「キーの交換までは無理」を覆した設計――ネジからおこした「フルチェンケータイ re」開発者に聞く「フルチェンケータイ re」(2/3 ページ)

» 2008年10月25日 17時33分 公開
[田中聡,ITmedia]

“余計な線のないデザイン”を実現したチューブ構造

 背面パネルを着せ替えられる機種は、最近のものだけでも東芝製の「fanfun. 815T」や、パナソニック・モバイルコミュニケーションズ製の「P904i」、ソニー・エリクソン製の「W53S」など多数存在する。しかしフルチェンケータイ reの背面パネルは、ディスプレイの外周までカバーしているのがほかの着せ替えケータイとは異なる点だ。

photo 機構設計担当の今井氏

 ディスプレイ周りはゴミが入りやすくデリケートな部分なので、着せ替えはあまり歓迎されない。だからといって、ディスプレイの外周だけを独立したパーツで着せ替えるのはあまり見栄えがよくない。そこで採用したのが、背面からディスプレイ側面までパネルを回し込む“チューブ構造”だ。

 「チューブ構造を採用することで、ケータイのディスプレイ面と背面を結ぶパーティングラインをなくせました。できるだけ余計な線が入っていないほうが美しいので、有効な方法でした」(機構設計担当の今井氏)

 フルチェンケータイ reを一見すると、内蔵スピーカーが見当たらないことに気付く。実は背面パネルと中のコアユニットの間にすき間があり、サブディスプレイから音が出る仕組みになっている。外側からは見えないが、サブディスプレイ周辺にステレオスピーカーを搭載している。

photo WINロゴの左右内部にスピーカーを搭載。スピーカーの開口部を目立たせないだけでも至難の業だが、モノラルではなくステレオスピーカーを搭載し、スペックにもこだわった

 「スピーカーは音が抜けるよう、きっちり穴を開けておくのが定石ですが、もう一歩進めて“余計な線のないデザイン”を優先しました。最終的には外側に設けたスピーカーと同等の音圧を実現できましたが、少しでも(スピーカーの)寸法がおかしいと“ビビリ音”が発生するので、こうした音の振動を抑えるのが大変でした」(今井氏)

金属素材とカラーバリエーションへのこだわり

photo デザイン(カラー)担当の木村氏

 夏モデルの5色と秋冬モデルの追加色を合わせると、フルチェンケータイ reオリジナルの本体色は実に10パターンにも及ぶ。デザイン(カラー)担当の木村氏が「やみくもに多色展開したわけではない」と言うように、10色にはそれぞれ狙いが込められている。

 「夏モデルでは、スリークシルバーとグロッシーホワイトがスタンダードライン。女性に人気のある色として採用したブルーミングピンクには、花柄を入れることで柔らかい印象にしています。クリーングリーンとアクティブオレンジは夏をイメージできるスポーティな雰囲気を狙いました。

 秋モデルはマットブラックがスタンダード色で、ルミナスゴールドはシルバーの代わりをイメージしてヘアラインを入れています。シルキーラベンダーはピンク以外で女性に人気のある色として採用しました、ディープレッドはユニセックスを狙い、クリスマスにも合うような華やかな雰囲気をイメージしました」(木村氏)

 「金属素材を使うとどうしても暗くなってしまうので、明るい色を出すのは大変でしたね。夏モデルではピンクが一番人気があり、男性にはヘアラインのシルバーが好評でした」(商品企画担当の冨岡氏)

 本体の質感は塗装、ヘアライン、ブラストの3種類を採用し、ブラストも柄ありと柄なしに分けられる。「“金属”がデザインのテーマだったので、同じ金属(アルミ)でどれだけバリエーションを出せるかを重視しました」と木村氏。こうした質感と本体色のバリエーションを増やしたことが功を奏してか、夏モデルの5色の中で“フルチェン”した人もいたという。

photo 商品企画担当の冨岡氏

 なお、夏モデルの5色はヒンジの色はすべてダークブラウンで統一されているが、秋冬モデルのシルキーラベンダーとラストラスブルー2色のヒンジはホワイトだ。これは「ほかのコラボパネルを付ける際に、ベースが白の方がいいという人もいるでしょうし、コラボパネルのデザイナーさんの中にも、白の方がデザインしやすい人もいるでしょう」(冨岡氏)という理由による。

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