F-06Eの地味ながらも技術的マイルストーンを分解して知るバラして見ずにはいられない(2/3 ページ)

» 2014年05月27日 11時47分 公開
[柏尾南壮(フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ),ITmedia]

コネクタも限界に挑戦

 コネクタは部品と部品の接続に加え、信号を伝送する役割も担う。ディスプレイやカメラなど、大きなデータをやりとりする部品はほとんどすべてコネクタで基板に接続し、そこから、基板内の配線を通ってプロセッサに達する。個々の部品が高速通信に対応していてもコネクタがそれを橋渡しできなければ十分な能力を発揮できない。日本では第一精工、ヒロセ電機、日本航空電子工業、第一電子工業、京セラコネクタプロダクツなどが世界中のデバイスにコネクタを供給している。その品質に対する評価は高い。

メイン基板のディスプレイ側に実装した通信関連パーツと(写真=左)、システム関連のパーツ(写真=中央)。

背面側にはシステム関連のパーツだけを実装している(写真=左)。メイン基板に用意したコネクタパーツ(写真=右)

 1つのコネクタは、幅1センチ強のスペースに20本から60本の配線を接続する能力を持つ。それぞれの配線の接続ポイントの間隔(ピンピッチと呼ぶ)は0.3ミリが一般的だ。しかし、F-06Eでは液晶パネル用コネクタのピンピッチが0.2ミリと狭い。これは世界で最も早く超狭隘ピッチコネクタを使用した例にはいる。

 ピンピッチが狭くなれば、同じ幅のコネクタに多数のケーブルを接続できるが、ピンの近接による干渉も考慮に入れる必要がある。スマートフォンの性能はこれからも向上するはずで、コネクタが橋渡し役を果たす信号量は増大し、かつ、転送速度は高速になる。台頭著しい中国では安価なICや液晶パネルを製造可能かもしれないが、ダウンサイジングと伝送ロスを両立させた部品は、長年の研究開発で実績の多い日本技術がリードしていく。

 デバイスの開発は多くの困難を伴うが、とりわけコネクタは苦労の多い分野の1つだ。ICなどは基板上の位置が早い段階で決まるのに対し、コネクタの位置は最後まで決まらない場合が多いと言われている。それどころか、一度場所が決まっても、後から少しずらす必要が所持ることもある。そうなると、ナノ秒単位でやりとりする信号に与える配線長変更の影響を考慮したり、コネクタに接続するフレキシブルプリント基板のケーブル(ゴムのように伸縮性がある訳ではない)も作り直さないといけない。こういう作業が製品開発の最後の段階で繰り返されることもある。手先が器用というだけでなく、日本のように基礎研究が積み上がった環境で初めて出来る離れ業だ。

 日本のスマートフォンに初めて指紋センサを搭載したのは富士通だった。2008年に登場したF1100というモデルだった。富士通のウェブサイトでは「半導体方式」として紹介している。センサ上には9万のセンシングポイントがあり、指がセンサに触れたとき、指紋の山と谷で微妙な距離の差ができ、吸い寄せられる電子の量が変わることを利用した方式と説明している。

第2基板は、ディスプレイ側(写真=左)も背面側(写真=中央)もシステム関連パーツを実装する。第2基板に用意したコネクタパーツ(写真=右)

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