auのiPhone参入も「防戦できた」――自信をつけたソフトバンクは「2016年度に営業利益1兆円」を目指す

» 2012年02月03日 11時37分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo ソフトバンクの孫正義社長

 「2016年度に1兆円の営業利益を出す会社にする」――ソフトバンクの孫正義社長が2月2日、決算会見で「大風呂敷」(孫氏)を広げた。営業利益の中期目標を明確な期限付きで公表するのは「創業以来初めて」だ。「インターネットの揺籃期は利益よりもポジション取りを優先したが、これからは収穫期」と、さらなる成長に自信を見せる。

 顧客流出が不安視されたKDDIのiPhone参入に対しては、「想定よりはるかに上手く防戦できた」とし、弱点と認識していたネットワークについても設備投資の成果を強調。今後も事業基盤強化のための投資に力を入れ、営業利益1兆円企業を目指していく。

KDDIのiPhone参入、「防戦できた」

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 2011年度第3四半期決算は、累計の売上高が前年同期比6.6%増の2兆3981億円、営業利益が前年同期比10.5%増の5327億円で、増収増益となった。移動体通信事業単体では、売上高が11.0%増の1兆6191億円、営業利益が10.2%増の3464億円だった。

 通信料売上の増加や、販促キャンペーンとセットで発売した「iPhone 4S」の好調な販売が増収を後押しした。KDDIの参入でiPhoneの独占状態は崩れたが、ユーザーへの割賦残債の免除や「iPad 2」をセットにしたキャンペーンなどで対抗。こうした結果、10〜12月のiPhoneユーザーの番号ポータビリティによる転出は「5万人程度」となった。「キャンペーンが有効に機能して、想定よりはるかにうまく防戦できた」と、孫氏は満足気だ。

 KDDIは固定と携帯電話をセットにした割引施策に乗り出した点も注目されているが、この影響について孫氏は「このディスカウントは実際のユーザー獲得には誤差程度、数%しか影響しないと私どもは見ている」とした。「しかし対抗上、同じようなパッケージを用意する」と、近い将来に新たな割引サービスを提供することも明かした。

 営業利益は7期連続の最高益で、KDDIの3842億円を大きく上回った。通期では6千数百億円での着地を見込み、来年度は通期で7000億円の突破を目指す。

「ギネスブック級の基地局増大」を実現したと孫氏

 事業に「自信ができた」という孫氏は、これまで「201X年」の実現目標に掲げていた営業利益1兆円という目標に「2016年度」という明確な時期を設定した。「1年、2年ずれても怒らないでほしい」と歯切れの悪い様子も見せたが、「景気の悪い中で、大風呂敷を敷く」と孫氏。また、「誤差」程度の遅れはあっても、1兆円は「いつか必ずいく」とした。

 実現に向けて同社は今後、「顧客基盤」と「ネットワーク」の強化に力を注ぐ。顧客流出の防止策として打ち出したiPhone 4Sへの機種変更キャンペーンは、300億円の損益という「痛み」を伴ったが、これによりあと2年間の継続利用が見込めることを孫氏は強調した。「この2年の間にプラチナバンド(総務省に申請中の900MHz帯)の獲得や基地局増設を実現」することでユーザーの満足度を高め、顧客基盤の強化につなげるという。

 また、同社が救済に乗り出したウィルコムも顧客増へと動いている。4〜12月期の純増数は6年ぶりの50万件超えとなり、12月時点での累計契約数(PHSと3Gの合計)は450万件と、同社の最盛期に近い数値にまで回復してきた。ウィルコムとソフトバンクの契約数の合算は3215万件(12月時点)と3000万件を突破。今後もユーザーを増やし、「201X年」に4000万契約を獲得する計画だ。


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 そして顧客基盤の強化には、「唯一最大の弱点」であるネットワークの満足度向上もかかせない。2011〜2012年度の2年間で設備投資に1兆円を投じる計画を打ち出し、2010年12月に8万局だった基地局は、すでに2.3倍の18万局に増やした。これを「ギネスブック級の基地局増大」だと孫氏はアピール。さらに、Wi-Fiスポットのアクセスポイント数が1月末時点で20万を突破したことも紹介した。

 また、「TD-LTEとコンパチブル」な高速通信サービス「SoftBank 4G」を2月以降に開始することにもふれ、下り最大76Mbpsに対応する第1弾の端末「ULTRA WiFi 4G SoftBank 101SI」を、XiやWiMAXを超える「業界最速」のモデルだとアピールした。今後も電波の到達範囲と速度の双方を高めていき、電波が弱いという「汚名返上」に全力を傾ける方針だ。

製造業の苦境は「一時的なことではないと内心思っている」

 同時期の決算では国内の製造業が大幅な赤字を相次いで発表したが、孫氏は「一時的なことではないと内心思っている」という。「工業革命による進展は末期を迎えており、先進諸国が途上国をものづくりで凌駕するのは難しくなってきた」と述べ、工業革命から情報革命へのパラダイムシフトが起きていると説明した。「今アメリカを牽引しているのはAppleやGoogle、Facebookといった情報産業の企業だ。これは世界的な現象になる」(孫氏)。「情報革命」を担う企業としてソフトバンクも成長を続け、営業利益1兆円を実現する算段だ。

 また、今後の成長においては、通信料収入も増やしつつ、新たな付加価値サービスも増やし、「複合技」で利益を伸ばしていく考えも示した。ヤフー(Yahoo! JAPAN)においても「スマートフォン時代をにらんだサービス」を展開し、シナジーを創出していく。これからはユーザーあたりのARPUではなく「1世帯あたりにどのくらいARPUが得られるかが重要」だとし、「固定、無線、コンテンツ、サービス。さまざまなパッケージングで」それを高めていくとした。

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