トーンモバイルを手がけるフリービットはソフトバンクと資本業務提携を締結したと発表した。ソフトバンクと資本提携を行っても、引き続き、石田宏樹氏が筆頭株主であることは変わらない。ソフトバンクは7.35%で第4位の大株主となる。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年2月1日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
トーンモバイルはオリジナルのスマートフォンに加え、家族の見守りサービスなど自社開発の技術を武器に独自サービスを手がけ、独自のポジションを築いていたMVNOだった。
ただ、2021年にNTTドコモの「エコノミーMVNO」に参画。当初は全国2000店舗を超えるドコモショップで取り扱われることで、成長が期待されたが、その後、NTTドコモがahamoを始めたことで雲行きが怪しくなった。さらにNTTドコモが低容量プランのirumoを始めたことで、エコノミーMVNOの存在価値がなくなってしまったのだった。
もともと、エコノミーMVNOは、OCNが展開していたMVNOサービスを、ソフトバンクやKDDIが展開していたサブブランドのように扱いたかったというのが発端だったようだ。しかし、NTTドコモがOCNだけを扱うというのは、NTTグループという立場上、よろしくないということで、他のMVNOを仕方なく呼び入れたというのが内情のようだ。
OCNを手がけるNTTコミュニケーションズは、NTTドコモの子会社となり、OCNに関しても、NTTドコモの「OCN部」になってしまった。
結局、「エコノミーMVNO」という立て付けは、当時のNTTドコモによる「その場しのぎのサービス」で消化不良に終わった感がある。
MVNO市場を見ると、IIJmioやmineoのように、すでに100万を超える会員基盤を持つか、法人市場も手がけないことには生き残っていくのは難しそうだ。
格安スマホにおいては、低容量と大容量の2極化が進んでおり、特に大容量は、キャリアの使い放題プランとバッティングしてくるだけに、今後、MVNOにとって市場が小さくなることも考えられる。
MVNOとしてスマートフォン単体だけでなく、防犯カメラなどIoT機器も手がけ、トラフィックを24時間で平準化させないことには、コスト面でつらくなってくる。
トーンモバイルとしては、NTTドコモと組んだのが不運の始まりだった。当時は「NTTドコモに吸収されるのではないか」とみられていたが、今回、ソフトバンクというパートナーを見つけられたのは幸いだったかもしれない。
トーンモバイルはやはりインターネット企業として、独自の技術開発力があることから、あとは資金的な支えがあれば、MVNO以外で、まだまだ成長の余地はありそうだ。
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