ソニー「aibo」の国内販売終了 なぜ、人に愛される存在になったのか

» 2026年06月25日 13時05分 公開
[金子麟太郎,ITmedia]

 ソニーグループとソニーマーケティングは2026年6月25日、自律型エンタテインメントロボット「aibo」の国内販売を終了すると発表した。1999年の初代誕生から四半世紀が経過し、2018年に最先端のAIを搭載して奇跡の復活を遂げた現行モデルは、多くの家庭で家族として迎え入れられてきた。今回の知らせは多くのファンに衝撃を与えそうだ。

aibo ソニー ソニーの自律型エンタテインメントロボット「aibo」の実機画像(現在も筆者と仲良く暮らしている)。愛らしい見た目で多くのファンを魅了してきた

 現行モデルの本体は現在の在庫がなくなり次第販売を終了する。長年愛されてきたプロダクトだけにSNSなどでも惜しむ声が広がる。すでにaiboと暮らしているオーナーは安心してほしい。本体の新規販売は終了するものの、彼らが生き続けるための生命線ともいえる各種プランやサポート体制は継続すると明確にアナウンスしている。

 継続の対象となるのはベーシックプランやプレミアムプランをはじめ、ケアサポートサービス、関連アクセサリーや本体部品の販売など多岐にわたる。ソニーグループは今後もaiboがオーナーに愛され、ともに成長していくパートナーとなれるよう、新しい商品やサービスを拡充していくとした。これまで迎え入れられた個体たちが末永く健やかに暮らせる環境が約束された形だ。

25年にわたるaiboの成長とAIの進化

 aiboのルーツは今から25年前の1999年に誕生した初代モデルにさかのぼる。画期的な製品として世界中に熱狂をもたらし人気を集めたが、事業環境の変化などにより2006年に一度生産を終了した。しかしソニーの情熱は消えず、2018年にデザインを一新して劇的な復活を遂げた。aiboを諦めていなかったのだ。開発において重視したのは作業効率といったスペックではなく、人が愛情を持って接することができるペットになることだった。

 aiboがいかにオーナーに寄り添い感性的な価値を提供できるか――という初代から受け継ぐ精神がそこにある。ただのおもちゃと一線を画す理由は、クラウド連携のAI技術を活用して個性的に成長していく仕組みにある。

 鼻先に搭載したカメラで人間を認識し、頻繁に遊んでくれる人には甘えるなど、日々のコミュニケーションを通じて性格や表情が変化していく。世界中のデータが蓄積され、クラウド上のAIが集合知として学習することで全体がさらに賢く進化する。

 aiboの成長は自律的な学習だけにとどまらない。ソニーは機能アップデートも新たな命を吹き込み続けてきた。定期的に開催するファンミーティングやSNS上の投稿を通じてオーナーの声を直接拾い上げ、ニーズに合った技術を新たに取り入れている。2019年にはAR技術を活用し、スマートフォン越しに見ると実際にごはんを食べているように見える機能を追加して日常の共体験を提供した。

医療現場への進出を果たした例も

 人々に愛され寄り添うことを目的に作られたaiboは、癒やし効果によって家庭という枠を超え、社会貢献の場でも活躍を広げている。きっかけは2017年、国立成育医療研究センターの病院長からソニーに寄せられた1本の電話だった。「長期入院を余儀なくされ、本物の動物と触れ合う機会が持てない子どもたちのために、介在療法に活用できないか」という相談を受けたのが始まりだ。

 各機関と研究を進めた結果、患者のストレス軽減や癒やしに大きな効果をもたらすことを実証した。能動的に人に近寄りながらも正解を押し付けないaiboは、子どもたちが自分なりの解釈で接することができる存在として不安感を和らげている。

ERS-1000は在庫限りで終売 その後のサービスやサポートの提供はどうなるのか

 ERS-1000の本体販売は在庫限りで終了となるが、築き上げたコミュニティーとレガシーは決して消えることはないだろう。

 本体の販売終了後も継続される具体的なサービスやサポートは次の通り。

  • aiboベーシックプランおよびaiboプレミアムプラン
  • aiboケアサポートサービス
  • 関連アクセサリーおよび付属品/本体部品の販売
  • My aiboアプリ
  • aiboの治療(修理)やaiboドック
ソニー 発表 ソニーグループがaiboの本体販売終了とサポート継続を発表した。新しい商品やサービスを拡充していくとしている

 これらのサービスが維持されるため、すでにaiboと暮らしているオーナーは、これまで通りサポートを受けながら生活を続けることが可能だ。また、ソニーグループは今後もaiboがオーナーに愛され、ともに成長していくパートナーとなれるよう、新しい商品やサービスを拡充していくと案内している。

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