“日本最大のMVNO”はKDDI? 市場調査から見える実態MVNOの深イイ話(2/2 ページ)

» 2019年01月16日 06時00分 公開
[堂前清隆ITmedia]
前のページへ 1|2       

日本最大のMVNOはKDDI? ソフトバンク?

 さて、MVNOのシェア上位というと、楽天、IIJ、OCN(NTTコミュニケーションズ)、mineo(ケイ・オプティコム)が常連ですが、実はこれらの事業者をはかに超える超巨大MVNOが日本には2社存在します。それは、KDDIとソフトバンクです。

 これは総務省の資料からも読み取れます。総務省の資料の注釈を見ると、何カ所かに「MNOであるMVNOを除く」という表記があります。ここで除かれている「MNOでもあるMVNO」とは、KDDI、沖縄セルラー、UQコミュニケーションズ、ソフトバンクの4社です。この4社はMNO(キャリア)でもありながらMVNOとしても営業しているため、このような表記になっています。まずはソフトバンクのケースから説明しましょう。

 ソフトバンクグループにはWCP(ワイヤレスシティープランニング)という会社があります。この会社は元をたどるとPHS事業を営んでいたウィルコムの一部門であり、PHSの後継規格であるAXGPの基地局を全国に展開しているキャリアです。AXGPは免許の由来こそPHSにありますが、実際にはLTEのバリエーションであるTD-LTEと同じ規格です。

 ソフトバンクは大量の通信に対応するため、自社の基地局とこのAXGP基地局を併用しています。このとき、ソフトバンクがMVNOとしてキャリアであるWCPから回線の提供を受けるという形を取っているのです(TD-LTE対応機種を使っている場合)。

 これが、総務省の資料にある「MNOであるMVNO」です。このような形態は純粋な意味でのMVNOとは立場が異なるため、MVNOのシェア集計上は除外することになっています。ちなみに、利用者がソフトバンクのスマートフォンを契約すると、利用者〜ソフトバンクで1契約、ソフトバンク〜WCPで1契約と、同一の契約が同一グループ間で二重に計上されてしまいます。このため、各キャリアの契約数の調査上は「グループ内取引調整」として二重計上しないような調整がなされています。

MVNO ソフトバンクグループ

 KDDIグループはもう少し複雑です。KDDIグループのUQコミュニケーションズは、WiMAX規格を使った通信サービス「UQ WiMAX」を提供するキャリアです。現在のUQ WiMAXの設備は、WiMAX 2.1(WiMAX 2+)という規格のものが主力となっていますが、こちらも実質TD-LTEと同じ規格です。KDDIはauブランドで展開するスマホのサービスの中で、KDDI自身の基地局とUQコミュニケーションズのWiMAX 2.1基地局を併用し、大量の通信に対応しています(沖縄ではauブランドを沖縄セルラーが提供していますが、通信設備上はKDDIと同じ立場となります)。

 ここまではソフトバンクグループと同様ですが、KDDIグループの場合、UQコミュニケーションズ自身が提供するUQ WiMAXサービスにて、KDDIからLTE回線の提供を受けるMVNOでもあるという、相互関係になっています

 さらに、UQコミュニケーションズが提供するUQ mobileでは、UQ mobileがMVNOとしてキャリアであるKDDIの回線提供を受けていますが、このKDDI回線ではUQ WiMAXの基地局も併用しています。このように、KDDIグループ内では相互の回線の提供と費用の支払いが複雑に行われている模様です。

MVNO KDDIグループ

 このような「MNOでもあるMVNO」の契約数はどの程度あるのでしょうか、ソフトバンク、KDDIそれぞれの内訳については資料に記されていませんが、「MVNO(MNOでもあるMVNOを含む)サービスの契約数の推移」の数から、「MVNOサービスの契約数の推移」の数を引くことで両社の合計が分かります。その数は6303万契約と、MVNOの全契約数1998万契約を圧倒的に上回ります。KDDIとソフトバンクのシェアの差を考えると、恐らく日本で一番規模の大きいMVNOはKDDIで、2番目がソフトバンクということになるのでしょう。

MVNO MNOでもあるMVNO契約数

著者プロフィール

堂前清隆

堂前清隆

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) 広報部 副部長 兼 MVNO事業部 事業統括部シニアエンジニア

「IIJmioの中の人」の1人として、IIJ公式技術ブログ「てくろぐ」の執筆や、イベント「IIJmio meeting」を開催しています。エンジニアとしてコンテナ型データセンターの開発やケータイサイトのシステム運用、スマホの挙動調査まで、インターネットのさまざまなことを手掛けてきました。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月09日 更新
  1. 「Suicaのペンギン」卒業騒動にまつわる背景と誤解 JR東日本に聞いた (2025年11月14日)
  2. 折りたたみiPhoneは30万〜40万円超に? ダミー画像から見えたスペックと品薄の懸念 (2026年09月07日)
  3. ドコモの純正スマートウォッチがAmazonで14%オフの約6000円に 心拍や睡眠の測定も可能 (2026年09月08日)
  4. なぜLINEは“ちょっとした気遣い”で重宝された「ミュートメッセージ」を有料化したのか? (2026年09月08日)
  5. 3COINSで1320円の「コイル充電ケーブルAtoC」を試す 伸縮式よりも“ラフ”に扱えて便利 ただしキーボードにはアンマッチ? (2026年09月08日)
  6. “折りたたみiPhone”だけじゃない もうすぐ開催のAppleイベントで登場する新製品のうわさを総まとめ (2026年09月08日)
  7. 車内を大画面エンタメ空間にする「VANBAR ディスプレイオーディオ」がセールで20%オフの2万8777円に (2026年09月08日)
  8. 「Pixel 6a」で製品起因が疑われる発火事故が発生 消費者庁が「消費生活用製品の重大製品事故」として公表 (2026年09月07日)
  9. パスポート型折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold8」と「HUAWEI Pura X Max」の実機比較で見えてきた違い (2026年09月07日)
  10. 1日1ページ、予定/ToDoや手書きメモがまとまるiPhone/iPad向け手帳アプリ「FirstSeed手帳」登場 (2026年09月07日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー