三井住友カードは8月26日、「プレミアムカードの新たなニーズに応える」クレジットカードとして、「三井住友カード プラチナプリファードカード」を9月1日から発行すると発表した。プレミアムカードのステータスに加えて「ポイント特化型」というのが特徴で、「プレミアムカードのもう1つの選択肢」(大西幸彦社長)と位置付ける。カード発行は9月1日から、年会費は3万円(税別)となっている。
三井住友カードは、2020年に入って30年ぶりというカード券面のリニューアルを実施。表面にはロゴと名前だけを記載し、カード番号などの情報を裏面にまとめることでセキュリティに配慮。スマートフォンアプリも刷新して利用ごとの即時通知、アプリからの利用可否の設定といった機能を追加した。加えて、コンビニエンスストアやマクドナルドでのポイント5倍施策も奏功し、新規入会者は前年比2倍となる108%増となった。
こうした中、クレジットカード市場、特にプレミアムカードにおいて2つの変化が起きているという。1つ目はキャッシュレス化が進展して決済額が増加している点。大西社長は、「以前は特別なときにクレジットカードが使われていたが、今は日常的に使われており、ネットでの利用も増えている」と指摘。年間200万円以上をクレカで決済している人が、2019年には5年前に比べて70%増になったという。キャッシュレス・消費者還元事業や新型コロナウイルスの影響も手伝って、決済額は増加を続けている。
それに伴って現金の利用は減少。スーパーのキャッシュレス比率が2019年9月には15.5%だったものが、2020年2月には31.9%に達し、6月には36.7%まで上昇。三井住友銀行のATM利用件数比率も2月に比べて減少しており、大西社長は現金利用が低下しているとの認識を示す。
その一方で、若い世代を中心にクレジットカードの付帯サービスはシンプルで、カード利用での具体的なメリットを得られる方がいい、という声が増えてきているという。こうした状況やニーズの変化に応えるために開発されたのが、今回の「プラチナプリファードカード」だ。
特徴は「ポイント特化型」という点。年会費は税別3万円だが、入会して3カ月後までに40万円以上を利用すると4万ポイントを還元。「これで年会費以上になる」と大西社長。利用額に応じたVポイント付与率はベースポイントが1%(100円1ポイント)ながら、プリファードストアと呼ばれる特約店ではさらにプラス1〜9%、海外利用(外貨ショッピング)ではさらにプラス2%の還元が加算される。さらに、毎年の継続特典として、年間利用額100万円ごとに1万ポイント(最大4万ポイント)を還元。ポイントのたまりやすさをメリットとする。
2年目以降に200万円利用した場合、ベース還元(1%)の2万ポイントに継続特典の2万ポイントを加えた計4万ポイントとなり、年会費3万円を上回るポイントを還元。これに特約店や海外利用を加えればさらなるポイント還元になる。
年間利用額200万円というとハードルが高いと感じるが、大西社長は「今まで複数の決済手段で支払っていたものをプリファードカードにまとめたり、公共料金の支払いやネット決済などをまとめたりしていけば、多くの人に検討してもらえる額」と話し、年間200万円であれば幅広いユーザーが対象となるという認識を示す。
特約店となるプリファードストアは、百貨店、旅行予約サイト、ETCやANAなどの交通系などに加え、コンビニエンスストアやカフェ、ファストフード、ドラッグストア、スーパーといった日常で利用する幅広いジャンルをカバー。対象となるのは70社に上るという。
カードデザインは高級感とシンプルさを大事にしており、2020年2月に新デザインとなったカードデザインを踏襲。ブラックとホワイトという2つのカラーを用意した。表面にはクレジットカード番号などはなく、安心・安全にも配慮している。
付帯サービスは最小限ながら必要なものは搭載したとのことで、海外旅行保険とお買い物安心保険を装備。アプリでの即時利用通知や利用制限の設定も可能。シンプルさを重視して国際ブランドはVisaのみ。Visaのタッチ決済に加え、「Apple Pay」と「Google Pay」にiDとして登録することも可能だ。
大西社長は、従来のコンシェルジュなどのフルサービスを求める人も多いとしつつ、プラチナプリファードカードによって「プレミアムカードのステータスを保ちながら、分かりやすいメリットを提供することで、キャッシュレス時代の新しい選択肢を提供する」と強調。従来のクレジットカードのイメージにとらわれない次世代カードだとアピールしていた。
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