スマホの料金プランには価値なし? 月額280円からの「HISモバイル」が目指す心躍るサービス (2/2 ページ)

» 2024年09月05日 20時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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AI料金コンシェルジュで利用者に適したプランを自動で提案

 HISモバイルは、新料金プランの提供と合わせて、利用状況に適した料金プランを自動提案する「AI料金コンシェルジュ」も提供する。

 総務省の「情報通信白書令和6年版 インフォグラフィック」によると、2023年はモバイル端末の保有率が97%となった他、有料動画配信サービス加入者の増加、高画質な写真のSNSへの投稿・閲覧頻度の増加、生成AIサービスの普及など、モバイル通信のトラフィック量が前年比19.6%増と年々増加傾向にある。

 一方で、消費者が利用するサービスや用途によって、通信量に大きな差があり、HISモバイルのユーザーも自身に合う料金プランを選択できておらず、利用している料金プランと利用量のミスマッチも顕在化している。

 このような背景から、AI料金コンシェルジュの提供に至ったと猪腰氏は説明する。AI料金コンシェルジュでは、中容量以上の料金プランを3カ月間利用した場合、その利用状況をAIが分析し、6つの料金プラン(100MB〜30GBのうちのどれか1つ)と音声通話オプション(かけ放題の有無)の組み合わせを4カ月目以降に提案する。

HISモバイル MVNO AIで利用者に適した料金プランを提案する手法を取り入れた

 猪腰氏は「生成AIを利用しているため、ユーザーが条件を追加すると、さらに最適な料金プランになるよう、現在、さらなるアップデートに向けて開発を進めている」と話す。

 開発は、AIコンサルティングやAI研究開発などを事業とするSparticleが行う。信頼できるデータから情報を抽出し、大規模言語モデル(LLM)で質問に回答する仕組みのRAG(検索拡張生成)を搭載した、法人向け生成AI活用プラットフォームを活用。Sparticleの共同創業者で取締役CSOの湯勁松氏いわく、「生成AIの活用により、使うほど精度が向上する」そうだ。

HISモバイル MVNO 料金プラン提案の自動化は、Sparticleが法人向けに提供している生成AI活用プラットフォームを活用する
HISモバイル MVNO ユーザーがチャットで問い合わせた場合に自動で料金プランが提案される際の画面(実際の画面ではなく、イメージとなる)

携帯電話の料金プランにはみじんも価値がない 今後はHISならではの特典を強化

 今後、HISモバイルはHISグループ会社とのシナジーを狙う方向だという。それに向けて、HISモバイルは契約者向けに、ハワイ「LeaLeaトロリー」1日乗り放題パス(35ドル)が無料、「変なホテル」宿泊代金5%オフとなるなどの特典を提供する。

 また、契約事務手数料が最大99%オフとなる特典を用意する他、アンケートへの回答でハワイ航空券、国内ホテル宿泊券、人気レストランの招待券などをプレゼントする。

HISモバイル MVNO HISモバイル契約者向けの優待特典サービス(一部抜粋)。旅行先でのスマートフォン活用を意識した特典内容となっている
HISモバイル MVNO HISグループ会社に関する特典も用意し、HISモバイルとのシナジーを狙う

 HISモバイルユーザー5444人を対象とした調査で、全体のうちの約6割がHISモバイルに旅行関連の特典を求めたという。猪腰氏はHISグループ全体の企業メッセージ「『心躍る(ココロオドル)』を解き放つ」を引き合いに出しつつ、「モバイルの契約後は心躍らない」「携帯プランにはみじんも価値がない」と自虐的に話す。

 一方でHISモバイルには、HISが旅行業で培ってきた“心躍る”資産がある。「HISならではの楽しいことや体験にお金を使ってほしい」と猪腰氏。HISモバイルは単に安い通信サービスではなく、HISグループの価値をミックスさせたサービスに進化することが期待される。

HISモバイル MVNO HISモバイルに期待することとして、旅行関連の特典を求める声が多かったという。HISグループ会社ならではの特典に期待したい
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