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「ポケトーク」のソースネクストが「Web会議用カメラ」を販売 その理由は?(1/3 ページ)

» 2021年04月01日 17時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 新型コロナウイルスの感染拡大は、社会のあらゆる面に大きな影響を与えた。それはPC業界やスマートフォン業界も例外ではない。

 ここ数年はモバイル翻訳機「ポケトーク(Pocketalk)」で知られるソースネクストも同様だ。ポケトークは主に海外から日本への旅行や出張(インバウンド)ニーズと、日本からの海外への旅行や出張(アウトバウンド)ニーズの両方に支えられヒットを続けてきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で海外との往来が厳しく制限されるようになり、インバウンドとアウトバウンド双方の流れが大きく制限されることになってしまった。

 そんな中、ソースネクストは「テレワークコレクション(テレコレ)」と銘打ってテレワーク関連製品のラインアップを強化している。注目は、2020年7月から販売を開始したWeb会議用の360度Webカメラ「Meeting OWL Pro(ミーティングオウル プロ)」だ。法人向け製品で税込み直販価格は12万6500円と、同社が扱う商品としては高価格帯に属するだが、2021年1月には累計販売台数が8000台を突破したという。

 なぜ、同社は高価格帯製品であるMeeting OWL Proの販売に踏み切ったのか。新型コロナウイルスの感染拡大は、ポケトークやソフトウェアなどの販売にどのような影響を与えたのか。担当者に話を聞いた。

Meeting OWL Pro Meeting OWL Pro

ソースネクストとMeeting OWLとの出会い

―― 「Meeting OWL Pro」とはどのようなものなのか、改めて教えてください。

ソースネクスト Meeting OWL Proは、360度カメラ、マイクとスピーカーが一体となったWeb会議用デバイスです。

「Zoom」や「Teams」など、PCでWeb会議アプリを使う際にUSBケーブルで外付けして使います。プラットフォームとしては、Windows、Mac(macOS)とChrome OSに対応しています。

 声や表情、身ぶり手ぶりなどを検知して、自動的に話者にフォーカスを合わせてくれる機能もあります。2人同時に話しているときは、2分割して同時に映すこともできます。

実際にインタビューしている様子 ソースネクストはMeeting OWL Proを使ってインタビューに応じた。上方4分の1程度は360度カメラの映像、残り4分の3で話者にフォーカスした映像を映し出す設定となっている(画像はイメージです)

―― Chrome OSにも対応しているんですね。ということは、教育市場(学校)でのニーズも高いのでしょうか。

ソースネクスト (現時点において)日本ではそれほど高くないですが、(開発元のOwl Labsが所在する)米国では教育機関からの注文が一番多いようです。

 米国では大学でも少人数授業が割と多く、1人1人の学生に発言を求める場面も少なからずあります。新型コロナウイルスの感染予防対策で、学校に来られない学生と、学校とをつなぐソリューションとしてのニーズがあるのだと思います。

―― 「ソースネクスト」と「Web会議用カメラ」と聞くと、つながりが薄いような気もします。なぜ日本ではソースネクストが扱うことになったのでしょうか。

ソースネクスト 弊社は米国のカリフォルニア州にも拠点があります。松田(憲幸会長兼CEO)も10年近く居住し、新しい商材などの開拓を行っております。

 ちょうど新型コロナウイルスが広がり始めた2020年3月頃、「これからの(社会)環境の中で求められる商材は何だろう?」と調査をした所、Meeting OWLと出会いました。時候柄、しばらくは直接会うことはできませんでしたが、Owl Labsと話し合いを進めた結果、「ぜひ日本で(Meeting OWL Proを)広めてほしい」ということで、日本における販売権を取得しました。

―― 発売時期と想定販売価格(税込み12万6500円)を考えると、結構なペースで売れているようですね。

ソースネクスト 2020年7月31日に販売を開始しましたが、10月までの約3カ月間で3000台以上を出荷しました。2021年1月には8000台を突破しています。

―― やはり法人が多いのでしょうか? さすがに個人が買うもの、という感じはしませんし……。

ソースネクスト そうですね。ほぼ全数が法人に買われています。

―― 日本への導入に当たって、機能面で要望したものはあるのでしょうか。

ソースネクスト ソフトウェアの更新自体は、おおむね2週間に1回のペースで行っています。元々は米国で販売されていた商品ですので、日本の環境に最適化されていない部分もあります。まずは、その点に関するチューニングをお願いしました。

―― 「日本向けのチューニング」というのは、どのようなものでしょうか。

ソースネクスト 実は日本の(オフィスの)方が“うるさい”傾向にあります。「騒がしい」というよりは、「ノイズ(環境音)」が多いという感じです。また、(新型コロナウイルスの感染拡大もあって)マスクの着用比率が高いということもあります。

 そのため、声や表情、身ぶり手ぶりを検出するアルゴリズムを調整してもらっています。

―― 導入した企業からのフィードバックもあるのでしょうか。

ソースネクスト 上がってきています。都度、開発担当者にもフィードバックしています。

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