iOSでもAndroidでもない、「Windows Phone 8.1」という可能性本田雅一のBuild 2014リポート(1/3 ページ)

» 2014年04月09日 05時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

「日本には関係ない」と無視するには惜しい存在

Build 2014の基調講演に登壇し、Nokiaの最新モデルを紹介した同社元CEOのスティーブン・エロップ氏。Microsoftによる同社の買収に伴い、古巣のMicrosoftに復帰し、デバイス部門担当の上級副社長に就任した

 Windows Phoneの新バージョンが……と伝えても、「日本では発売されないんじゃないですか?」と、やや白けてしまう読者は多いかもしれない。しかし、「Windows Phone 8.1」の詳細について知れば、多少そんな気持ちも揺らぐのではないだろうか。

 個人的に所有したい、したくないといった話の前に、Windows Phone 8.1搭載機はテクノロジーデバイスとして、他のスマートフォンにはない特徴を備えているからだ。

 すでに成熟期を迎えたと言われるスマートフォン市場は、iPhoneとAndroidスマートフォンが大きな存在感を示し、ほかのプラットフォームが新たに入り込む余地はないようにも思える。しかし、Windows Phone 8.1を見ていると、そこに別の可能性が見えてくるのだ。そして、あるいはしばらくすれば、日本でも販売されるようになるかもしれない。そんな期待感も出てくる。

 NokiaによるWindows Phone 8.1プリインストールモデル発表会の模様も併せ、Microsoftが活路を見いだそうとしているWindows Phone普及への道について、話を進めることにしたい。

Nokiaが発表したWindows Phone 8.1搭載スマートフォンのフラッグシップモデル「Lumia 930」。後述する下位2モデルも同時発表された

低スペック機でも良好なパフォーマンスを示したWindows Phone 8.1

 今年2月にスペインで開催されたMobile World Congress 2014で、MicrosoftはWindows Phone端末を開発するための基本プラットフォームをQualcommとともに発表。このときは(基本ソフトとしての)Windows Phone 8.1については詳細を語っていなかった。ただし、ハードウェアの低コスト化については言及され、低価格端末が多数登場するとの予告が行われた。

 Build 2014で発表された新たなWindows Phone端末の発売メーカーにはインドのブランドもあり、スマートフォン市場がまだ成熟していない地域でWindows Phoneのシェアを伸ばそうという意図が明確になっている。

 Android端末がスマートフォン市場で高いシェアを誇っているのも(台数という面では)低価格端末の存在が大きい。ハイエンド端末に関しても引き続き新製品を投入していく一方、低価格化で普及台数を追うことにより、存在感を増そうということだ。

 近日にMicrosoftによる買収が承認される見込みのNokia製の現行端末で言えば、「Lumia 520」系の端末が相当するが、その領域をさらに強化しようとしている。

NokiaのWindows Phone 8.1搭載スマートフォン低価格モデル「Lumia 630」。デュアルSIMモデルも用意している

 そして、結果として登場したのが「Lumia 630(3G専用モデル)」と「Lumia 635(LTEモデル)」だ。Lumia 630にはデュアルSIMモデルもあり、シングルSIMモデルで159ドル、デュアルSIMモデルなら169ドル。さらにLTEモデルのLumia 635も189ドルと、「えっ?」と思うぐらいの低価格を実現した。デュアルSIM(待ち受けも2キャリア同時にできる)モデルを用意するところなどは、アジアなどの新興国市場からの要望を聞いたものだろう。

 もっとも、いくら安価でもパフォーマンスが悪ければ意味がない。

 Buildに合わせてサンフランシスコで行われたNokiaの発表会では、MicrosoftのWindows Phone戦略の今後を占ううえで、上位モデルの「Lumia 930」以上に下位モデルのLumia 630/635のパフォーマンスに注目していた。

 さて、実際に手にしたLumia 630/635は低価格だが、Snapdragon 400(1.2GHz/クアッドコア)で動作するWindows Phone 8.1は、パフォーマンスも良好だ。もともと低スペックでもサクサクと動いていたWindows Phoneだが、アプリケーション形式がSilverlightから、Windows PC、タブレットとも形式が共通化された「Universal Windows Apps」になったWindows 8.1でも、その「速度感」は変わらなかった。むしろアプリケーション起動速度の遅さなどは改善されているほどで、「ローエンド機だからモッサリ」といったことはない。

 Googleも低スペック端末でのパフォーマンス向上を志向してAndroidの改良を行っており、同クラスの端末で比べてみなければ、どちらが上かなどの判断はできないものの、Nokiaの新しいエントリーモデルには好感を持った。

「iPhone 5c」を思わせる鮮やかな色使いのボディだが、Lumia 630/635は低価格モデルゆえ、質感では及ばない

 確かに質感はそれなりだ。鮮やかな色使いの筐体は、写真だけを見ると「iPhone 5c」に似ているように見えるが、実際には子どものおもちゃのようにも見える。プラスチックでも高い質感を求めたAppleのアプローチとはまったく違うが、結果として前記のような価格を実現できた。

 ご存じのように日本では新端末購入の支援金額が大きく、ローエンド端末は市場動向にはあまり影響しない。しかし、言うまでもなくワールドワイドでのユーザー数が増えれば、Windows Phoneのエコシステムが強化され、タブレットやPCとのアプリプラットフォーム共通化とも合わせて、よい方向に行くのではないかと考えられる。

 さらに、こうした低価格ながらパフォーマンスのよい端末があれば、コンシューマー向けとは別に対策が進んでいるWindows Phone普及戦略にも好影響がある。

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