―― 料金改定がこのタイミングになったのは、春商戦を意識してのことでしょうか。
亀井氏 そうです。3月1日適用ですが、なるべく2月の早い段階でということでお知らせを出しました。
―― 先ほどお話ししていたように、mineoの発表の翌日でした。これは狙っていたのでしょうか。
亀井氏 まさか翌日になるとは思ってもいませんでした(笑)。1月末ぐらいには来るかなと思って準備はしていたのですが、前日だったので、さすがにそこからは身動きが取れませんでした。内容を拝見し、取り組んでいたのが主に大容量だったのでそこまで影響はないという判断です。
―― ただ、意識はしていたと。
亀井氏 そこは当然意識しています。
―― 今回、2GBは手付かずでしたが、ここはもうあまりいじらないのでしょうか。
亀井氏 一方で、アンケートを取ってNPS(Net Promoter Score)をうかがうと、ニーズはあります。もっと安く、手軽に使いたいというニーズです。日本通信の料金プランを意識した質問かもしれませんが、それを今の料金プランで実現するのがいいのか、別物を作った方がいいのかは、決断できませんでした。低容量帯は、長期利用も難しいので……。
矢吹氏 長期利用という視点で捉えると、経営的に少し抑えてもいいという判断はありますね。
亀井氏 私たちの場合、端末割引キャンペーンもあるので。
矢吹氏 個人認証をかけてちゃんと使うことの確実性が増せばいいのですが、(MNPの)“弾”に使われてしまうのは嫌だなと思っています。弾にならないところをうまく担保できれば、もっとバリエーションは考えてもいいと思っています。
―― ただ、5GBの差は100円しかありません。この状態で、そもそも2GBプランは必要なのでしょうか。
亀井氏 100円差なら5GBにしてくれないかなという考えはありましたが、それでも5GBに移らない方は結構いるので、容量はあまり気にしていないのかもしれません。
―― プラン変更したことが伝わってないのでしょうか。
亀井氏 周知という意味だと、全ユーザーに伝えています。われわれの不利益要素になるかもしれないことも、きちんとお伝えしています。
矢吹氏 でも、ギガプランを出して4年たっても、まだ旧プランの人がいるんですよね。
亀井氏 一度契約したら、後は興味がないという人もいるのかもしれません。
―― 話は端末ラインアップに変わりますが、以前から独占端末が増えているような印象があります。これは意図的にやっているのでしょうか。
亀井氏 矢吹も一通りメーカー行脚が終わって、関係構築できたと思っています。
矢吹氏 メーカーとはウィンウィンの関係にあると思っています。われわれはオリジナルモデルを扱える。彼らは彼らで、われわれを踏み台にするというと言葉は悪いですが、売れればキャリアモデルを狙える。一生懸命、お互いにやれるところをやっている感じです。うちのユーザーはリテラシーが高い方が多いので、ハイエンドモデルや限定モデルがきれいに完売していきます。
亀井氏 昨年度は7モデルを独占販売しました。あと、あまり言っていませんが会員限定のECも作っています。そこだと、外(非会員)に値段が出ない。在庫が余っているものを買い取ってきて、既存の会員に売るということができていて、それは大きいと思っています。
―― 優待を始めましたが、特典によって解約率が下がったなどの影響はありましたか。
矢吹氏 それ(長期利用特典)も含めて、顧客満足度が上るような改善はずっとやってきました。前年度比で言うと、毎月どんどん(解約率が)下がっている状態です。そういう意味だと、効果があったといえます。ただ、どちらかといえば、長期利用特典の効果は解約率の低下というより、LTV(Life Time Value)で継続年数の伸びを見る方が正しいとは思っています。その部分は、これからデータを収集していきます。
今回の料金改定で最も戦略的だったが、30GBプランを35GBに増量し、価格も2400円に引き下げた点だ。亀井氏によれば、ahamoなど競合サブブランドを意識したという。矢吹氏も「キャリアに対して安いのがMVNOの存在意義」と語る。この改定により、サブブランドへの顧客流出抑制効果が見られた。
シェアが伸びていた5GBプランは値下げでさらに強化し、10GBプランへの移行も促している。20GB以上のプランは、利用者のデータ使用量が増加傾向にあったことを踏まえ、値下げではなく容量増量で対応した。
ギガプラン投入から4年がたち、思い切ったことをしなければ注目されないという危機感も改定の背景にあるという。一方で、亀井氏はギガプランという枠組みそのものを抜本的に変えることも、検討の余地があるとしていた。ギガプランが丸4年を迎えた中、徐々に次の“あるべき料金”を考えるときが近づいているのかもしれない。
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