2008年のケータイは、アップルの「iPhone 3G」が大きなトピックだったことは間違いない。日本市場に「タッチパネルUI」という新たなユーザーインタフェースを広めた功績は大きい。
一般的な音声端末では、防水性能とハイスペックを両立させたNTTドコモの「F-01A」と、手軽に通話ができる端末として若者を中心にヒットしたウィルコムの「HONEY BEE」に注目した。真新しい機能はなくても、いかにその機種“ならでは”の武器を持つかどうかが、これからの端末選びの基準になりそうだ。
やはり2008年を代表する機種といえば、アップルの「iPhone 3G」を外すわけにはいかない。先進的なタッチパネルや、使っていて「心地よい」と感じる操作性は、ケータイのユーザーインタフェースに新たな可能性を示してくれた。
日本の端末メーカーには、iPhone 3Gに負けない、使いやすいタッチパネル搭載ケータイをぜひ開発してほしい。ただ、そのためには「タッチパネルの直感的な操作性」と「テンキーによるメールの打ちやすさ」という2つの使い勝手を両立させなくてはならない。タッチパネル対応ケータイは、この冬商戦にもいくつか登場しているが、2009年はさらに使いやすい製品の登場に期待したい。
もう1つ、アップルとソフトバンクモバイルに感心したのが、絵文字とワンセグの対応だ。特に絵文字対応は、日本独特の文化がアップルの世界仕様に組み込まれたという点で、大きな出来事だったと思う。それだけアップルは日本市場を意識しているし、絵文字が今後世界進出するようなことがあれば、さらに喜ばしいことだと思う(実際、グーグルの動きを見ると絵文字の世界進出も夢ではない)。
ワンセグもかなり強引なやり方ではあるが、iPhone 3Gでの視聴が可能になった。
iPhone 3Gはソフトウェアアップデートでまだ進化する可能性を秘めている機種だけに、2009年の動向にも目が離せない。
一般的な音声端末の中で完成度が高いと感じたのが「F-01A」だ。防水性能を備えたハイスペックなPRIMEシリーズながら、ボディは平均的なサイズに収まっている。
ユーザーインタフェースも使いやすく、特に面白いと感じたのが、フルブラウザ使用時に加速度センサーと連携する機能だ。本体の角度を感知してページをスクロールしてくれるのが秀逸で、「加速度センサーをこんな風に応用できるのか!」と感心してしまった。
一見するとデザインや形状は地味だが、“防水”という老若男女に受ける仕様になっており、売れ行きも好調のようだ。富士通といえば「らくらくホン」というイメージが強かったが、F-01Aのヒットにより、同社は“ハイスペックな防水ケータイ”という新たな武器を手に入れた。
ウィルコムの「HONEY BEE」は、キュートなデザインで「そこそこ売れそう」な気はしていたが、予想以上にヒットし、無料通話をよくする学生を中心に売れまくったようだ。家電量販店のランキングでは常に上位に登場し、品薄状態がかなり続いていた。ここまでのヒットを誰が予想できただろうか?
携帯電話と真っ向勝負できないスペックのPHSでも、ウィルコムならではの「24時間無料通話」を楽しむ、うってつけのデザインに仕上げたのが勝因だったといえる。
おそらく、同じように無料通話を提供しているソフトバンクモバイルやイー・モバイルがHONEY BEEのような製品を開発するのは難しいだろう。省電力で小型化を実現しやすいPHSという規格だからこそ、あのボディサイズを実現したといえる。HONEY BEEはウィルコムにとって「宝」なのである。
現状、苦戦を強いられているウィルコムだが、HONEY BEEの世界観を今後いかに発展させていくかが、重要な鍵の1つを握っているといえる。
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