全プラン2000円未満でギガの無駄遣いをゼロに、楽天モバイルのサブ回線にも HISモバイル新料金の狙い

» 2026年08月28日 16時25分 公開
[金子麟太郎,ITmedia]
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 H.I.S.Mobileは、モバイル通信サービス「HISモバイル」の新展開に関する記者発表会を8月28日に開催した。会場に登壇した猪腰英知社長が、サービスコンセプトの刷新とともに最新料金プラン「自由自在3.0プラン」を発表した。日常と旅を強力にサポートする通信プランとして、同日から提供を開始する。

HISモバイル 猪腰英知 新料金プランの発表会に登壇しサービスコンセプトの刷新と「自由自在3.0プラン」について説明する猪腰英知社長

 今回の目玉は、全ての基本料金プランを月額2000円未満に抑えた大胆な価格設計だ。

HISモバイル 料金プラン 全ての基本料金プランを月額2000円未満に設定し30GBプランを月額1999円で提供する大胆な価格設計を発表した

 自由自在3.0プランでは、利用実態に合わせて細分化したデータ容量の選択肢を用意している。音声通話付きプランとして、データ容量100MB未満なら月額280円、1GBなら550円、3GBなら770円、7GBなら990円だ。さらに中大容量帯として、月額1299円の10GBプラン、月額1699円の20GBプラン、そして月額1999円の30GBプランを新たに提供する。20GB以上のプランには、標準の電話アプリで高音質な通話ができる「6分かけ放題」を基本料金内に含む。

HISモバイル 新料金プラン 100MBから30GBまで細分化されたデータ容量と通話オプションの料金体系

 通話料金は全プラン共通で専用アプリが不要の30秒あたり9円と、大手キャリアの半額以下に抑えている。10GB以下のプランを契約している場合は、月額500円で6分かけ放題オプションを追加可能だ。さらに、全てのプランにおいて、もし契約したデータ容量を使い切ってしまった場合でも、1GBあたり200円でデータ通信容量をいつでも追加できる。

無駄なGBにサヨナラ――使った後に下げられる仕組みとは

 新料金プランの設計に際し、猪腰氏は、多くのユーザーがGB自体ではなく「足りない不安」を買っているという仮説を立てた。データ利用量が足りなくなる事態を避けるために大きめのプランを選ぶものの、実際には消費しきれず、結果として使わないデータ容量に対して高い料金を支払い続けているミスマッチが顕在化している。そこで、まずは大容量で契約を開始し、利用実績を確認した上で最適な小容量へと選び直すステップを提案する。

HISモバイル データ利用量 月間データ利用量の調査結果では7GB未満の利用者が半数以上を占めている実態
HISモバイル データ利用量 調査データをもとに月間データ利用量の実態と利用者の割合
HISモバイル 利用実態 データ利用量を細分化すると利用者の半数以上が3GB未満であり、小容量が主流となっている

 この新たなアプローチでは、ユーザーはまず月額1999円の30GBプランで安心して使い始める。その後、毎月メールで配信される利用明細で実際の通信量を確認する。もし月に3GB程度しか消費していないと分かったなら、そのタイミングで月額770円の3GBプランに変更すればよい。これにより、日常の通信費用を無理なく最小限に抑えることができる。

HISモバイル プラン変更 まずは30GBで契約し利用実績に応じて最適な小容量プランへ変更して料金を下げる仕組み

旅行会社としての強みを最大に生かした特典も

 旅行会社としての強みを最大に生かした「海外通信特典」も最大の魅力だ。自由自在3.0プランの契約者に対し、海外130以上の国と地域で使える4GBのeSIMを年1回無料でプレゼントする。この取り組みのためにイスラエルのVOYE社と専用プランを共同開発し、10月1日からの提供開始を予定している。渡航日数が5日前後の旅行であれば、この4GBで日常と変わらない快適な通信環境を十分にカバーできる仕組みだ。

