―― 実際、大容量のところを変えてみて、ユーザーの反応はどうでしたか。
亀井氏 大容量帯は変わらず継続利用いただけていますが、ahamoなど他社が30GBにアップグレードしてきた中で、顧客が流れているという印象がありました。新規が取れないというわけではないのですが、既存のユーザーが流れていた。そこは止めることができました。容量はahamoと比べて5GB多いですし、価格も安い。そういう意味だと、流出を止める要因は作れたと思います。
―― ただ、ahamoとの差は500円程度しかありません。5GB多いですが、音声通話定額を加味するとあまり変わらないという見方もできます。
亀井氏 ちょうど前日にmineoさんが50GBコースを安く出されていました(発表日がmineoの1日後だった)が、もうちょっと工夫はできるかもしれません。
矢吹氏 その意味だと、家族利用がいかに増えるかが今後重要になってくると考えています。
亀井氏 単身の方が使うケースも多いですが、ご夫婦や親子で使うことを想定しています。
―― 流出防止以外の効果はありましたか。
亀井氏 35GBは伸びていますが、他の容量からダウングレードするケースもあり、そこ(35GB)に人が集まっている感じになっています。
―― このあたりの容量は、MVNOでも熱くなっているのでしょうか。
矢吹氏 全体比率からすると、そうでもないですね。
亀井氏 5GB帯の伸びに比べると、35GBはそこまでではありません。値下げしたところにユーザーがきちんと乗っかってきている印象があります。これによって、5、10、35GBのそれぞれがユーザーを増やすことができました。かといって幅がないと商品としての選択肢がなくなってしまうので、その他も残しています。
―― 逆に、5GBや10GBの値下げ後は狙い通りになっているのでしょうか。
亀井氏 割と狙い通りです。値下げを機にプラン変更していけることもあり、2GBが減っているのがより明確になりました。先ほどお話ししたように、今年度(2024年度)の初めごろには既に5GBの方が構成比として多くなっていましたが、それ以上に5GBが増えています。プラン変更のきっかけにしていただけたのではないでしょうか。
―― ユーザーのデータ使用量自体も、昔と比べて増えているような感じですか。
亀井氏 はい。増えています。ただ、総務省のまとめている比率に近く、そこを超えるような感じではありません。1年ごとに、1倍台の増え方です。
―― 1.5倍だとしても、5GBのユーザーは翌年には7.5GBになっていますし、その翌年には11.25GBになります。あと数年たつと、5GBのトレンドが10GBに移っていくことになりそうでしょうか。
亀井氏 はい。ただ、今のプランのまま容量変更をしていくのか、別のプランにマイグレーションしていくのかは検討の余地があると思っています。ギガプランは、やっと足りなかったものを補えて、既存ユーザー向けの優待なども一通り出来上がりました。別サービスは作ると時間がかかるので、どちらにするかは要検討になります。
―― お話をうかがっていると、やはりMVNOだとサブブランドほどデータ通信を使うユーザーが多いわけではないようですね。
亀井氏 10GB以下の人がまだ多いですね。
―― mineoのデータだと、若年層ほど容量の多いプランを選ぶ傾向が強いことが分かりましたが、その意味だとIIJmioはあまり若年層が取れていないのでしょうか。
亀井氏 IIJmio自体、若年層というより、やはり40代、50代の男性が多いですね。mineoはCMもやっているので、若い方が多いのかもしれません。
―― データ容量が多い方が単価も高いので、もうかりそうですが、そこを強化するというような案はありますか。
矢吹氏 ただ、その前に接続料がもっともっと低減してほしいというのが一番です。若年層かどうかを問わず、5G SAの基地局がバンバン建ち始めるとコンテンツも変わってきて、当然ながらデータトラフィックも増えます。社会インフラに合わせて、トラフィックもどんどん大きくなっている。ここがビジネスモデルとしてコストに落ちてくることが重要です。
―― 今の接続料だと、大容量プランに注力するのはなかなか難しいということでしょうか。
矢吹氏 今の状態だとそうです。ただし、容量の話もありますが、昔から言われている昼間の速度の話もあります。動画コンテンツの利用が増えてくると、昼のトラフィックの流量を上げていく必要がある。一方で、大容量を支えるためのものを作るのか、詰まっているところを広げるのかは似たような話ですが微妙に違います。動画がある程度のクオリティーで見られるところには追従しなければなりません。
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