世界を変える5G

キャリアがいるからこそ、個性的で革新的なデバイスが生まれるのではないか――端末と通信の完全分離は時代錯誤の政策でしかない:石川温のスマホ業界新聞

» 2021年06月25日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 Leitz Phone 1の発表で意外というか驚きだったのが、ソフトバンクが企画の発端だったという点だ。2019年7月にソフトバンクがライカカメラ社主のアンドレアス・カウフマン氏と直接面会しプロジェクトがスタート。すぐに開発パートナーとしてシャープが参加して、製品化にこぎ着けたという。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年6月19日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 ソフトバンクというキャリアがいたからこそ、ライカならびにシャープとしては製品化にGoサインを出せたのではないか。さすがに、キャリアが採用する前提がないことには、シャープとしてもライカモデルを作ることはなかっただろう。

 こうした個性的なスマートフォンが登場するという土壌は日本ならではだ。やはり、キャリア主導の市場だからこそ、製造を担当するメーカーも攻めた製品を作ることが可能になる。

 キャリアとしてもiPhone、XperiaやAQUOSなど、3キャリアで同じラインナップが揃うとなると、他社と同一化してしまう。製品ラインナップも、キャリアの競争軸であるわけで、ここで個性的なスマートフォンをそろえるかが、結果としてキャリアの魅力につながるはずだ。

 にもかかわらず、総務省はなぜラインナップ競争を否定するような政策ばかりを展開するのか。

 キャリアにSIMフリー前提で売らせ、回線契約をしていないユーザーにまで販売を強要する必要は必ずしもないのではないか。

 iPhoneやXperia、AQUOSなどマルチキャリア展開しているスマホであれば、SIMフリーで売らせ、回線契約をしていないユーザーに売らせてもいいだろう。

 一方で、Leitz Phone 1やauのTORQUE、NTTドコモ・Galaxy S21 5G Olympic Games Editionなどは、キャリアが企画をしたり、独占的に扱っている端末なのだから、SIMロックをかけまくり、非回線契約者に売る必要はないのではないか。

 「このスマホを使いたい」と思うユーザーが、そのキャリアにわざわざ乗り換えるというのがあってもいいし、これこそが真の競争ではないか。

総務省はキャリアに対して、単にユーザーに通信回線を提供すればいいと思っているのか。その発想こそが、4キャリアの画一化を産み、結果、横並びにつながるのだ。

 端末と通信契約の完全分離からはイノベーションは起きない。キャリアがリスクをとって、端末の開発や企画を行い、メーカーに製造してもらい、ユーザーに販売するという構図があるからこそ、技術的に攻めることができたり、これまでの常識にとらわれない革新的なデバイスが出てくるのではないか。

 端末と通信契約を完全分離すれば、当たり障りのない、つまらないスマホが一列に並ぶだけにしかならない。

 Beyond5G、さらに6Gに向けては、ネットワークと端末の役割分担が重要になってくる。ネットワークはすべての端末を受け入れるというよりも、端末とネットワークが、それぞれ状況に応じて処理が変えてくるのが当たり前になるはずだ。

 アップルは5G対応のiPhone 12をつくるにあたり、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクとネットワーク関連で共同開発したという。もはや、端末と通信は切っては切れないものになっているのだ。

 なぜ、総務省は端末と通信の完全分離にこだわるのか。5Gにおいて完全分離は時代錯誤であることに早く気がついてもらいたいものだ。

© DWANGO Co., Ltd.

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