HISモバイルは、新料金プランの提供と合わせて、利用状況に適した料金プランを自動提案する「AI料金コンシェルジュ」も提供する。
総務省の「情報通信白書令和6年版 インフォグラフィック」によると、2023年はモバイル端末の保有率が97%となった他、有料動画配信サービス加入者の増加、高画質な写真のSNSへの投稿・閲覧頻度の増加、生成AIサービスの普及など、モバイル通信のトラフィック量が前年比19.6%増と年々増加傾向にある。
一方で、消費者が利用するサービスや用途によって、通信量に大きな差があり、HISモバイルのユーザーも自身に合う料金プランを選択できておらず、利用している料金プランと利用量のミスマッチも顕在化している。
このような背景から、AI料金コンシェルジュの提供に至ったと猪腰氏は説明する。AI料金コンシェルジュでは、中容量以上の料金プランを3カ月間利用した場合、その利用状況をAIが分析し、6つの料金プラン(100MB〜30GBのうちのどれか1つ)と音声通話オプション(かけ放題の有無)の組み合わせを4カ月目以降に提案する。
猪腰氏は「生成AIを利用しているため、ユーザーが条件を追加すると、さらに最適な料金プランになるよう、現在、さらなるアップデートに向けて開発を進めている」と話す。
開発は、AIコンサルティングやAI研究開発などを事業とするSparticleが行う。信頼できるデータから情報を抽出し、大規模言語モデル(LLM)で質問に回答する仕組みのRAG(検索拡張生成)を搭載した、法人向け生成AI活用プラットフォームを活用。Sparticleの共同創業者で取締役CSOの湯勁松氏いわく、「生成AIの活用により、使うほど精度が向上する」そうだ。
今後、HISモバイルはHISグループ会社とのシナジーを狙う方向だという。それに向けて、HISモバイルは契約者向けに、ハワイ「LeaLeaトロリー」1日乗り放題パス(35ドル)が無料、「変なホテル」宿泊代金5%オフとなるなどの特典を提供する。
また、契約事務手数料が最大99%オフとなる特典を用意する他、アンケートへの回答でハワイ航空券、国内ホテル宿泊券、人気レストランの招待券などをプレゼントする。
HISモバイルユーザー5444人を対象とした調査で、全体のうちの約6割がHISモバイルに旅行関連の特典を求めたという。猪腰氏はHISグループ全体の企業メッセージ「『心躍る(ココロオドル)』を解き放つ」を引き合いに出しつつ、「モバイルの契約後は心躍らない」「携帯プランにはみじんも価値がない」と自虐的に話す。
一方でHISモバイルには、HISが旅行業で培ってきた“心躍る”資産がある。「HISならではの楽しいことや体験にお金を使ってほしい」と猪腰氏。HISモバイルは単に安い通信サービスではなく、HISグループの価値をミックスさせたサービスに進化することが期待される。
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