シャープは2008年秋冬モデルとして、NTTドコモ向けに「SH-01A」「SH-02A」「SH-03A」「SH-04A」を、au向けに「AQUOSケータイ W64SH」を、ソフトバンクモバイル向けに「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」「930SH」を、ディズニー・モバイル向けに「DM003SH」を開発。秋冬モデル全体として、計8機種33バリエーションをリリースする。
国内の端末出荷台数が減り続けている中で、シャープはどのような方向性で携帯事業を展開していくのか。海外の携帯事業や、秋冬モデルで特に強化したカメラ機能も含め、シャープ代表取締役 兼 副社長執行役員の松本雅史氏と、同執行役員 通信システム事業本部長の長谷川祥典氏が説明した。
シャープは2008年9月1日に、海外向け携帯電話事業を行う「移動体事業推進本部」を奈良に新設し、海外に向けて積極的に携帯事業を展開する体制を敷いた。松本氏は「国内の事業体と海外の事業体を分けることで、対応スピードを高めたい」とその狙いを説明する。
この新しい事業部の設立に先立ち、シャープは2008年6月に、中国でAQUOSケータイ「SH9010C」をリリースした。中国では、液晶テレビ分野でトップシェアを誇るAQUOSのブランドが広く認知されているという。大型液晶テレビを店頭に設置し、高精細・高画質な液晶を訴求するといった積極的なプロモーションを展開。その結果、SH9010Cは発売3カ月後には、4000元(約6万円)以上の26機種中3位という売上を達成した。
さらに、中国向けの2機種目としてスライド型の「SH8010C」を9月末に投入し、11月末にはAQUOSケータイの第2弾「SH9020C」を発売する。今後も「国内でヒットした機種を海外へ展開するが、値頃感なども考え、海外向けの機種も検討している」という。
一方、欧州や米国ではスマートフォンビジネスを強化していく方針だ。松本氏は「米国では(T-Mobile向けに)“Sidekick(サイドキック)”という端末を投入しており、発売日には行列ができるほどだった」と、その盛況ぶりをアピールした。
また、Googleの携帯電話向けプラットフォーム「Android(アンドロイド)」を搭載したスマートフォンを投入する可能性があるかという質問に対して、松本氏は「実際に要望を受けているので、選択肢の1つとして考えている」と答えた。
海外事業の今後の取り組みについて松本氏は、「(1)中国地方やアジアなど新興国へ積極的に参入 (2)欧米など先進国向けのスマートフォンビジネスを強化 (3)世界に通用するオンリーワンデバイスを創出 という3つの取り組みを推進する」と説明し、海外市場でさらにシャープブランドの存在感を高めていく意向を示した。
具体的な目安として松本氏は、「海外向けのシャープ端末の供給数はトータルで200万台で、現状ではシャープ端末全体の20%弱しか占めてない。海外向けの比率は50%以上、つまり国内以上の台数を目指したい」とし、その1つの仕掛けが中国進出だという。「中国では、キャリア主導ではなく量販店や専門店主導で販売するので、そういう販売チャンネルを利用していきたい。中国ではAQUOSケータイの売上を伸ばしながら、そのほかのアジアの国もターゲットとしたい」(松本氏)
国内市場でシャープは2006年から出荷シェア1位を維持している。2008年10月の実売シェアは28%で、「2位以下を大きく引き離している。国内での断トツシェアナンバーワンを目指して今後もやっていきたい」と松本氏は意気込む。
しかし一方で、端末の出荷台数は2008年に入って減少傾向にある。「端末出荷台数は2007年度の5000万台に対し、2008年度は4000万台くらいは行くと読んでいたが、3800万台くらいに落ちそう。これに伴って販売台数は20%くらい下がるだろう」と松本氏は予測する。こうした情勢を鑑み、「メーカーとして市場を活性化させていく努力が必要」とした。そのためのスローガンとして、「元気なケータイ!」シャープを掲げる。
そしてそのスローガンを体現する秋冬モデルで注力したのは(1)大画面・高精細液晶 (2)タッチパネル (3)SHケータイ史上最強のカメラ の3点。中でも従来機種から最も進化したのがカメラだ。ドコモのSH-01AとSH-03A、ソフトバンクモバイルの930SHは、ケータイ最高クラスの800万画素CCDカメラを搭載している。松本氏は「自社開発の8M CCDと画像処理エンジン『ProPix』により、今までにない最強のカメラ付きケータイを開発できた。これは我々が得意とする、デバイスと商品の垂直統合で生まれたもの」と自信を見せた。
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