店舗を変えるモバイル決済

目指すは“オールインワン決済” 急成長する「Airペイ」の戦略をリクルートに聞くモバイル決済の裏側を聞く(2/2 ページ)

» 2017年12月13日 06時00分 公開
[房野麻子ITmedia]
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Airペイ導入のメリット

 現在、日本は国家戦略としてキャッシュレス化を推進。日本のキャッシュレスの割合は18%から19%といわれているが、内閣府は10年後にそれを40%にまで引き上げようとしている。また、2020年の東京オリンピックに向けて、クレジットカード対応、それもICチップ付きの対応を急いでいる。

 Airペイの導入が増えている背景には、この影響もあるようだ。加盟店の業種は幅広く、美容関連であればヘアサロンからエステ、ネイルサロン。飲食店であれば、居酒屋からカフェ、さらには社員食堂まで、さまざまなところから「わけへだてなく申し込みがある」。基本的には店舗が中心だが、音楽イベントの期間だけ使いたいという引き合いも多いという。移動販売車や営業マンに持たせるためにも使われており、これはリーダーライター端末が持ち運べることが大きい。

 すでにクレジットカード決済を導入している店舗にとっては、リーダーライターがポータブルで、テーブル決済が簡単にできる点もメリットだ。日本ではPOSレジが離れている店舗でカードを店員に持っていかれることも多いが、外国人にとってこれはスキミングの不安を覚えるという。その点、Airペイのリーダーライターならテーブルで、お客が見ている前で操作できるので安心だ。

 また、Airペイの導入に初期費用はない。リーダーライターは1万9800円だが、6カ月以内に6万円以上決済すると、リクルートがキャッシュバックする。そのため、端末代は実質0円。iOS端末が必要だが、持っていれば初期費用は実質的に0円だ。

 利用料もなく、取扱高に応じた決済手数料かかるのみ。料率は3.24%からで、「マーケット基準でもほぼ最安価格」(塩原氏)で提供している。

 リーダーライターの設置は簡単で、省スペースで運用できる。従来はクレジットカード用、非接触ICカードのブランドごとに専用の端末が必要で、レジの周りがリーダーライターでいっぱいになっていたが、Airペイは端末1つでOK。レジ周りがすっきりする。

 クレジットカード払いを導入していない店舗にはAirペイを認知させる必要があるが、お客の単価が上がるケースが多いという。クレジットカードが使える場合、お客はより高額の商品・サービスを選ぶ傾向があるという。

 ちなみに、Airペイで使われる決済手段は、断トツでクレジットカードが多いそうだ。モバイル業界をウォッチしている媒体としてApple Payがまだまだといわれるのは残念だが、「マーケットの伸びに準ずる形でApple Payも伸びているという状況」(塩原氏)。

 「端末1台で、クレジットカード、交通系電子マネー、Apple Payに対応すること自体、業界初でした。業界初を目指して、いち早くそろえていったというのが本音です。ただ、交通系電子マネーはシェアが高く、Apple PayもiPhoneのキラーサービスになるだろうと判断して導入を決めました」(塩原氏)

 将来的に、さらに電子マネーの対応サービスを増やす計画もある。ただ、WeChatPayなど他のQRコード決済には、すみ分けという意味もあるだろうが、対応には慎重な姿勢だ。

 「日本人はすでにFeliCaでかざす決済になじんでいると思います。もちろん、インバウンド対策は、Alipayとの関係を密にするなど、強化します。リクルートはホットペッパーなどを通じて、もともと数万件の飲食店の加盟店さんとの関係があります。インバウンドのニーズはそこにもあり、メニューの翻訳や集客支援、Alipayからの検索といったグルメの文脈でインバウンド対策を行っています。決済とコラボレーションして何ができるかを検討しているところです」(塩原氏)

 決済のオールインワン戦略を取りながらも対応サービスを見極め、異業種とのコラボレーションを図っているようだ。決済から広がる新たなサービスにも注目したい。

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