モバイル事業好調のソフトバンク、“営業利益7000億円達成”に自信

» 2012年04月27日 01時08分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏

 「モバイル事業を開始して以来の最大の山場を迎えた。どう転ぶかで、経営に大きなインパクトを与える状況だった」――。ソフトバンクの孫正義社長が、2011年度を締めくくる決算発表の冒頭で持ち出したのは、auがiPhone 4Sをリリースしたトピックだ。

 au版の発売前には100万〜200万規模の乗り換えユーザーが出ることまでを想定し、日々防御策を検討したと振り返る。トータルで400億円をかけたキャンペーンを打つなどの施策が功を奏し、結果的には「数万レベルの乗り換えですんだ」(孫氏)と孫氏。「99%は死守できた。新規も圧倒的で想定した中では最高にいい結果となった」(同)

 こうした難関を乗り換えたソフトバンクグループは、売上高3兆2024億円(前期比6.6%増)、営業利益6752億(前期比7.3%増)の増収増益で2011年度を締めくくった。

 売上高は2期連続で過去最高となり、営業利益は7期連続最高益を達成。国内企業の営業利益ランキングで3年連続で3位となるなど、「みせかけの営業利益ではなく、持続可能な収益モデルができた」と孫氏は自信を見せた。

Photo 2011年度の売上高と営業利益

Photo 営業利益は国内ランキングで3年連続3位に。営業利益はKDDIを追い抜いており、初の1兆円突破となったEBITDAでもKDDIを上回った

 移動体通信事業は、売上高2兆1449億円(前期比10.3%増)、営業利益4292億(前期比6.7%増)の増収増益を達成。通期の純増数は、スマートフォンが好調な売れ行きを見せたことに加え、iPadや見守りケータイの販売が増加したことから354万300件を獲得した。累計契約数は約2895万となり(ウィルコムを含めると3351万)、市場シェアは前期末を1.5ポイント上回る23.3%となった。

 解約率は、フォトビジョンとプリペイド式携帯電話の解約率が増加したことから1.12%となり、前期比で0.14ポイント上昇。ARPU(ユーザーの月平均利用料)は、音声ARPUが前期比250円減の1650円、データARPUが200円増の2510円だった。

 2012年度の見通しについては「営業利益は7000億円を確実に上回る。増収増益には完全なる自信がある」と孫氏。その先の目標として掲げる“2016年度の連結営業利益1兆円”を確実なものにしたいと意気込んだ。「これまで公言して下回ったことはないと自負している。言いっぱなしではなく、強い決意の目標」(同)

Photo 累計契約数の推移と他キャリアとの比較

Photo 通信料売上と営業利益の推移

“新三種の神器”で企業にアピール

 “営業利益7000億円達成”に自信を見せる背景にあるのは、好調な携帯電話事業だ。2011年度も純増契約数は3キャリアの中でトップとなり、傘下におさめたウィルコムも黒字化。営業利益も3期連続で最高益となるなど好調に推移している。売上を支えるデータ収入も順調な伸びを見せており、「ARPUのデータ比率は世界でもトップレベル」と孫氏は胸を張る。

 弱点だった“電波の届きにくさ”も、プラチナバンド(900MHz帯)の獲得で、解消される見込み。設備投資をして顧客満足度を向上させ、既存ユーザーの解約を防ぐとともに、他キャリアからの取り込みを狙う。

 満足度を向上させるための大きな要素となる通信速度については、下り最大110MbpsのSoftBank 4G(TD-LTE)と、今秋からの提供を予定しているFDD-LTEサービスを訴求する考えだ。

 さらなる成長を目指すための戦略として掲げるのは、孫氏が“新三種の神器”と呼ぶ、スマートフォンとタブレット端末、クラウドサービスを連携させた企業向けサービスの提供だ。

 ソフトバンクはタブレット端末市場でトップシェアのiPadを扱っており、スマートフォンも人気のiPhoneに加え、Android端末を扱っている。クラウドサービスについてはGoogleのグループウェア「GoogleApps for Business」の販売代理店に名を連ねており、これらを組み合わせたソリューションを企業向けに販売していく。

Photo 新三種の神器を生かした業務ソリューションを提案する

 ソフトバンクでは、全社員がiPhoneとiPad、GoogleApps for Business、各種SNSサービスを駆使して業務を行っているといい、こうしたIT化によって1人あたりの契約件数は1.8倍に、獲得回線数は2.2倍に増えたという。このように社員自らが実験台となり、ソリューションのメリットを理解した上で営業するスタイルを“新三種の神器”でも推進する。

 この4月にはさらに、「社内業務ペーパーゼロ宣言」を発動し、今月中に切り替えようというメッセージを出したと孫氏。業務用途でコピーマシンを使うことをやめ、スマートフォンとタブレット端末、クラウドサービスで代替できることを実証していく考えだ。「役員会は半年前から“紙ゼロ”を始めており、やらない理由はどこにもない。紙を使うのは人間ではない、社員ではない」(孫氏)

 ほかにも、今後の成長が期待されるM2M市場や、スマートデバイス向けアクセサリー販売の市場に対する取り組みを強化。経営陣を刷新し、新戦略のキーワードとして“スマホファースト”を打ち出しているヤフー・ジャパンとの連携も強化し、「他社にはないシナジーを効かせていく」とした。

Photo M2M市場に向けた取り組みを強化
Photo 利益率が高いアクセサリー類の販売も強化する

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