マレーシアの携帯電話事情は2011年10月に「クアラルンプール編」でお伝えした通りだが、今回はより高速なWiMAXのプリペイドサービスを使ってみよう。
マレーシアは大手3社と新興の1社が3Gサービスを展開しており、各社がプリペイドサービスも提供する。クアラルンプール国際空港のイミグレーション手前に、以前は2社あったSIMカード販売カウンターが2012年7月現在は3社に増えており、選択肢が広がった。だが2011年当時も書いたように、マレーシアのプリペイドSIMカードは購入後にすぐに利用できない場合があり、海外渡航者としてはやや不安な部分があるのは残念なところだ。
一方、WiMAXの事業者も2社あり、これらは家庭用・移動用それぞれのサービスを提供している。後発のYTLは「Yes」というブランドで首都クアラルンプールを中心にマレーシア全土にサービスを広げている通信事業者だ。同社の目立つロゴを掲げた店舗は駅や繁華街のショッピングモールなどに積極展開をしており、さらに旅行者向けのプリペイドサービスもあるので、海外渡航者も購入しやすいのがポイント。WiMAXサービスはSIMカードを使わないため、回線だけの購入や端末の使い回しはできないのだが、ライバルである3G携帯電話事業者と料金の差は少なく、YTLのUSBモデムセットならばほどほど安いので、筆者のような短期滞在にも向いている。今回はこのYTLの「Yes」サービスを使ってみることにした。
今回は2012年7月にマレーシアの首都クアラルンプールに訪れた。クアラルンプールは1年を通じて平均気温が27度前後と安定しており、東南アジアながらも強烈に暑いというほどではない。3月から9月は乾季なので雨は少ないのだが、夕方にスコールがあることも多いので、折りたたみ傘などは持参しておくほうがいい。
為替レートは1マレーシアリンギットが約25円(2012年7月20現在の日本円換算、以下同)だ。街中にはATMが多くみつかるので、キャッシュカードやクレジットカードで現地通貨を引き出すこともさほど難しくはない。
さてYTLの店舗はクアラルンプール市内の各地にあるが、海外渡航者が一番訪れやすいのはクアラルンプール国際空港からの空港連絡鉄道“KLIAエクスプレス”が発着する「KLセントラル駅(クアラルンプールセントラル駅)」にある店舗だと思う。エアアジアなどの格安航空会社(LLC)を利用した場合も、市内連絡専用バスでKLセントラル駅に向かうとよい。
KLセントラル駅には、KLIAエクスプレスが到着した改札口を出てすぐ目の前に店舗(販売カウンター)がまず1つある。ただ、ここは店員が1名のみの小さな店舗で、先客などで混雑していることが多い。混雑していたらその反対側──空港へ向かう出発側の改札側にももう1つ店舗がある。この出発改札側の店舗はかなり大きく、店員数も多いので少ない待ち時間で済むと思う。
YTLのWiMAX製品は、USBモデム・Wi-Fiルータ・スマートフォンなどがある。このうち短期滞在に向いているのは100リンギット(約2500円)のUSBモデムセットだ。USBモデム、YesサービスのユーザーID、1.7Gバイト分の利用量がセットになっている。ノートPCで使うと想定し、数日の滞在ならこれで十分だ。
このモデムセットはまさしく短期滞在の旅行者向けとなっているので、利用方法も簡単。パッケージにYes ID(ユーザーID)、パスワードの記載されたカード、そしてUSBモデム本体が入っている。USBモデムをPCに接続すれば接続ソフトウェアのインストールが始まる、いわゆるゼロインストール対応となっている。
接続ソフトを起動し、付属するYes IDとパスワードを入力すれば準備は完了。パスワードはカード右下のスクラッチ部分を削って表れる12ケタの数字だ。
さて、利用状況(残高など)はサービスのWeb管理画面より確認できるようだが、今回導入したUSBモデムセットは最初に購入した料金分についての利用状況が表示されなかった。こちらPCでデータ通信をガンガン使う人は少し注意してほしい。
とはいえ初期残高を使い切っても、サービスのWebサイト(https://www.yes.my/myselfcare/doLogin.do)より残高の追加は可能だ。Yes IDとパスワードを入れてログインし、クレジットカードで支払うスタイルとなる。
追加プランは以下の3種類。
Valuepackの有効期限は1カ月間となる。従量課金制プランも1カ月有効で、原則として毎月最低30リンギット(約747円)のチャージが必要だ。一応、利用開始から1カ月以上使うような長期滞在者は、毎月30リンギットは利用残高から引かれることになるので覚えておいてほしい。
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