 日常だけで終わらず、旅先でのトラブル対策も充実している。同じく10月1日から提供を開始する「HIS Travel eSIM powered by VOYE」は、日本国内でドコモ、au、ソフトバンクの3回線を自動で切り替える機能を持つ。1日50MBから利用可能で、主回線がつながりにくい温泉地や山間部への国内旅行時におけるバックアップ回線に最適だ。

 この他、海外モバイルルーターレンタルの「HIS Wi-Fi」が50%オフになる優待なども付帯する。

基本料金が上昇傾向にある大容量化の波

 昨今の通信業界を見ると、2024年10月に「ahamo」が月額2970円のままデータ容量を20GBから30GBに増量し、8月にはさらに40GBに増量するおためしキャンペーンを開始した。これにより30GBから40GBといった大容量帯が1つの市場トレンドとなった。しかし、これらはどれほど実利用量が少なくても料金が安くなるわけではなく、基本料金が上昇傾向にある大容量化の波が家計に与える影響は小さくないという。

HISモバイル 料金比較 主要MVNOの30GB帯プラン比較においてHISモバイルが業界最安水準であることを示すグラフ
HISモバイル 通信業界トレンド 大手携帯キャリアやサブブランドで値上げや大容量化が進む直近2年のトレンド

 猪腰氏は、この大手キャリアの一度契約するとそれ以下に料金を下げられない制約に目をつけた。「例えば、ahamoさんなどは30GBで使うが、そこから下の容量は選べないためそのまま利用している。しかし、別に20GBで足りているのであれば20GBでよいのではないか、という選択肢を出してあげれば、きっと(こちらのプランを)見てくれるのではないかと考えている」と語り、利用状況に合わせ柔軟に値下げできる仕組みこそが最大の対抗軸だという自信を示す。

HISモバイルは楽天モバイルユーザーの予備回線に 月280円から備えるつながる安心

 さらに、新料金プランは他社回線をメインとするユーザーのバックアップとしても価値を発揮する。現行の「楽天モバイル」はKDDIローミング契約が9月30日に期限を迎え、10月以降はカバー済みエリアの縮小が進む移行期に入る。主回線を楽天モバイルとしつつ、デュアルSIM対応端末でHISモバイルの月額280円のドコモ回線を副回線として備えれば、どちらかのネットワークに障害が発生しても切り替えて通信を維持できる仕組みだ。

HISモバイル 楽天モバイル 楽天モバイルを主回線としHISモバイルを副回線として月額280円から備えるデュアルSIM活用法の提案

 楽天モバイルの現状と今回の提案について、猪腰氏は次のように述べている。

 「チャンスとまでは見ていないが、楽天モバイルさんのMNPの転入・転出について言うと、数年前はシェア10%もないのに20数%がMNPだったのが、今は8%や7%ほどに減っている。そのため、品質の部分で大きな問題があるとは、ユーザーさんは思っていないのではないか。ただ、一部で部分的に問題が発生したときにはチャンスがあるのではないかと思う」

 HISモバイルがターゲットとするのは、40代をメインとした30代から50代のファミリー層だ。しかし、現状の契約者は情報感度の高い首都圏や大阪といった大都市のユーザーが全体の多くを占めており、リテラシーの高いビジネスマン世帯などに偏っている。大都市圏への契約の偏りから脱却し、地方やリテラシーが必ずしも高くないシニア層といったユーザーへどうやって新料金プランを届けるかが同社の大きな課題となっている。

 この課題に対し、猪腰氏は「将来的に店頭などで何かをやっていかなければいけないと考えている」と展望を明かした。同社は現在、全国のガジェット系PC修理店や、シニア向けの携帯教室を運営する事業者と個別に提携を拡大している。さらに、施設入居時に携帯料金の見直しを提案できる介護事業者なども新たなパートナーに迎え、オンライン契約にたどり着けない二極化のもう一方の、通信費を下げたくても方法が分からない層へ直接アプローチする地道な地方開拓に注力する構えだ。

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