電子チケットを導入すれば、ユーザーにとっては「発券の手間がなくなる」ことになり、メリットが分かりやすい。イープラスなどプレイガイドには、ユーザーの利便性を向上し、またチケットの届け方を多様化するというメリットがあると分かる。それでは、公演を主催する事業者にとっては、どのようなメリットがあるのだろうか。
「主催者側のメリットは、立場によっていろいろです。我々としても、最初からいきなりすべての興業で電子チケットを導入するのは難しいと思っています。まずは(電子チケットの)ニーズがあると言ってくださるパートナーさんからと考えています」
電子チケットのニーズがあるパートナーとして土岐氏が例に挙げるのは、例えばJ-POPの人気アーティストのファンクラブなどだ。「ファンクラブから購入したチケットを、値段をつり上げてオークション販売する人がたくさんいます。本当に観たい人が観に行けなくなることについて、ファンクラブ(運営者)はとても頭を悩ませているんです。携帯チケットであれば本人しかダウンロードできませんから転売ができない。ユーザーに負担をかけることなく、(転売に対する)抑止力になると思います」
また中規模なライブハウスのニーズもあるという。「入場者が多いところでは、チケットをもぎるのも大変ですから、“かざして入場”ならオペレーションの負荷を大幅に軽減できます。また渋谷など、中規模なライブハウスが隣接してあるところだと、暗くて手元が見えないところでもぎると、間違ってほかの会場のチケットだった、という事故などがあるんですね。こういった対策にも有効です」
このほか、スポーツチームのファンクラブもニーズが高いという。「(スポーツチームのファンクラブは)CRMへのニーズが高いんです。また、ユーザーも同じチームの試合を何度も見に行きますから、リピートしてくれるし慣れている。まずこういったパートナーさんから導入するのは非常に現実的」
記者もよくオンラインプレイガイドを利用しているが、チケットを購入するまでは手軽でも、最後はどこかの店舗に出かけて発券しないといけないのが面倒だった。以前ほかの記事にも書いたが(参照記事)、おサイフケータイを本人認証に使うのは、ユーザーにとって手軽な上、主催者側にとっても大勢の入場者をすばやくさばくことができるため非常に有効だ。サービスが始まるのが、1ユーザーとしても楽しみだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.