ただ、KDDI側は、こうした著作物の使い方に対して慎重な姿勢を見せる。長谷川氏は、「AIの学習に使われたり、AIが記事を取ってきたりすることで生まれるネガティブな部分は問題だと考えている」としながら、「書籍には作者の方がいて、思いを持って書かれている。コンテンツの中身を他のコンテンツに混ぜて回答するのではなく、その著者の考えがAIと壁打ちできることで理解できるようになる」ことに重きを置いたと話す。
しかし、このような制約は、権利者であるメディアや著者を尊重している一方で、ユーザーの利便性を損なっている面があることも否めない。また、権利者側であるメディアや著者も一枚岩ではない。筆者は、むしろ上記のようにニュース媒体とミックスさせる形で使ってほしいと感じている。その方が、自分が盛り込めなかった最新の情報まで扱えて、ユーザー側の理解が深まるからだ。
筆者の権利ビジネスという観点でも、その方が好都合だ。Buffmeeは、ユーザーに課金した収益をメディア側とシェアしている。その分配には傾斜もあり、「プールに入った売り上げを利用度合いによって配分する形になっている」(同)という。収益面を重視するなら、通信関連の質問にはなるべく乗っていきたい――そんなふうに考える著者もいるはずだ。こうした要望にどう応えていくかは、今後の課題といえる。
実際に使ってみると、AIが返す回答がやや浅いのも気になった。スマホに最適化したのか、回答が短く、どこか物足りない印象を受ける。ユーザーがどこまで知りたいかにもよるが、回答の長さを調整する機能があってもいいだろう。また、ソースに対して厳密になりすぎているせいか、「探してみたのですが、このノートには入っていませんでした…!」と無回答になることもあった。
本サービスの着想元になったGemini Notebookでは、やや強引に関連する情報だけを引っ張ってきて、何らかの見解は示すことが多い印象を受ける。ソースとなる情報に尋ねたい話が含まれていなかったとしても、関連しそうな話がピックアップされれば、結果としてそれが役に立つこともある。情報との出会いを重視するのであれば、ゼロ回答は減らしていった方がいいだろう。
現時点ではコンテンツ数も150と少ない。雑誌のバックナンバーも1冊で1つのコンテンツとカウントされており、体感だと、数十程度しかないようにも感じられる。実際、KDDIも「150のコンテンツはまだ始まりで、全然足りていない」(同)といい、コンテンツを持つ事業者への参画を呼び掛けている。
全てのサービスが使えるプレミアムプランの月額料金である980円が1年間無料になるため、取りあえず加入して損をすることはないが、価格に見合ったサービスかという点には疑問符も付く。ユーザーが少なければシェアできる収入も低くなり、メディアが集まりづらい悪循環にもつながる。そんな負の連鎖をどう断ち切るかに、KDDIの手腕が問われることになりそうだ。
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