先日、Googleのスマートフォン「Pixel 10」「Pixel 10 Pro」「Pixel 10 Pro XL」のレビューをしました。
実はレビューに当たって初期設定を進めている際に、eSIM転送に関して“気になる表記”を見つけました。
日本で販売されるiPhone 17シリーズが全てeSIMオンリーということで注目を集めているeSIMですが、Androidスマートフォンでも多くのモデルが対応しています。
比較的新しい機種では、通信事業者(キャリア)さえ対応していれば別機種にeSIMを転送したり既存のSIMカードをeSIMに移行(変更)したりすることも可能です。ただし、NTTドコモ以外の事業者は転送/移行できる時間に制限があります。
AndroidスマホにおけるeSIM転送は、業界団体の「GSMA(GSM Association)」が定めた規格に従って実装されています。よほどのことがない限り、異なるメーカーの端末間でも問題なく対応可能です。
一方で、iPhone(iOS)やiPad(iPadOS)の「eSIMクイック転送」は、GSMAによる規格化以前に導入された仕組みです。そのためAndroidスマホとiPhoneとの間のeSIM転送は不可能とされてきました。
しかし、Pixel 10シリーズの初期設定でeSIMの設定を行おうとすると、移行元の選択肢としてiPhoneが選べるようになっていました。「え、iPhone相手でもできるのか!?」と驚いた次第です。
iPhoneを相手とするeSIM転送は、初期設定後の設定画面でも行えます。端末設定で「他のデバイスからSIMを移行する」を選択すると、選択肢としてiPhoneが追加されています。
移行元としてiPhoneとして選ぶと、iPhoneの「カメラ」アプリか任意の二次元コード読み取りアプリでPixel 10シリーズに表示されている二次元コードを読み取るように指示されます。
この機能は、Android 16以降のeSIM対応モデルで利用可能だそうです。ただし、対応するかどうかはモデル次第で、現時点ではPixel 10シリーズ以外では「iPhone」という選択肢は出てきません。
ちょうど手元のiPhoneにeSIMが入っていたので、画面の指示通りに二次元コードを読み取ると……Googleのサポートサイトに飛ばされます。
このサポートサイトを読むと分かるのですが、この機能を使うにはiOSをバージョン26以降(β版を含む)にする必要があります。言い換えると、手持ちのiPhoneをiOS 26にしてしまえば、Pixel 10シリーズにeSIMを転送できるようになります。
先ほどの二次元コード表示をスクロールすると、「もう一方のデバイスにiOS 26以降が搭載されていることを確認してください」という注意書きを確認できます。というか、スクロールしなくても確認できるようにしてほしかった……iOS 26にバージョンアップしたiPhoneは、逆にAndroidスマートフォンからeSIMを移行できるようにもなります。Appleのサポートサイトでは、既に本機能に関するサポートページが用意済みです。
サポートページによると、Androidスマホ側はもちろんですが、やはり通信事業者側の対応も必要なようです。9月12日時点では、日本の通信事業者の記載はありません。
AndroidスマホとiPhoneとの間でeSIMを移行する場合、現状では通信事業者に頼んでeSIMのプロファイルを再発行する必要があります。一部の事業者では再発行時に新規契約と同等の本人確認を求めるため、再発行まで数時間掛かるケースも見受けられます。
通信事業者がAndroid 16/iOS 16以降のOS間eSIM転送の仕組みに対応すれば、eSIMにまつわる大きな“面倒ごと”の1つが解消できます。果たして、日本の通信事業者は対応してくれるのでしょうか……? iOS 26のリリースまでじっくり待ちたいと思います。
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