのがDynamic Islandだ。UIデザインに溶け込ませることで、あたかも穴がないように見せることに成功した。

 こんな画期的な発明を中国メーカーが参考にしないわけがなかった。HuaweiとHONORを皮切りに、vivo、OPPO、Xiaomiと続き、今や多くのメーカーでアイランド機能は標準装備となった。Huaweiは「Smart Island」、vivoは「Atomic Island」、Xiaomiは「Hyper Island」と各社独自の名称を付けており、中国ではこれらを比較評価する文化も登場している。

中国スマホ iPhoneのDynamic Islandを模倣した「アイランド機能を、中国メーカー各社が採用している

 アイランド機能の表示も基本的にはiPhoneと同じだ。バックグラウンドで動作しているときはインカメラを取り込んだ最小のステータスで表示、アイランドをタップして拡大表示、拡大表示のままタップするとアプリが全画面で動くというもの。音楽再生の他、マップアプリの使用時、タイマーなどでも利用できる。

 今回は音楽再生時のアイランド機能を比較してみる。比較はiOS 26を搭載したiPhone 17 Pro、Huaweiの「HarmonyOS 6」、HONORの「MagicOS 10」、OPPOやOnePlusの「ColorOS 16」、vivoの「OriginOS 6」、Xiaomiの「Xiaomi HyperOS 3」だ。

iPhone 17 Pro
iPhone 17 Pro iOS 26を備えるiPhone 17 Proでの動作
HUAWEI Pura80 Ultra
HUAWEI Pura80 Ultra HarmonyOS 6を搭載するHuaweiのPura 80 Ultraでの動作
HONOR Magic 8 Pro
HONOR Magic 8 Pro MagicOS 10を搭載するHONOR Magic 8 Proでの動作
OPPO Find X9 Pro
OPPO Find X9 Pro ColorOS 16を搭載するOPPO Find X9 Proでの動作
vivo iQOO 15
vivo iQOO 15 Origin 6を搭載するvivo iQOO 15での動作
Xiaomi 17 Ultra
Xiaomi 17 Ultra Xiaomi HyperOS 3を搭載するXiaomi 17 Ultraでの動作

 最小状態をチェックすると、OriginOSなどのパンチホールが単眼の小さい機種では、やや周囲のアイコンが大きく見える。細かいところをチェックすると、音楽再生中のインジケーターの挙動が他社のものは一定の波を描くのに対し、iOSは音量などによって波形が変化する。

 iOSは対応するアプリも多く便利に使えるものの、Android陣営のものはGoogle純正アプリ、メーカー提供アプリ以外では対応していないものも多く、Appleほど便利に使えない場面も見られた。中国向けのアプリは多くが対応しており、中にはOS向けの独自機能に最適化されたものも存在する。

Huawei
Huawei Huaweiは複数のアプリをバックグラウンドで起動しても、アイランドで視覚的に見やすく表示してくれる

 拡大表示について細かくチェックすると、本家Appleは時刻やステータス表示よりも優先して「島」が拡大表示される。このため、ポップアップ表示と画面端までの余白が均等になるように設計されている。他社のものを見ると、HONORを除いてステータスバーのアイコン類がそのまま表示されているので、デザインには完全に溶け込めていない印象を受ける。それでもアイランドで歌詞表示ができるなど、Appleよりも多機能に仕上げている例もある。

 一方、SamsungのGalaxy(OneUI 8)は、アイランド機能を採用しない。Galaxyではパンチホールではなく、本体左上に再生情報やナビゲーション情報を表示する。タップすると拡大表示される。見せ方こそ異なるが、基本的なユーザー体験や表示する内容的にはアイランド機能と同じだ。

Galaxy S25 Ultra
Galaxy S25 Ultra One UI 8を備えるGalaxy S25 Ultraでの動作。パンチホールの周囲に情報が表示される

 中国メーカーのスマホはアイランド機能に限らず、iPhoneのような独立したコントロールセンターと通知センター、カスタマイズできるロック画面の時計、壁紙機能など、近年のiOSの外観を彩る目玉機能の多くが利用できる。滑らかなアニメーションといった部分も強化され、海外では各社のホーム画面やアプリ起動時のアニメーションの滑らかさを比較する動画が多く再生されるなど、注目される要素となっている。

 また、中国メーカーのAndroid端末は「テーマ」によるアイコンやデザインの着せ替えの文化も以前から根強い。多くのメーカーが公式でテーマストアを展開しており、有志が作成した公式顔負けのクオリティーを持つものも多い。その中には、アニメーションの挙動までiOSに寄せたものもあり、ベースがiOSに近くなったことで正直「ここまで寄せられるのか」と感心させられた。

Xiaomi 本家iOS(左)とXiaomiとiOS風テーマの組み合わせ(右)を比較しても、ぱっと見はどちらも同じように見えるくらいには寄せることができる
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月14日 更新
  1. KDDIのpovo、「つながらない」に悩む楽天ユーザーを本気で救済開始か Xで意味深投稿 (2026年06月13日)
  2. シャープが「AQUOS」を中高価格帯へシフトする理由 メモリ高騰が直撃するエントリースマホの限界 (2026年06月13日)
  3. PayPayの誤送金トラブル、なぜ「強制キャンセル」できない? 広報に聞いた理由と自衛策 (2026年06月13日)
  4. DAZNのW杯「月額980円」表示に落とし穴 ユーザーを困惑させた2つの“ダークパターン”とは (2026年06月12日)
  5. スタバ長時間滞在、なぜ「一律ルール」設けない? “スマホでゲーム、PCで仕事も…広報見解は (2026年06月12日)
  6. 「JALモバイル powered by ahamo」のお得度を検証 本家ahamoやIIJmio版とは何が違う? (2026年06月12日)
  7. ゲオの“今だけ”スマホ買い取り額UP、実はうそ? 消費者庁が厳しい目 (2026年06月12日)
  8. 新エントリースマホ「arrows We3」発表 コンパクトな高耐久ボディーに5000mAhバッテリーや新カメラを搭載 (2026年06月11日)
  9. 追加料金なしで海外データ通信が使える快適さ そして外国で「シャッター音」を忘れて羽根を伸ばすスマホ (2026年06月12日)
  10. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー