中国スマホの“iPhone化”が進む理由 模倣を超えた「最適解」、乗り換え促進の「エコシステム戦略」に迫る(3/3 ページ)

» 2026年04月30日 11時47分 公開
[佐藤颯,ITmedia]
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スマホの製品名もiPhoneを模倣 「Pro Max」を冠する機種も

 もう1つ分かりやすい変化が、端末の名称とラインアップ構成だ。従来、Huaweiは俗に言う「無印」と、「Pro」「Pro+」「Ultimate」を使い、Samsungは「無印」「Plus」「Ultra」の名称を使い、これを中国メーカー各社は倣う傾向が強かった。

 この流れにも変化が見られており、2025年の終わりには「無印、Pro、Pro Max、Ultra」という序列に変化した。特に「Pro Max」はiPhoneの最上位モデルで使われている名称であり、他社がこの名称を使うのは驚きをもって迎えられた。

 特にXiaomiの寄せ方は顕著で、通常ナンバリングなら2025年の15から「16」になるところを飛ばし、iPhoneと同じ「17」にそろえてきた。そのため、中国では「17」「17 Pro」「17 Pro Max」の型番だけでは、AppleとXiaomiどちらの製品なのかを判別できない。

 端末もコンパクトなXiaomi 17、リアディスプレイを備える上位のXiaomi 17 Pro、同じコンセプトのまま画面を6.9型にした大型モデルのXiaomi 17 Pro Maxと、ラインアップの考え方もかなりAppleに近づけている。

Xiaomi 17 Xiaomi 17シリーズは構成やナンバリング含めて「iPhone」をかなり意識したものとなった

 2026年に入り、Pro Maxの名称のスマホはXiaomi、OPPO、Huaweiなどから販売されており、これらの変化から「Pro+」を使う例も減っている。他には薄型軽量の「iPhone Air」から取った機種として、ZTEの「nubia Air」、Huaweiの「Mate 70 Air」が登場。いずれもサイズ感のわりに薄型軽量をアピールしている。

 中でもiPhone Airを意識し、薄型でもより高性能に仕上げたHONORの薄型機は「Magic 8 Pro Air」と名称が“渋滞”している。

Magic 8 Pro Air HONORの薄型モデル「Magic 8 Pro Air」はiPhone Airよりも高性能なカメラ、大容量バッテリーを採用し、薄いだけじゃないスマホを作り上げた

 この構成の変化の強みは、「説明がいらない」ことにある。無印は標準、Proは上位、Pro Maxは上位の大画面モデル、Ultraは最上位。それだけで立ち位置が伝わるからだ。店頭でもECサイトでも、ユーザーはiPhoneに対して競合するスマホの位置関係を直感的に比較できる。これはデザインやブランド模倣ではなく、販売効率を最大化するための共通言語化と評価できる。

 軽量化モデルで「Air」の名称を使う機種が急激に増えてはいても、Galaxyの薄型モデル「S25 Edge」のEdgeを取った機種は今のところ現れていないことから、Appleの影響力の大きさを感じられる。

模倣ではなく、最適解を採用した結果が「中国スマホのiPhone化」

 中国メーカーのスマートフォンがiPhoneのiOSに似た操作感を採用するのは、世界で最も多くの人が「正解」として認識しているUIに寄せることで、開発スピードを上げつつコストを抑えるためという、実利的な判断があったのだと考える。

 iOSというお手本に独自の要素をいくつか加え、本家よりも多機能さや情報の見やすさ、軽快な動作といったところで勝負している。中国メーカー各社は後出しの利を生かして優位性をアピールしているものの、全体のデザインといった部分ではハードウェアとソフトウェアを高度に融合して設計するAppleに分があるように感じる。

 もちろん、iOSもウィジェットや外部キーボードといった「Android発の要素」も取り込んで便利になっており、お互いにいいところを取り込みつつ進化を続けている。ユーザー体験を向上させるという点で、行き着く先は、両陣営ともに近いところにあるといえる。

著者プロフィール

佐藤颯

生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。

スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。

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