iOSでもAndroidでもない、「Windows Phone 8.1」という可能性本田雅一のBuild 2014リポート(2/3 ページ)

» 2014年04月09日 05時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

Windows Phone普及の2面アプローチ

パーソナライズ可能な電子アシスタントの「Cortana」は、Windows Phone 8.1の目玉機能だ

 MicrosoftはWindows Phone 8.1で、さまざまな改良を施した。

 「パーソナライズ可能」な電子アシスタント機能の「Cortana(コルタナ)」もその1つだ。

 AppleのSiriと異なるのは、徹底的にパーソナライズが可能なことで、スマートフォンの利用履歴を蓄積したり、自分自身で興味のあることを登録したり、頻繁にSNSや電話で連絡している相手を認識するなど、さまざまな情報をもとに、「自分のため」の電子アシスタントになっていくよう作られている。

 ただし現在のところ、システムの言語を日本語にするとCortanaは消えてしまい、英語でも使うことはできない。

 CortanaにはアプリケーションとつながるAPIも用意されており、対応アプリならばCortanaから直接機能を呼び出すことができる。例えばプリインストールされているSkypeを通じて誰かにボイスチャットをコールすることもでき、今後登場するアプリがCortanaとの連動に関して定義しておくこともできる。

 Windows Phoneの特徴的なタイル形状のホーム画面は、ライブタイルの背景に好みの写真やグラフィックスを割り当てることが可能となり、実に多彩なカッコいいロック画面のアニメーションも用意されている。

ライブタイルの背景に好みの写真やグラフィックスを適用できる(写真=左)。画面を縦方向にスワイプすることで現れる「Action Center」も追加され、ロック画面の機能も強化された(写真=右)

 無線LANについては、無料のアクセスポイントや加入済みのWi-Fiサービスなどを自動的に認識しながら、よりよい品質のアクセスポイントを常に自分自身で探して接続する「Wi-Fi Sense」といった機能、キーボード上を一筆書きでなぞると英単語が素早く入力できる新しいソフトウェアキーボードなどの機能も用意された。

よりよい品質のアクセスポイントを自動で探して接続する「Wi-Fi Sense」(写真=左)。キーボード上を一筆書きでなぞると、英単語が素早く入力できる新しいソフトウェアキーボード(写真=右)

 この辺りは個人向けのちょっと気の利いた改良といったところだが、Windows Phone 8.1は個人ユーザー向けの機能よりも、企業向け、あるいは個人で使う場合でも主に仕事の生産性を高める機能改良が多い。ごく当たり前に企業向け端末としてセキュアに利用できるよう作られている。

 これまでのWindows Phoneは、Windowsという名前は付いていたものの、コアとなるOSの機能はWindowsとは別のものだったが、今回は企業向けシステムで圧倒的なシェアの“Windows”のシステムへの接続性を高めたのだ。

S/MIMEで署名入りの暗号化メールを送受信できる機能など、業務用途にも配慮されている

 例えばS/MIMEで署名入りの暗号化メールを送受信したり、受け取った書類をクラウドストレージのOneDrive上に保存してPCやタブレットと連携する機能も、当然ながらシステムに実装されている。

 また、設定には「コーポレートアカウント」という項目が追加され、ここに企業に割り振ったIDを入れておくと、端末に登録している個人アカウントとのマッチングを取って、電話機能の集中管理が行える。

 例えば企業が業務用端末としてスマートフォンを配布する際、ゲームで遊ぶことを禁止したり、業務に使うアプリを必要な設定とともに自動インストールするなど、PCで言うところのデスクトップ管理が可能になるのだ。

 こうした企業端末としての管理性と、前述したような低コスト端末でも十分に高いパフォーマンスを発揮できる点を併せ、企業向けのスマートフォン端末としてWindows Phoneが導入されるケースは増えていくだろう。

 これまでもBlackBerryが担ってきた企業向け端末の市場をWindows Phoneが奪うといった構図が続いてきたが、管理性の向上によって、さらにそうした動きが加速されていくことも予想される。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月05日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  3. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  4. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  5. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  6. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  7. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  8. サイゼリヤの“注文アプリ”が賛否を呼ぶ理由──「使いやすい」「紙メニュー前提」など多様な意見 (2025年11月23日)
  9. Z世代で“友人のInstagramアカウント乗っ取り”が流行? いたずらで済まない不正アクセス禁止法違反 保護者が注意すべきこと (2025年12月04日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー