月額1000円前後からと低価格に利用できることで利用者が増えている「低価格SIMカードサービス」。最近、データ通信だけでなく、音声通話もできるSIMカードサービスがグッと増えてきた。低価格SIMサービスを展開するIIJmioが、音声通話対応低価格SIMサービス「みおふぉん」を2014年3月13日に開始した。
同サービスは、SIMカードの初期代金が3000円(税別、以下同)、音声通話の利用料金を1000円/月としたSIMカードサービス(「IIJmio音声通話パック」を購入する仕組み)で、データ通信プランとして既存のIIJmio/Dの3つのプラン(900円/月から)より選択するもの。もっとも安く抑えられる「ミニマムスタートプラン」の場合、最大1Gバイトのデータ通信と音声通話のスマホ環境を1900円/月で実現できる。通話料金は20円/30秒と大手通信事業者の基本単価と同等で、無料通話分や同一キャリア同士の無料通話といった割引は受けられないが、「スマホを低価格に、たまに通話もするのであるとより便利」とする層に向く。
なお、このサービスは音声サービスとして090、080からはじまる電話番号も普通に付与され、MNPで他社からの転入(および他社への転出)も可能だ。一応、最低利用期間があり、利用開始から12カ月までに解約すると残月×1000円の「音声通話機能解除調定金」と呼ぶいわゆる違約金のようなものが発生する。このため、短期でのMNPの原資にするような導入は向いていないことは注意したい。こちらは日本通信の音声サービス対応SIMカードサービス「スマホ電話SIM」なども同等の対策が取られている。
もう1つ、IIJmoのデータ通信プランはミニマムスタートプランのバンドルクーポン(通信速度の制限を解除するため月ごとに付与される利用権)が500Mバイトから1Gバイトに、同ファミリーシェアプランも2Gバイトから3Gバイトへ、それぞれ2014年4月1日より増量される。バンドルクーポン増量にともなうユーザー側の操作や手続きは不要。利用可能なデータ通信量の増大は低価格SIMサービスを望む人にとってよろばしいサービス改善もなされたのもよい傾向だ。
ともあれ低価格SIMサービスも、(これまでデータ通信のみだったところを)音声通話にも対応してくれれば、大手通信事業者契約に対する「完全な代替」ができるようになる。最近、大手通信事業者に対し、総務省がMVNOへの回線使用料をより安く提供するよう業界向けの指針を改定するという報道があり、3月24日にはNTTドコモがMVNO向け(事業者間)のパケット接続料を改定する旨の発表を行い、2012年度適用比で最大56.6%値下げする(2013年度分より2013年4月にさかのぼって適用)。
スマホ料金の低価格化を望む声が日に日に高まっている中、これまで高止まりしていた料金低価格化対策の手段は増えつつある。「低価格SIMサービス」におけるこのデータ通信料の低価格化と音声サービスへの対応は、個人スマホ環境を大きく変える力がある2014年注目のサービスと言える。
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