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» 2021年01月15日 10時00分 公開

NTTドコモ・井伊基之社長の年頭挨拶にツッコミ――2021年は「新しいドコモへの挑戦の年」石川温のスマホ業界新聞

携帯電話事業者の社長は例年、元旦(1月1日)付で「年頭所感」を発表する。そこには、各社長が持つ1年間の「ビジョン」が盛り込まれている。2020年12月にNTTドコモの社長となったばかりの井伊基之社長の所感を見て、その中身を分析してみよう。

[ITmedia]
「石川温のスマホ業界新聞」

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年1月9日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


年頭にあたって

株式会社NTTドコモ

代表取締役社長

井伊 基之

新年、明けましておめでとうございます。社長の井伊です。

2021年の年頭にあたり、一言、ご挨拶を申し上げます。

昨年2020年は「新時代の成長に向けたスタートの年」として、5Gのサービス開始を契機とした新たな価値創造と社会課題解決を加速させました。

1年を通じて、新型コロナウイルスは私たちの事業運営に大きな影響をもたらしました。

全社的にリモートワークへのシフトを推進する一方、ドコモショップやコールセンター、オペレーションセンターなど出勤が必要な職場では、厳しい環境の中でお客さまサービス維持のために取り組んでまいりました。業務のリモート化に向けた取り組みを部分的に開始しましたが、今後さらに加速していきます。

また、社会全体が急速にリモート型へとシフトする中で、テレワーク、遠隔学習、遠隔作業支援などのモバイルソリューションが多くの場面で活用され、社会・経済活動に貢献してまいりました。

ただし、新型コロナウイルスへの対応はまだ終わったわけではなく、「ニューノーマル」を意識した取り組みを継続してまいります。

さて、私は今年2021年を「『新しいドコモ』への挑戦の年」と位置づけます。昨年のNTTによる完全子会社化に際し、ドコモはモバイルを中心とした事業から領域を拡大し、NTTグループとの連携強化により自らを変革・進化させることを宣言しました。

これは5年後、10年後を見据えて、私たちドコモが社会に不可欠な存在として強く大きく成長していくための決断でした。

そして、今年は通信・スマートライフ・法人・国際・R&Dの5分野それぞれで具体的な取り組みに着手し、その意思を実現していく年にします。

1.通信事業

昨年12月に、オンライン手続に特化した新たな料金プラン「ahamo」をお披露目しました。また既存のプランについても、5Gの普及を目的に、低廉かつデータ使用可能量が無制限のプランへ見直しを行い、はじめてスマートフォンへ変更される方向けのプランも提供することを発表しました。今後も様々なお客さまのニーズにあった料金・サービスをご用意し、喫緊の課題である顧客基盤強化に取り組みます。

ネットワークについては、何よりも「瞬速5G」エリアの拡大を推進するとともに、NTTコミュニケーションズと連携して移動・固定融合ネットワークの早期実現をめざします。

2.スマートライフ事業

dポイントクラブ会員数、d払いユーザ数といった会員基盤は順調に拡大していますが、今後は「毎日の生活の中でもっと使っていただける」サービスへとさらなる進化を図ります。さらに、こうした会員基盤から生まれる様々なデータを活用したマーケティングソリューションを拡大していきます。

昨年の「ドコモ口座」不正利用事案では、お客さまや金融機関、そして社会に多大なご迷惑をおかけしました。社内体制の整備を含め徹底的にセキュリティ対策を実施し、失った信頼回復に取り組みます。

サービス面では、5GやXRなどの新たな技術を活用したイノベーションをおこし、映像配信やエンタメなどの分野で新しいライフスタイルを提案するサービス・デバイスを世に出していきます。

3.法人事業

主にNTTコミュニケーションズとの連携により、これまでモバイル中心であった提供領域を、固定ネットワークや上位レイヤを含めたトータルサービス・ソリューションに拡大します。さらに両社の顧客基盤と営業リソースを足し合わせて、多様化・複雑化するお客さまニーズに対してグループトータルで強力に対応していきます。

また、4月に提供開始する「ビジネスdアカウント」を活用して、お客さま企業のDXを強力に支援し、従業員の皆さまに便利と安全を提供して参ります。

4.国際事業

国際ローミングやキャリアビリングなど従来の取組に加えて、日本国内で磨き上げた5GやIoTなどのソリューションを、NTTグループの海外拠点を通じて販売するモデルにチャレンジしていきます。

5.R&D

革新的で高品質なサービスをいち早く提供できるよう、アジャイル開発の強化などサービス創出体制を強化します。

また、6GやIWONといった次世代ネットワークにおいて国際競争力を発揮できるよう、ドコモの無線技術とNTTグループの技術力を組み合わせて研究開発を推進し、サービスを早期にマーケットに提供していきます。

こうした取り組みを通じて、既存の枠組みや前例にとらわれずドコモが新しい姿に自らを変革していく始まりの年にしたいと考えています。そして業界トップの座に早期に返り咲くことをめざします。

2021年が、皆さんにとって、素晴らしい1年となりますよう祈念して年頭の挨拶といたします。

【挨拶を読んで】

 井伊基之新社長体制になって、あっという間にNTT色が強くなった感がある。NTTコミュニケーションズとの連携、一体化が前提となっているし、R&DにおいてもIWONがここで登場してくるとは驚き。これまでのNTTドコモではIWONなんて語られることは一切なかったので、隔世の感がある。

 ただ、NTTグループを本当に一体経営させていく方向性が正しいのか、キチンと議論は必要なんじゃないかと思う。まさに、この30年、日本の通信行政が無駄に終わる可能性も出てくるので、2021年は「光の道」を再検討するぐらい突っ込んだ検証が不可欠なのではないか。

 また、ahamoも出すことで、NTTドコモは「3番手」から脱却することができるのか。「iモード以後、ヒットがない」と指摘される中、ユーザーに支持されるサービスを作り出せるのか。井伊新社長体制にはいろいろ期待したいところだ。

© DWANGO Co., Ltd.

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