スマホの料金プランには価値なし? 月額280円からの「HISモバイル」が目指す心躍るサービス (1/2 ページ)

» 2024年09月05日 20時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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 H.I.S.Mobileが9月5日、MVNOサービス「HISモバイル」で、新料金プラン「自由自在2.0プラン」の提供を始めた。

 現行の「自由自在プラン」の一部を見直し、利用実態に合うプランへと改定した。価格を据え置いたのは、月のデータ使用量が100MB〜1GBの月額550円(税込み、以下同)、3GBの月額770円、7GBの月額990円となっている。

 一方、100MB未満の場合は現行の月額290円から月額280円に値下げした他、月額1340円の10GBプランを新設した。20GBは現行の月額2190円から2090円に値下げし、音声通話オプションは現行の5分かけ放題より1分長い6分かけ放題に変更した。また、新たに月額2970円の30GBプランを設け、6分かけ放題を付加した。

HISモバイル MVNO 新料金プランの表。現行の「自由自在プラン」の一部を見直し、利用実態に合うプランへと改定した
HISモバイル MVNO 新料金プランの概要。100MB未満の場合と20GBの月額料金を引き下げ、10GB/30GBを新設した。音声通話オプションは既存の5分かけ放題から1分長い6分かけ放題に改めた

 同日、代表取締役社長を務める猪腰英知氏が、料金プランの見直しに至った背景や、AIを使って最適な料金プランを提案する「AI料金コンシェルジュ」を提供する理由を語った。

HISモバイル MVNO 「HISモバイル」の新料金プランは単に安価なだけでなく、利用者に適した料金プランになるよう改良されている。猪腰英知社長が新料金プランの概要や見直しの背景などを語った

旧料金プランの改善点を踏まえ、月額280円からの新料金プランを提供 

 猪腰氏は「店頭を介して加入する人の数は前年を上回るが、ネット経由で転入する人の数については、この2年間ほどで楽天モバイルの影響を受けて大きく増えていない」と振り返り、オンライン契約の獲得が厳しい現状について触れた。

 実際、これまでにどれくらいの割合でMNP転入があったのか。楽天モバイルの0円プランが終了した2022年7月は、ドコモからの転入が31%、KDDIとソフトバンクからがそれぞれ14%だったのに対し、楽天モバイルからの転入は41%で4キャリアの中で最も多かった。猪腰氏は「他社への乗り換え需要に乗っかれた」と振り返る。

 1年後の2023年7月には、ドコモからの転入が40%、KDDIからが21%、ソフトバンクからが24%、楽天モバイルからが15%と推移。さらに1年後の2024年7月には、ドコモからの転入が40%、KDDIからが21%、ソフトバンクからが28%、楽天モバイルからが11%となり、「楽天モバイルのシェアが多いが、なんとなく正常な割合に戻ってきているのではないか」と猪腰氏は分析する。

HISモバイル MVNO 各キャリアからどれくらいの割合で新規MNP転入があったのかを示すイメージ

 一方、eSIMの契約者は年々増えており、2022年9月で14%、2023年9月で18%だったところ、2024年9月には20%に達したという。「eSIMの普及が確実に進んでいることがみてとれるし、eSIMの普及に伴い2台目需要が増す。やり方次第では大いにチャンスがある」と猪腰氏は考える。

HISモバイル MVNO eSIMでの契約数が伸びており、猪腰氏は「普及が進んでいる」と分析する

 そんな中、「新料金プランである自由自在2.0プランの提供に向けて、何を改善すべきか考えた」結果、現行の料金プランの改善点が見えてきたそうだ。

 まず、HISモバイルが「注力している」(猪腰氏)7GBが月額990円の料金プランでは、毎月7GBでは収まらずに超過してしまうユーザーが70.2%、3〜7GBで収まるユーザーが19.4%、3GB未満が10.4%となった。かといって、20GBの料金プランに変更したものの、実際に使うと20GBを超過してしまうユーザーが51.8%、10〜20GBで収まるユーザーが18.1%、10GB未満が30.1%と、「全体的に不整合であることが分かった」と反省点を述べる。

HISモバイル MVNO 7GBと20GBのどちらの旧プランもユーザーに合ったプランではなかったという

 音声通話に関しても課題があったという。5分以内の国内通話が何度でもかけ放題となる「5分以内かけ放題オプション」は、5分以内で収まるユーザーが42%だったのに対し、5分超過で別料金が発生してしまったユーザーが58%となった。これが6分かけ放題に変更したとすれば、「超過してしまうユーザーは30%減少する」という。

HISモバイル MVNO 音声通話オプションも「5分では足りない」と感じる人が半数以上いることが分かった。HISモバイルで新たに用意した6分かけ放題はこうした調査を踏まえたものとなる

ahamoやLINEMOを意識し、他社よりも安くした

 新料金プランの名称には、現行プランと同じ「自由自在」の文字が含まれているが、コンセプトは「最安値プラン」から「最適プラン」へと変わっている。とにかく出費を抑えたい人はもちろん、ユーザーそれぞれの使い方に合った料金プランが求められていた。

HISモバイル MVNO 料金プランのコンセプトを改め、ユーザーに適した料金プランとなるよう、内容を含めて改善した
HISモバイル MVNO 全く新しいプランではないためか、プラン名の「自由自在」はそのままとなっている

 小容量の料金プランを月額290円で先に提供したのは日本通信で、そのレベルに合わせた最安値をHISモバイルも追いかけた。日本通信は従量制だが、HISモバイルは1GBを使い切ったあとも低速で使い続ける需要がまだあり、「全体のうちの5割強」(猪腰氏)はそうしたユーザーであることから、100MB未満の場合は現行の月額290円から月額280円に値下げした。

HISモバイル MVNO 最下容量なら音声通話付きのプランの方がデータ定額プランよりも安い。30GBは税込みでも3000円以内の出費で済む

 改定を検討した際に最も意識したのが、ライバルの料金プランだという。ターゲット層を「ほぼ使わない人」「低容量を使う人」「中容量を使う人」「大容量を使う人」の4つに分かると、100MB〜7GBは他のMVNOを意識し、中容量の10GBはソフトバンクの「LINEMO」、20GBはNTTドコモの「ahamo」に対抗している。

HISモバイル MVNO 自由自在2.0プランの中〜大容量は大手キャリアの「ahamo」「LINEMO」を強く意識する。低容量でも月額280円からと日本通信よりも安い

 LINEMOでも10GBは利用できる。3GB未満なら月額990円、3GBを超えると10GBまで月額2090円だが、HISモバイルはLINEMOの3GB超〜10GBより750円安い月額1340円だ。20GBについても、ahamoの月額2970円より880円安い月額2090円となっている。ahamoより10GB多い30GBは2970円で、ahamoの20GBの月額料金と同額ながらも、より多くのデータ容量を消費できる。

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